「これまで、ドレスタイプのミリタリーパンツってありそうでなかったでしょ? それが新鮮で受け入れられたのではないでしょうか」

と語るのは、2021年春夏にデビューした新進パンツブランド「タンジェント」のディレクター、柴谷 修さんだ。なるほど。言われてみれば、物が入らない形だけのカーゴポケットを張りつけた細身のドレスパンツはあるけど、あれはミリタリーパンツとは言えないな。

タンジェントのそれは、一見ヴィンテージのミリタリーパンツかと思わせる本格的なディテールが満載。でも、テーラリングの手法で立体的に仕立てたパンツは見た目もはき姿もキレイで美しく品がある、正真正銘のドレスパンツなのだとか。

綿谷寛
Hiroshi Watatani
近年ヴィンテージ市場で再ブレークし、価格が高騰しているフランス軍の名作「M-47」から着想を得てデザインされた、タンジェントの「ピエール」。今期はそのブランドの人気作をショート丈にアレンジしたショーツが登場。本格的なディテールの作り込みなど、ミリタリー然とした武骨さは残しつつ、太すぎないシルエットは大人がはくのにちょうどいいバランス。3万3000円(タンジェント/タンジェント TEL 050-5218-3859)

「試しにこれをはいてみてください」と柴谷さんがすすめてくれたのは、40年代英国軍のグルカパンツをベースにした「ヘンリー」というモデル。色はミリタリーらしからぬオフ白だけど、ベルト部分には特徴的なボタン留めのループタブが配され、幅広の腰バンドの感じは紛れもなくグルカだ。早速試着してみた。

お~っ! ワタリから裾にかけてのズドンとワイドなストレートといい、おへその位置まである深い股上といい、40年代らしいヴィンテージミリタリーのシルエット。

がしかし、立体的なパターンと綿100%なのにウールのようなしなやかでドレープのある生地のおかげで、まるで往年のハリウッドスターがはいていたかのようなクラシックでエレガントなドレスパンツのように見えるから不思議だ。柴谷さんはこれを、ノークッションのジャスト丈ではくことを推奨する。

「パンツは太いか細いか、丈が長いか短いかでスタイリングの印象が大きく変わるもの。うちのパンツを着こなしの核にしてもらえたらうれしいですね」

ちなみにブランド名であるタンジェントは、学生のころ習った三角関数…。そう“サインコサインタンジェント”のタンジェントからとっているとか。

三角関数がどういう方程式だったかはもう覚えてないけど、これからは“ミリタリードレスタンジェント”と覚えておこう。

綿谷画伯がたどり着いた、
進化した今の
トラッドスタイルがこちら

綿谷寛
Hiroshi Watatani
ブランドを象徴するグルカパンツ「ヘンリー」は、存在感のあるワイドなシルエットが特徴。強撚糸を使用したコットンツイルの生地は、一見ウールかと見まがうほどなめらかな風合いで、そのたたずまいは何ともエレガント。また、ベルトの幅を広く取ることで帯をギュッと締めたような、吸いつくフィット感を実現しています。3万6300円(タンジェント/タンジェント TEL 050-5218-3859)

●問い合わせ先/
タンジェント
TEL
050-5218-3859

公式サイト

※メンズクラブ2022年7月号掲載記事の転載です。掲載内容は発売日時点の情報となり、価格の変更や売り切れの場合がありますので、最新情報については問い合わせ先よりご確認ください。