「日本人の美意識でヨーロッパのモノを整えたい」と語るのは、2019年にスタートした新鋭ブランド、ユーゲンのデザイナー小山雅人さんだ。

「独立する前は某セレクトショップで、オリジナルウエアの企画やデザインを担当していました。ヨーロッパの名門ブランドやデザイナーズブランドの服に囲まれた環境の中で服づくりを学べたことは、大いに勉強になりましたね。また当時、先輩方からも数々の課題をいただきました。ヨーロッパの一級品の服を渡されて、それをバラして研究し、試作品をつくっては見てもらうのですがいつもダメ出し。何がどうダメなのか教えてくれない。まねしたくても、簡単にはできない服が放つオーラとは何なのか? それを突き詰めていくうちに、単にコピーではなく“日本人の体形に合わせてもっとこうすればいいのに”という欲が出てきまして…。それで自分のブランドを立ち上げました」と小山さん。

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Hiroshi Watatani
1930〜40年代につくられたフランスのワークジャケットをベースにデザインされた「スティーブ」。肩のつくりに特にこだわっており、かっちりとしていながらもパットは使っておらず、独特のドレープ感としなやかなフォルムが表現されています。袖の仕様は二枚袖で動きやすく、ウエストにシェイプを入れていないため普段使いしやすいリラックスした仕上がりに。9万6800円(ユーゲン/イデアスTEL 03-6869-4279)

なるほど。確かに欧米人の体形に合わせた服を着るとサイズのみならず、なんか着心地がしっくりこないことはよくある。「画伯、試しにこれを着てみてください」と手渡されたのは、デビューシーズンから続く定番のバルマカーンコートの「ダニエル」。あっ! 肩がいつもよりなで肩に見える♡ 超うれしい! あのね、スーツでもジャケットでもコートでも、メンズの羽織りものはなで肩のほうが映えるのよ。

「はい(笑)。これは40年代のアメリカのミリタリーコートをベースにしていますが、オリジナルより肩の傾斜を強めにし、袖の角度をやや下に向けて設計することで美しい肩の丸みを描くシルエットが実現しました」――設計、仕立てがいいから着心地が軽くストレスフリー。しかも、背中が男らしく映るオマケ付き(笑)。「ストリートやユニセックスなど、いろんなテイストのファッションがあっていいと思いますが、私はあえてタイムレスでクラシックなメンズ服を追求したいです」――令和の男らしい服は任せた!

綿谷画伯がたどり着いた、
進化した今の
トラッドスタイルがこちら

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Hiroshi Watatani
かねてよりなで肩に強い憧れがあった綿谷画伯の夢をかなえてくれた、ブランド定番のコート。小山さんいわく、「理想的なコートの条件は、肩のシルエットと後ろ姿がかっこいいかどうか」。その言葉どおり、このコートは誰が羽織っても男の色気が漂う立体的なフォルムが最大の特徴。襟を立てたときが一番美しくなるよう設計されているのもポイント。19万8000円(ユーゲン/イデアスTEL 03-6869-4279)

●問い合わせ先/
イデアス
TEL 03-6869-4279

(メンズクラブ2022年2月号より)
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