人気ヒーロー「アイアンマン」として11年間を過ごし、突然アイアンマンではなくなる心境とはどのようなものなのでしょうか。そんな俳優ロバート・ダウニー・Jr.は現在、これまで自分が歩んできた道を振り返っているところで、今後についてははっきりしていないということ。そして、この状態を「良し」としているそうです。
ロバート・ダウニー・Jr.はインタビュー番組『Off Camera With Sam Jones』で、「今のところは、今後の演技者としての人生やプライベートの人生について新開地を求める必要性に駆られていない」と告白しました。
また、「人生を制しようとすることはもちろん悪いことではない。『アベンジャーズ/エンドゲーム』の公開時期である)2019年春であれば、精神的に大きな転換期であることでしょう。人生はいつも、ひとつのフェーズ(段階)からまた別のフェーズへの移り変わりの中にあるものである」と、ダウニー・Jr.は語りました。
彼は、自分が関わってきた「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」という文化的にも経済にも絶大な存在と、自分自身との間に少し距離を置くことによって、MCUの中心にいた生活から離れる移行時期を自分でコントロールできているのではないでしょうか。
ダウニー・Jr.は、「僕という存在と僕の仕事は別物である」と言います。
つまり、「僕はトニー・スタークとは違います。この役を演じた時間が長いからと言って、それは僕のすべてではない」ということなのです。彼は、「でも、そうはいかないときもあります。僕たちは皆、自分の心の中にいつも『楽しかったサマーキャンプから帰りたくない子ども』(ダウニー・Jr.はMCUのことをサマーキャンプと捉えており、子どもたちはマーベルヒーローの意味合い)のような感覚を抱えているのですから」と、続けて語りました。
彼はマーベルという枠組みの中に、自分が複雑に織り込まれ一体化していたことを実感したのか、次のように語っています。
「最初にMCUの物語とトニー・スタークのキャラクターに向き合って役をつくり、相乗効果を生み出してきました。しかしながら、あまりうまくいかないときもありました」と、ダウニー・Jr.は物語と役づくりについて振り返っています。
また、『アイアンマン』で利己主義的だったトニー・スタークが、『アベンジャーズ/エンドゲーム』では自己犠牲を捧げるまでに変化したプロセスについて振り返り、これはまさに、神話や伝説から英雄の共通点を定義したジョセフ・キャンベルの著作『千の顔をもつ英雄』の世界観と一致していると説明しました。
ダウニー・Jr.は、「最後のアイアンマンスーツは、スーツとしての機能をはたすようつくられていないし、危険を乗り切れるようにつくられていない」と指摘し、「これこそまさに、ジョセフ・キャンベルの神話そのものだ」と語っています。
2008年より「アイアンマン」シリーズをはじめとする、多くのMCU作品に出演してきたロバート・ダウニー・Jr.。世界中の老若男女から愛され続けてきたトニー・スターク役から解放されたこともあり、現在心身共にリラックスしていることでしょう。次回出演作はどんな作品になるのか、彼のファンは心待ちにしていることかと思われます。
From Esquire UK
Translation / Keiko Tanaka
※この翻訳は抄訳です。