2022年1月にメルセデス・ベンツが桁違いの効率を発揮するコンセプトカー「ビジョンEQXX」を発表したとき、「この類いまれな効率性を実際の市販車に落とし込んだとき、どこまで実現できるのだろう?」とリアルな疑問が浮かびました。

ところが現地時間9月3日(日)に初公開された次世代型のエントリーモデルとなる「コンセプトCLAクラス」は、量産に近い状態でありながら「ビジョンEQXX」譲りの効率性の高さが具現化されていることが明らかになりました。

さらに今回発表された新型コンセプトモデルは、次世代EV向けのプラットフォーム「メルセデス・ベンツ モジュラーアーキテクチャ (MMA) 」のデビューモデルでもあります。メルセデスによると、「この新しい構造ではネジではなく、接着剤で取りつけられたバッテリーを中心に構築することで、軽量化を図るとともに衝突時に役立つ剛性も高めている」と言います。

メルセデス・ベンツ「コンセプトcla クラス」
Mercedes-Benz
メルセデス・ベンツ「コンセプトcla クラス」
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メルセデス・ベンツ「コンセプトcla クラス」
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酸化シリコンとリチウム鉄という2種類のバッテリー化学オプションを 800Vの電圧構成と組み合わせたことで、250kWの高速DCチャージャーでの充電を実現。この充電器がフル容量で作動していれば、わずか15分の充電で248マイル(およそ400km)の航続距離を到達できることになります。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
The new Mercedes-Benz Concept CLA Class | Walkaround
The new Mercedes-Benz Concept CLA Class | Walkaround thumnail
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「コンセプトCLAクラス」の連続航続距離は、WLTPサイクルでは最高466マイル(およそ750km)です。この数値自体も驚きですが、真に注目すべきはその効率性にあります。メルセデスによると、この車の航続可能距離はバッテリー1kWh当たり5.2マイルで、「EQS」が主張する4.4マイル(およそ7km)と世界最高数値である「EQXX」の6.2マイル(およそ9.9km)の間に相当するとのこと。

この効率性は、MMAプラットフォームを採用する全車種に該当します。現在、大型のEVが人気となっているのは「大きなバッテリーを搭載できるから」という側面がありますが、そんななか「CLA」は、小さなボディでもより長い航続距離を可能にしたということになります。

メルセデス・ベンツ「コンセプトcla クラス」
Mercedes Benz

「コンセプトCLAクラス」は、ブランド独自のオペレーティングシステムであるMB.OSを世界で初披露しました。メルセデスのもう一つの新たなアーキテクチャーは、カリフォルニアの半導体メーカー「エヌビディア(NVIDIA)」とともに構築され、“ソフトウエア主導のイノベーション”を実現しているとのこと。

実際、それがドライバーにとって具体的に何を意味するのかはまだ不明ですが、「コンセプトCLAクラス」にはダッシュボード上に3枚のパネルで構成された新しい「スーパースクリーン」インターフェースと、SAEレベル2の先進運転支援システムが搭載されています。

現地時間9月2日(土)公開されたBMWの「ノイエ・クラッセ」同様、「コンセプトCLAクラス」にも、おそらく市販されないコンセプトカーがデザインされています。それだけに、数あるコンセプトモデルのスタイルを詳細に解剖・分析することはおそらく無意味な作業となることは確かです。

それでもなお、「コンセプトCLAクラス」が量産に近い状態であるのは確かなようです。このモデルの流れを汲むEVを街で見かける日も、そう遠くないのではないでしょうか。

Source / Road & Track
Edit & Translation / Ryutaro Hayashi
※この翻訳は抄訳です