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MINI
フロントフェンダー脇につく、黄色い充電プラグマークのエンブレムがPHEVであることを主張しています。そのシステムは、5リットル直列3気筒ターボエンジンを前方に積み、発電機としても機能させながら前輪を動かす駆動力源として使用。そこに排気量2リットル級の加速力で後輪を駆動させる電気モーターを搭載。電気で静かにも走れて、システム最大トルク385Nmで、排気量4リットル級の加速力も得られます。価格は498万円〜。

MINI CROSSOVER PHEV

 海外からの旅行者が、初めて露天風呂に入ったときの感覚と言えばよいでしょうか。

 その気持ち良さを知る前は、なぜ体を温めたくて湯船を求めているのに、わざわざ寒い外で入るのか? なぜ、体を洗い清潔にしたいのに、屋外の湯船に身を置こうとするのか? これは体験してみないと、その人気や魅力はわからないでしょう。

 今回取り上げたモデルはまさに経験するまでは、頭の中に「?」が灯る(ともる)はずのクルマです。先進のアンテナ感度が高い方でも、「?」とならずともその真の魅力や価値にはたどり着けない可能性も高いのです。だからこそ、登場したばかりではありませんが、とてもセンスの良いモデルなので改めて紹介することにしました。

 MINIのクロスオーバーPHEV。その魅力は大きく3つ挙げられます。

 ますSUVであること。昨今は、誰も疑う余地のないSUV本流時代なので、その魅力や価値を体験、理解している方も多いでしょう。セダンやコンパクトカー以上の着座位置の高さは乗り降りを用意にしてくれるうえに開放感もあり、荒れた道、傾斜がきつい駐車場の入り口などもストレスフリー。まさに、クルマを運転する上で心地よい湯加減環境を備えています。

 そのうえで2つめの魅力が、MINIであること。

 街にSUVがあふれかえる時代になるほどに、MINIが持つブランド力とプレミアム性は生きてきます。他のクルマと構成する部品こそ変わりませんが、室内のメインスイッチ周りが航空機を思わせるトグルスイッチになっているなど、そのひとつひとつに遊び心やユニーク性がちりばめられています。

 走りにはゴーカートフィーリングが掲げられ、同格のクルマには絶対に負けない機敏な動きを実現。派手なつくりこそありませんが、周りに埋もれることのない優れたプレミアムブランド力は他にはない大きな個性です。

 そして、このモデルに備わる3つの魅力の最後が、“”今の”市場環境でストレスなく最大限に「電気の力」を使える仕組みが盛り込まれたPHEVであることです。電気モーターは、主流動力源であるエンジンが備えるすべての要素において、勝る可能性を秘めています。

 加速力、刺激、扱いやすさ、静かさ、上質さ、エネルギー効率、何もかもです。

 ではなぜ、このクルマは加速度的に普及していかないのか…。そこには価格とともに、電気モーターのエネルギー源となるバッテリーを大量搭載しづらいことが挙げられます。そこで、外部からバッテリーチャージできるのは当然として、走りながらでもガソリンエンジンを発電機として使って充電をできるようにしたPHEVが、”今は”理想的なのです。価格は若干高めですが、充電スタンドを自宅につくればガソリンスタンドに立ち寄るというわずらわしさから解放される可能性もあるなど、その魅力は底知れません。

 クロスオーバーPHEV、体験したら魅了されるモデルとしていかがでしょうか。知的さとセンスの良さまでアピールできる魅力も備えています。

シーンに合わせて選ぶ充実の走行モード

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MINI
右/充電は200V家庭用コンセント、あるいはEV専用の充電設備で行います。コンビニ、ショッピングモール、道の駅や高速道路のSAやPAなど、クルマで出掛けるさまざまな場所に設けられているので、お出掛け先で用事を済ませている間に充電できて利便性も文句なしです。左/スイッチ操作で3つの走行モードを任意選択。クルマ任せで走るのもいいですし、バッテリー残量や走行環境に応じてエンジンと、モーターを切り替えながら使いこなす知的な走りも可能です。

 走行モードは全部で3つ。基軸となるAUTO eDriveは状況に合わせてモーターとガソリンをもっとも効率よく組み合わせながら、クルマを走らせる知的モードです。MAX eDriveは、終始モーターで静かに滑らかに走る未来的モード。そしてSAVEeDriveはエンジンを積極的に使って、バッテリー消費を抑え、状況によってはバッテリーを復活させる節約モードになります。

 バッテリーがフル充電されていれば、モーターだけで実質30km前後走れるので給油回数が激減。しかも、自宅に充電施設を作れば近距離移動ではガソリンを一滴も使わず、ガソリンスタンドにも立ち寄らない…なさに、電気自動車ライフを手にできるのです。

SUVだからこそうれしい大容量のトランク

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MINI
床下収納こそありませんが、全長4315mm、全幅1820mm、全高1595mmのボディーサイズの恩恵により、必要十分の最低荷室容量405リットルを確保しています。

 
 モーターを駆動させるエネルギー源の電気は、後席フロア下に配置された高電圧リチウムイオンバッテリーに蓄えられます。そのため、MINIシリーズ最大級のボディーサイズを生かした優れた居住性や実用性については、他のMINIクロスオーバーと大きくは変わりません。6:4分割が可能な後席を倒せば、フラットで使いやすい荷室環境が広がり、アクティブライフを支えてくれることうけあいです。

●お問い合わせ先/
MINI カスタマー・インタラクション・センター
TEL 0120-3298-14
www.mini.jp/ja_JP/home.html


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Yoshimi Hatori

五味康隆(自動車ジャーナリスト)

自転車トライアル世界選手権、4輪レースの全日本F3でも活躍した、ジャーナリスト。優れた運転技術と理論に基づく分かりやすい解説に定評あり。先進技術にも詳しい。YouTube「E‑CarLife」チャンネルにてクルマ情報を発信中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。