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映画に登場したお気に入りの米国大統領8選
今後の大統領選には、映画『エアフォース・ワン』でハリソン・フォードが扮したジェームズ・マーシャル大統領のような候補者が望ましい…ときっと思うことでしょう。
激闘と噂が飛び交った
2020年の大統領選
2020年秋に行われた米国大統領選では、ドナルド・トランプ氏とジョー・バイデン氏が激闘しました。各州の選挙結果を振り返れば、バイデン氏が勝利したように思えるのですが…。トランプ氏は「不正が行われている」と発言し、敗北宣言はなかなかしませんでした。そのため、米国の次期大統領が公式発表も時期を遅れたのが現状です。
そんな中、2020年11月26日(米国時間)に報道陣がトランプ氏へ、「バイデン氏の当選が確定したら、政権を明け渡しますか?」と質問したところ、「もちろん、明け渡すよ」と答えます。これは敗北を認めたかのようにも取れますが、その質問の中に「当選が確定したら」という言葉をトランプ氏は見逃さなかったのでしょう。「当選が確定しなければ、受け渡すわけないだろ」という意味がこめられていたのでしょう。そして、「今回の大統領選挙では、大規模な不正があった」とコメントし続けました…。
そして12月14日に各州で選挙人による投票が実施され、誓約違反投票は発生せずの過半数の306人の選挙人を獲得しての当選を確実に。2021年1月6日・7日の連邦議会の上下両院合同会議において、その投票結果が承認されました。そうして2022年1月20日正午からの就任式を経て、第46代大統領に就任しています。就任時の年齢は78歳という歴代最高齢の大統領でした。2022年11月20日には80歳の誕生日を迎え、2023年4月25日には翌年の大統領選挙への再選出馬を正式に表明しています…。
これに対して2024年米国大統領選挙に向け共和党からは、前大統領のドナルド・トランプ氏やフロリダ州知事のロン・デサンティス氏らが共和党指名争いに名乗りをあげています。各候補者の最新動向を随時報告しながら、2024年1月に共和党アイオワ党員集会から始まる予備選挙の行方、そして2024年11月の大統領選挙は今から注目すべきでしょう。
そな悶々している中、
映画から理想のトップを
考えてみては?
まずはその前に、まずはフィクションの世界である映画の中から理想の大統領像を再確認してはいかがでしょうか?
映画に登場する米国大統領の役には、長年常に中高年の白人男性が起用されてきました。実際、米国大統領役のイメージはあまりにも固定化されてきたため、同じ白人俳優が異なる複数の映画で米国大統領を演じることも多々ありました。例えばロイ・シャイダー(1932年11月10日~2008年2月10日)は、映画『エグゼクティブ・ターゲット』(1997年)と『ピースキーパー』(1997年)、『ラストデイズ』(2000年)という3本の映画で、異なる3人の米国大統領を演じています。しかもこれらの映画は、わずか3年の間に公開されたものでもあります。しかし残念ながら、彼は2008年に闘病の末亡くなっています。
存命の俳優で言うなら、モーガン・フリーマン(1937年6月1日~)が、何度も米国大統領を演じてきました。ちなみにトム・ハンクス(1956年7月9日~)こそ、大統領役にぴったりと思えませんか? ですが彼は、これまで大統領役へのオファーは断ってきたようです。その理由はわかっていませんが…。
ちょっとした脚色が加えられた実在の米国大統領の役の場合、それぞれの大統領の功績に関する大雑把なイメージ(例えば、エイブラハム・リンカーン、ジョン・F・ケネディ、ジョージ・ワシントンなら善玉テイスト、リチャード・ニクソンなら悪玉テイスト、ジョージ・W・ブッシュならどこか間の抜けたのような)がキャラクターに反映されることがしばしばでしたが、架空の米国大統領となると…映画的なさまざまな業況判断が必要となるようです。
映画内終盤に登場する場合の大統領は、国家を代表して主人公の行動(特に、重大な仕事を成し遂げる上でいくつかのルールを曲げたことなど)の是非について、最終的な決定を下す存在であることがしばしばです。このような大統領の場合は、親切なローマ皇帝のようにヒーローの奮闘を称え、国民を代表して彼らに感謝の気持ちを伝えます。そして所属する政党における何らかのポリシーは示されることはありません。
一方、序盤から中盤に登場する大統領の場合は、小惑星や異星人、核、映画『シャークネードエクストリーム・ミッション』(2015年)などのストーリーのように、地球存続の脅威に取り組む姿勢を見せることが一般的です。そんな場面の大統領は、世界の危機に瀕して米国が「地球全体で考えたときにどうあるべきか?」という大いなる問題に直面することになります。基本的には、求められるのは実利的ながら高潔なキャラクターであり、脚本家は誇らしい米国大統領を描くことになるでしょう。そんな『シャークネードエクストリーム・ミッション』の大統領役には、当初は当時の大統領であったドナルド・トランプが候補だったと言われています…。
ではここで、映画の中で注目すべき米国大統領6人を選出します。あとは皆さんそれぞれで、当確を決めてください。
『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(1964年日本公開)のマーキン・マフリー大統領
巨匠スタンリー・キューブリック監督が描いた近未来を舞台とした本作では、ピーター・セラーズ演じるストレンジラヴ博士が最も印象的であることは間違いないでしょう。ですが、それに反比例するかのように、ほとんど無力な印象しか与えないのがマフリー米国大統領(写真右)でしたが、これを演じるのもピーター・セラーズ1925年9月8日~1980年7月24日)でした。
そうです、対極とも言える二役をこなしていたわけです。
この大統領は、作戦司令室でのケンカも防げない哀れな人物。セラーズが演じてきたこれまでの役の中では、最高に生真面目なキャラクターなのです。
地球上の全生物の滅亡へと導いてしまうマフリー大統領ですが、彼は熱心なクリスチャンであるジミー・カーター的な方法で物事を1つにまとめる姿も容易に想像できます。
セラーズはもともと、風邪声でマフリー大統領を演じるつもりだったのですが、あまりに滑稽(こっけい)に見えてしまうことを危惧し、その役づくりを断念したということ。これが功を奏したのか、架空の大統領役の俳優としては初めて、アカデミー主演男優賞にノミネートされていました。
『未知への飛行』(1982年日本公開)の大統領
ハリウッド史上最も善玉タイプの俳優の一人として、ヘンリー・フォンダ(1905年5月16日~1982年8月12日)は実利的ながら高潔な大統領の原型とも呼べる役を演じました。
舞台は冷戦中の米ソで、米国空軍の爆撃機にモスクワを核攻撃せよという誤った指令が伝わってしまいます。
政府はこの爆撃機を呼び戻すことに失敗し、フォンダ演じる大統領(本作で大統領の名前は明かされない)は数百万人が死亡する危機を食い止めるための方法を考えることを余儀なくされます…。
『エアフォース・ワン』(1997年)のジェームズ・マーシャル大統領
この映画のタイトルで重要なのは、「フォース(力)」の部分です。というのも、ハリソン・フォード(1942年7月13日~)演じるベトナム帰還兵のマーシャル大統領がとにかく強いのです。
ジャック・ライアン(さまざまな小説や映画に登場する、行動力、決断力があり、家族を愛するキャラクター)とビル・クリントンをかけ合わせたようなこの大統領は、飛行中の大統領専用機をハイジャックしたテロリストたちとの闘いに挑みます。
ゲイリー・オールドマン演じるロシアのテロリストは、盗み出した核兵器で新たな冷戦を始めようと企みます。ですが、マーシャルは米国大統領の昔ながらのファッションに身を包んで、テロリストたちを自らの手で叩きのめしていきます。
万が一『ダイ・ハード』のジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)が大統領になるようなことにでもなれば、まさにマーシャルのようになることでしょうね。
『ディープ・インパクト』(1998年日本公開)のトム・ベック大統領
映画の中で米国大統領という地位が何より輝くシチュエーションと言えば、上述したような地球存続の危機です。
本作で窮地の中、世界の国民を希望へと導くのが、名優モーガン・フリーマン演じるベック米国大統領です。
巨大な彗星の衝突で地球が粉々になることを、人々に信じさせられるような演技をするには、きっと緻密(ちみつ)な役づくりが必要だったことでしょうか。
そしてベック大統領は、国民を見事平和へと導くのでした。
『ジオストーム』(2018年日本公開)のアンドリュー・パルマ大統領
気象を混乱させる「ダッチボーイ」というシステムを使って、世界中のトルネードや洪水、吹雪などの悲惨な自然災害のダメージを軽減しようとするキャラクターが、良い大統領だと主張するわけではありません。
本作は衝撃的なほど、ツッコミどころ満載の内容です。その中でもアンディ・ガルシア(1956年4月12日~)演じるパルマ大統領は間違いなく、映画史上最も理想からかけ離れた米国大統領だということは最大級ツッコムべきところです。
パルマ大統領は、プロット上最も重要な立場にあるにもかかわらず、全く目立たずさえない存在であり、周囲が大統領と呼ぶからという理由だけで大統領と認識できる存在です。
とは言え、小さな星条旗のバッジをつけている限り、彼は地球上で最も重要な男であることは誰もが映画上では認識できます。
『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』(2020年日本公開)のシャーロット・フィールド大統領
衝撃的な未来を描くSF映画のような場合を除けば、映画の中に女性の米国大統領が登場することはあまりありません。
しかしながらシャーリーズ・セロン(1975年8月7日~)は、この魅力的で独創的なラブコメ映画でそんなガラスの天井を突き破りました。
セロン演じる国務長官のフィールドは、大統領選への出馬を目指しますが、優秀なスピーチライターが必要だと考えます。ここで出てくるのが、ローゲン演じるトゲのあるジャーナリストのフレッドです。そうして彼は、自分の幼少期のころのベビーシッターでもあったフィールドのスピーチを強化するため、雇われることになります。
そんなフレッドは、実は年上のフィールドに子ども時代から恋心を抱いていたのでした…。こうして、彼女は最終的に大統領になるだけでなく、自らの遊び心を再発見し、自由な世界の極めて健全な指導者となるのでした。
唯一気になるのは、そんな彼女は南アフリカ出身であること。2007年にはアメリカ国籍を取得しているということですが、すべてはセロンが決めることでしょう。日本では二重国籍の議員が、大臣そして党代表にもなったことがありましたし、その点はアメリカのほうがきっと寛大でしょう。
『インデペンデンス・デイ』(1996年日本公開)のトーマス・J・ホイットモア大統領
大統領スピーチで言うなら、このビル・プルマン(1953年12月17日~)演じるホイットモア大統領のそれが一番印象的かもしれません。
ローランド・エメリッヒ監督作品である『インデペンデンス・デイ』(1996年)で、彼が演じるホイットモア大統領は、エイリアンの侵略に対抗して自らがリーダーとなり軍隊を結集させます。そこでエイリアンへの反撃開始の直前に、「われわれは戦わずして絶滅はしない。われわれは生き残り、存在し続ける。それが今日、われわれが讃(たた)える人類の独立記念日だ!」との言葉は、映画史に残る屈指の名スピーチとして現在も語り継がれています。
脚本家のなせる技と言えばそれまでですが、実際の大統領にも複数のスピーチライターがいるわけですので…。
『エンド・オブ・ホワイトハウス』(2013年日本公開)のベンジャミン・アッシャー大統領
日本版編集長が個人的にもイチ推しとなるのが、アーロン・エッカート(1968年3月12日~)が演じるアッシャー大統領です。
自らが信頼できる人としての証として、登場する部下そして家族も素晴らしい人々に囲まれながら執務を全うしている様子が随所に感じられるのです。さらにテロに屈せず、自らも戦う逞しさは、目を見張るものがあります。また年齢的にも、50代がふさわしいのでは…と個人的に思っているので。
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Source /Esquire UK
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です