アメリカの最新軍事部隊である「アメリカ宇宙軍」。その視線はバズ・ライトイヤーのセリフ"To infinity and beyond!"のように、遥か彼方の銀河の世界に向けられていながらも、その足元は4本の蹄(ひづめ)で地球の大地を踏みしめるときもあるのです。「蹄? それは馬では?」とお思いでしょう…。そうです、あの馬です。

 最新の軍事技術で装備を固め、米軍の中でも最もハイテクな部門というイメージのある宇宙軍ですが、何千年も前からあるローテクな乗り物とも言える馬を抱えています。最近、新入りとして「ゴースト」と名づけられた1頭の馬が加わりました。

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U.S. Space Force Introduces Military Working Horse To The Public
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     「ゴースト」は、アメリカンクォーターホースと呼ばれる品種の馬です。がっしりとした筋肉質の体型で、性格も穏やか。粗食にも耐える品種として知られています。アメリカ国内で主に乗馬・牧畜作業・競馬用として使用されることが多く、世界中における登録数は400万頭余り。事実上、世界で最も頭数の多い品種の馬になります。

     以前「ゴースト」は、米国土地管理局(the Bureau of Land Management)が運営する「里親・養子縁組プログラム」の馬でした。そこから移管され、現在はヴァンデンバーグ空軍基地(Vandenberg Air Force Base)の保全作業馬プログラムの訓練に従事しています。

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     「ゴースト」とその相棒の騎馬隊員にとって、ヴァンデンバーグ空軍基地のパトロールが現在の日課となっています。カリフォルニア州南部に位置するこの基地は、9万9600エーカー(約403平方キロメートル)という広大な敷地を持ち、アメリカ国内でも5番目に大きい空軍基地です。海岸沿いの丘陵地やビーチなどの変化に富んだ地形を有していることもあり、数頭の馬が基地内をパトロールする唯一の基地として知られています。「ゴースト」は、そのパトロールを担当する馬の中の1頭になります。

     「ゴースト」が所属する軍の作業馬プログラムの馬たちは、さまざまなミッションを請け負っています。その中には、魚類と猟鳥獣類の法の施行や絶滅危惧種の管理も含まれます。その活躍の様子は、以下の動画に収められています。

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    The only Working Horse Program in the U.S. Air Force
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     馬が最初に家畜化されたのは、6000年前と言われています。そんな昔ながらの乗り物を最新の軍事技術で装備を固めている宇宙軍が頼りにしていることは、いささか意外にも思えるかもしれません。

     ですが、「ゴースト」をはじめとするこのプログラムの馬たちは、SUVやATV(All Terrain Vehicle=四輪バギー)などでさえ走破できない広大かつ起伏に富んだヴァンデンバーグ基地周辺の安全を守る、宇宙を舞台に活動する部隊のお膝元である地球の平和に貢献しているのでした。

    Source / POPULAR MECHANICS
    Translation / Esquire JP
    ※この翻訳は抄訳です。