アウディ, e tron, ev, 電気自動車, クルマ
AUDI
写真は、アウディ「e-tron Sportback」。1327万円(税込)(アウディ/アウディ コミュニケーションセンター TEL 0120-598106 公式サイト

 日本では、2020年9月にこの「e-tron Sportback」が導入され、今後はSUVも追加される予定。ディーラー網、また充電環境も整備され、これからの電動化攻勢を期待せずにはいられません。

 クルマの本質は“渡り鳥”。連続で飛べる距離は限られていて、どこかでエネルギーを蓄える休息を取らなければなりません。クルマで言えば、それはガソリンスタンドに行くこと。電気自動車の充電もまた同じことではありますが、ガソリン車に比べてエネルギーを蓄える休息の時間を多く必要とする。これこそ、電気自動車に対して“まだ”二の足を踏む人を生み出している要因だが、その解消に向けて確実に歩みが進んでいることは理解してほしい。

 現実には、買い物先や宿泊先などを含め、電気自動車が羽を休められる場所は各所に増えていて、逆にガソリンスタンドの数は減っている。しかも地方では、スタンドまで20分以上も走らなければならないこともざらで、それならば自宅を休息所としてつくり込める電気自動車は魅力になります。ガソリン車は、自宅にいても休息は取れない。しかも今後、休息が取りやすくなることはなく、その進化は一度に飛べる距離を長くすること以外にない。

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 多くのメーカーが電気自動車に舵を切りはじめているのは、環境負荷ゼロを目指すなどもありますが、前述した将来性を見据えた上で、電気自動車の可能性が多大だからです。

 もちろん、ガソリン車では絶対に手にすることはできない静粛性、低重心で安定した走りなど、クルマの本質である走行性能や乗り心地のよさは、触れたことがある方なら十分理解できるはず。

 しかし、電気自動車ならどれでもいいとい話でもない。大事なのは、そんな休息所の提供を含め、メーカーとして電気自動車の普及に本気で取り組んでいるかどうか。アウディと他メーカーとの違いは、まさにここにあります。

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バッテリーはフロア下に搭載され、荷室に張り出しなどは一切なし。通常時で615リットル、最大で1655リットルの容量を確保しています。フロントに、60リットルの収納スペースが設けられているのも電気自動車ならではです。

Q. アウディ初の電気自動車「e‑tron」ってずばり、どこがすごいの?
A. 速さ、静粛性、充電性能、最先端のテクノロジーなど…­“新世代EV”の名のとおり、その本気度がすごい!

 あと数年で、アウディは世界屈指の電気自動車ラインナップを誇るメーカーになります。具体的には、2025年までに20種類の電気自動車を発表することを公表している。すべてが日本に導入されるわけではないが、すでにスポーツタイプの「e‑tron GT」や多目的カーのミドル級SUV「Q4 e‑tron」など、その影がはっきりと見える。

 多彩なモデル計画があるからこそ、それらの休息の場である充電スポットの設置も並行して計画投資できるのが、今のアウディの魅力。その証拠に、全国のアウディディーラー網に急速充電器を設置して、外出の際にも休息できる環境を整備している。

 そんな新時代の幕を開けるモデルが、「e‑tron Sportback」です。この原稿を書いている時点ではまだ正式発表前でしたが、かなり力を入れてつくり込んでいるのは想像にたやすい。

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「A8」などにも採用されている、MMIタッチレスポンスと呼ばれるデジタルタイプのインターフェイスが装備されるなど、インテリアは最新のアウディデザインを採用。

 大型SUV、「Q7」をひと回り小さくした全長4901mm × 全幅1935mm × 全高 1616mm(欧州仕様の参考値)の車体には、バーチャルエクステリアミラーなど革新的なアイテムをふんだんに取り入れ、未来的な仕上がりを見せています。

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「e‑tron」からの新しい試みが、電子ミラーである「バーチャルエクステリアミラー」。カメラの映像をドアに内蔵されたディスプレイに映すというもので、天候を問わずクリアな視界と空気抵抗低減などの効果が得られます。

 航続距離は400kmを超え、停止から時速100kmまでを5.7秒で加速。大型SUVが静かに、なめらかに走る感覚は未体験のものでしょう。クルマの将来を見据えて歩みをはじめたアウディ、そして「e‑tron」に注目したい。

アウディ「e-tron Sportback」

 2025年までに20種類の電気自動車を出すと公表しているアウディが、初めて世に送り出した電気自動車。

 2018年にワールドプレミアを果たし、全世界で自動車の電動化を進める重要な役目を担っています。将来的にはセダンやワゴン(アバント)の追加も予定されていますが、まずはこの「e-tron Sportback」からスタート。モーターは最高出力が300kW、最大トルク664Nmで、0‑100km/h加速は5.7秒。欧州のモード電費で走行可能距離は446kmを誇ります。

●お問い合わせ先
アウディ コミュニケーションセンター
TEL 0120-598106
公式サイト


【PROFILE】五味康隆(自動車ジャーナリスト)
自転車トライアル世界選手権、4輪レースの全日本F3でも活躍した、ジャーナリスト。優れた運転技術と理論に基づく分かりやすい解説に定評あり。先進技術にも詳しい。YouTube「E‑CarLife」チャンネルにてクルマ情報を発信中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。