健康管理に役立つ「スマートリング」、勝敗を分けるのはファッション性か？

2020年の夏、新型コロナウイス感染症の感染率が上昇する中で、休眠状態にあったスポーツリーグは復活を目指して対策を練っていました。そんな中、バスケットボールリーグのNBAが助けを求めたのは、意外にもフィンランドの新興企業でした。

それが、スマートリングのパイオニアである「オーラリング」です。同社はチタン製のリングと専用アプリを通じて、選手の心拍数、呼吸器の健康状態、体温を分析し、ウイルスの初期兆候を特定できる可能性をNBAのチームに提供しました。この軽量リングはスマートウォッチよりもはるかにコンパクトで、スポーツ中の動作を邪魔することがないため、NBAはこの洗練されたセンサー付きのデバイスを2000個購入したのです。そうしてリーグが再始動した後、新型コロナウイルス感染症によるクラスターは1度も起こらないままシーズンを終了することができたのです。

2015年にシンプルな睡眠記録ツールとして誕生したこの製品ですが、今や公衆衛生の必需品として高い評価を得ています。売上は前年比2倍となり、2021年末に第3世代モデルを発売しています。しかしながらこの分野で、オーラリングが独り勝ちし続ける時代は、間もなく終わりを告げるかもしれません。

2022年1月に開催されたCES（コンシューマー・エレクトロニクス・ショー）2022では、2つのバイオメトリクス・リングが展示されていました。アメリカのブランド「Movano（モバノ）」は慢性疾患を監視し、フランスの新興企業「Circular（サーキュラー）」は睡眠データをより深く掘り下げようとしています。他にはアップル社も注目です。その脅威は最も大きく、同社が2015年に申請したスマートリングの特許も2022年中に実現すると予測する専門家も少なくありません。

問題は、この中のどれがファッション界で信頼性を獲得できるかどうか？ です。この結果のよって、今後の勢力図は大いに変わっていくでしょう。

「オーラリング」は最近、「GUCCI（グッチ）」とコラボしたスマートリングを発表しましたが、それで終わりとは思えません。コラボレーションであれ、セレブリティとのタイアップであれ、メンズジュエリーのブームに乗ろうとするテックブランドは、他のブランドより賢く立ち回る必要をすぐに察知し、さらにすぐさま行動を起こすからです。

今後もこの分野がどのような動きで私たちのスタイルへと浸透していくのか？ 要必見です。