どこよりも客観的に、応援すべき国をピックアップしました。
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皆さんは、4年に1度のサッカーの祭典「ワールドカップ」をTV観戦していますか?
溢れだすほどの才能をもつ世界中のサッカープレイヤーたちが、スポーツ界でも最高の栄誉の1つであるトロフィーを得るため、1カ月におよび戦いを繰り広げます。
サッカーロシアW杯2018は、6月14日(木曜日)に開催国である「ロシア」と石油大国の「サウジアラビア」という対戦で開幕しました。
サッカーファンならすでにご存知の通り今回のW杯には、大会の歴史のなかでも強豪と言える「イタリア」や「オランダ」、「ガーナ」、「チリ」、「コートジボワール」などの強豪国が出場を逃し、「エスクァイア」の地元である「米国」も予選敗退を喫してします。
確かに、もっとも勝ち抜くのが容易と言われている北中海カリブ地域で、米国が予選落ちしたのは残念なことです。だからといって、「エスクァイア」がW杯を無視することなんてしません。当「エスクァイア・デジタル」ならば、日本代表を応援しなくてはなりませんし!
ここで客観的な視点で展開させていただきます。事実に基づけば自国以外でも、華麗なるプレーを展開することで応援したくなる代表チームは間違いなく存在します。
今大会でも人気となっているのが、例年と同様に「ドイツ」や「ブラジル」、「アルゼンチン」、「スペイン」、「フランス」といった国になります…。が、今回、これらの国は無視しましょう(笑)。あ、失礼。「フランス」と「アルゼンチン」は残しておきましょう。
…というわけで、ここからは注目すべき8つの代表チームについて、「応援しなければ!」と思わせてくれるような事実の数々を紹介します。
【紹介国】
#01.アイスランド代表
#02. ナイジェリア代表
#03. ベルギー代表
#04. メキシコ代表
#05. ポルトガル代表
#06. アルゼンチン代表
#07. エジプト代表
#08. フランス代表
アイスランド
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この小さな島国でここ数年、サッカーの代表チームは正当な理由で尊敬の対象となり、カルト的な人気を得てきました。
アイスランド代表はユーロ2016のなかで、チームとして一人ひとりの選手の力の総和を超えたパフォーマンスを見事に発揮。開催国となったフランスまで遠征してきた熱狂的なファンたちが作り出した雰囲気も、これに大きく貢献したことも忘れられません。
注目すべきポイントは、試合後の手拍子チャントです。これは、まるでラグビーニュージーランド代表の「ハカ」パフォーマンスのようなものであり、バイキング時代から続くアイスランドの伝統文化であるようです。
ユーロ2016においてアイスランド代表は、決勝トーナメント1回戦でイングランド代表を破るという大番狂わせを演じました(結果はベスト8)。奇しくもそれは、イギリスがブレグジット(EU離脱)して間もないタイミングであり、イギリスにとってはこれによって「1週間で2度目のヨーロッパ離脱」となったというわけです…。
そして今回、アイスランドにとっては初めてのW杯となるわけです。注目選手はMF(ミッドフィルダー)のギルフィ・シグルズソン選手(エヴァートンFC所属)。プレミアリーグのクラブを渡り歩いてきた名手です。
2018年6月16日、W杯ロシア大会グループD予選にてアルゼンチンと対戦し、メッシ選手とマッチアップするシグルズソン選手。結果は1-1。Photograph / Getty Images
ナイジェリア
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アフリカ最大の経済大国ナイジェリアは、各国の代表ユニフォームのデザインの中で最高と評され、すでに爆発的な人気を誇っています。また、代表チームの衝撃的なほどクールな空港でのスタイルも大きく話題になりました。
ナイジェリア代表は6度目のワールドカップ出場で、アフリカの伝統的大国として唯一予選を通過したチームとなります。若き攻撃陣は才能に溢れ、アーセナルのFWアレックス・イウォビ選手やチェルシーのFWヴィクター・モーゼス選手、FWケレチ・イヘアナチョ選手やFWアーメド・ムサ選手などが含まれています。
また、ナイジェリアサッカー協会のスペルミス(2003年にフィンランドで行われたU-17W杯に出場した際、ユニフォームに"MICHAEL"のスペルが"MIKEL"と間違ってプリントされていた)を気に入って、その名に改名したというエピソードでも知られる、セントラル・ミッドフィルダーのミケル・ジョン・オビ選手(天津泰達足球倶楽部所属)のような往年のベテランもいますので、手強いチームとなるでしょう。
そんなナイジェリアは、アイスランドやアルゼンチンと同じグループDに入っています。今大会のグループDは、注目すべき対戦ばかりです。
ベルギー
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サッカートレンドに敏感な人が優勝チームを予想した場合、多くの人がこの欧州の中堅国の名を挙げるでしょう。現在の代表チームは、黄金世代を迎えているのですから…。
今シーズンのプレミアリーグで、年間最優秀選手の2位になったMFケビン・デ・ブライネ選手(マンチェスター・シティFC所属)、ここ何年もワールドクラスの実力を発揮してきたFWエデン・アザール選手(チェルシーFC所属)といったタレントのほかにも、各ポジションに才能あふれる若手選手たちが揃っているのです。
また、ベルギーのオランダ語地域とフランス語地域それぞれの出身者や移民出身の選手など、さまざまなバックグラウンドをもつ選手がいるのも特徴です。異なる背景をもつ国民が代表チームを応援するために1つにまとまるわですから、チームの成功は国内の政治的・文化的隔たりを橋渡しする大きな役割を担っているわけでもあるのです。
ベルギー代表はグループG(最も突破が簡単そうなグループの1つです)に入っており、決勝トーナメントに進むことは間違えない…と、多くのサッカーファンが思っていることでしょう。
メキシコ
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米「エスクァイア」の立場から言えば…現在の米国とメキシコの関係は、お世辞にも最高とは言えません。ですが、米国がパナマによって敗退に追い込まれたいまでは、メキシコは北中米カリブ海地域でもっとも力のあるチームであると堂々と言えます。また、彼らのクールなアウェイユニフォームにも注目するべきです。
メキシコ代表は過去6度のワールドカップで、ベスト16に進出するという素晴らしい記録を誇っています。この結果は、ドイツやブラジルのようなサッカー大国にしか成し遂げることのできない偉業であり、まさかメキシコがそんな結果を出しているなんて思ってもみない人も多いことでしょう。とはいえ上記2か国は互いに3度、ワールドカップトロフィーを掲げています。ですが、メキシコはベスト16の壁に阻まれ続けているのは事実なのです。
そんな「ベスト16チーム」の汚名返上を狙う代表は、素晴らしいヤングタレントたちを独創的なオソリオ監督が率いています。そして現に、2018年6月17日に行われた優勝候補ドイツ代表との対戦となった初戦は、見事1-0で白星スタートとなったメキシコ、この大会の台風の目となることは間違いなしでしょう。
ポルトガル
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ユーロ2016の覇者であるポルトガル代表は、この男なしには語れません。そう、クリスティアーノ・ロナウド選手です。ロナウド選手は圧倒的なフィジカルや爆発的スピード、決定的なゴールセンスを併せもつポルトガル代表の原動力です。
過去5年間でバロンドール(世界年間最優秀選手賞)を4度受賞したロナウド選手は、両足を遜色なく使えるだけでなく、ヘディングについても世界トップクラスの選手です。
そして、このような至高の才能をもつだけでなく、試合でのハードワークを厭わない選手でもあります。さらなる伝説を築くロナウドを観るためだけでも、ポルトガル代表を応援する価値はあります。シャツを脱ぎ捨てるだけでもドラマになる男なのですから…。
初戦でスペインと対戦したポルトガルは、3対3で引き分け。この日、クリスティアーノ・ロナウド選手がハットトリックを決め、サポーター大興奮していました。「今大会が最後のW杯とも噂されるクリスティアーノ・ロナウド選手が、今大会の主役となる!」と断言するファンも多いことでしょう。
そして、ユーロ2016覇者であるポルトガルがどこまで勝ち上がるかは、世界中が注目しているところ。皆さんもぜひ、フォーカスしてください。
アルゼンチン
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ポルトガル代表にクリスティアーノ・ロナウド選手がいると言うのなら、アルゼンチン代表にはメッシ選手だけでなく、豪華攻撃陣がいるのです。
ポルトガル代表と大きく違うところは、キーとなる選手が激しくマークされていたとしても、他のオプションが豊富にあるというところです。メッシ選手が塞がっているなら、FWセルヒオ・アグエロ選手やFWパウロ・ディバラ選手といった、強力なゴールゲッターがいるわけなのです。
…とは言いますが、世界中の誰もが、このチームの命運はFWリオネル・メッシ選手にかかっていることは知っています。
バロンドールを5度受賞したメッシ選手は、いまもなおグラウンドで遊ぶ少年のような印象を抱かせます。
彼はその本能的な動きや誰にも真似できないスキルによって、長年数えきれないほどの試合で世界最高のディフェンス陣を切り裂いてきました。そのボールタッチは磁石のようで、1度ボールをもてば、まるでボールが紐で足にくっついているかのようです。また、メッシは圧倒的な視野の広さにより、周りのあらゆる動きや次に何が起こるのかを感じ取ることができるのです。サッカー史上もっとも優れたドリブラーの1人として現に、ゴールとアシストを量産し続けているわけですから…。
メッシ選手はサッカー界で唯一無二の存在であり、もっとも華々しい記録を打ち立ててきたプレイヤーです。ですが、それほどの天才メッシ選手ですが、アルゼンチン代表としては主要大会で優勝したことはありません(バルセロナでは主要トーナメントで29回決勝にたどり着き、21回の優勝、28ゴール、14アシストを記録していますが…)。そこがアルゼンチンの英雄マラドーナと違うところであり、「彼はまだアルゼンチンをW杯で優勝へと導いてないので、アルゼンチンの英雄などではない…」と評する国民も少なくないということです。
2014年のW杯ブラジル大会でアルゼンチン代表を決勝まで導いたメッシ選手ですが、結局は圧倒的なドイツ代表の前に敗れ去っているのです。ですので、このW杯ロシア大会は、メッシ選手にとって代表無冠の汚名を返上し、新たな伝説を作る大きなチャンスなのです。だからこそ、アルゼンチン代表を応援する価値は十分にあるのです。
エジプト
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「今大会、台風の目のひとつになるのでは?」と期待されてきたエジプト代表。しかしながら、その勝利への水先案内人として期待のかかるスター、FWモハメド・サラー選手の出場が怪しい状況となっています。それは2018年5月26日に行われたチャンピオンズリーグ決勝(サッカー界でもっとも権威ある優勝カップを争う戦いです)で、サラー選手は腕を引かれて倒れ込み、負傷してしまったからです…。
昨年のプレミアリーグの年間最優秀選手賞に輝いたサラー選手は、リーグ戦36試合で32ゴールを決め、チャンピオンズリーグではリヴァプールFCのメンバーとして決勝までたどり着きました。彼は冷静なゴールスコアラーであり、危険なドリブラーでもあり、電撃のようなカウンター攻撃が武器となっています。彼ほどの才能をもつ選手は、長いことアフリカからは出てきてはいません。あえてその名を挙げるなら、カメルーン代表として活躍したサミュエル・エトー選手の時代までさかのぼる必要があるでしょう。
実際、サラー選手は本大会に間に合いました。が、そのコンディションは気になるところです。サラー選手がいれば、エジプト代表はもっともエキサイティングなチームの1つになる可能性が多いのあるのですから…。その逆に、彼なしではすぐに忘れ去られてしまう国となることでしょう。
クリスティアーノ・ロナウド選手率いるポルトガル代表以上に、このエジプト代表ほど、1人の選手によってその命運が左右されるチームはないでしょう。
フランス
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フランス代表は衝撃的なほど才能に溢れ、ブラジル代表やスペイン代表、ドイツ代表と並ぶ優勝候補に挙げられています。ですが、これらのチームと違うのは、彼らのワールドカップの歴史は華々しい成功と不可解な混乱が入り混じっているというではないでしょうか。
今年のフランス代表には、FWアントワーヌ・グリーズマン選手やFWキリアン・エムバペ選手のような最高のタレントがいます。他にも、ポール・ボグバ選手は世界トップクラスのセントラル・ミッドフィルダーであり、ダイナミックなフィジカルと素晴らしいテクニックを有しています。
ちなみに、フランス代表についての興味深い裏話としては、スターストライカーのカリム・ベンゼマ選手が、チームメイトのセックスビデオに関する恐喝スキャンダルへの関与で代表から追放されたということでしょう。
そんな混乱を乗り越えるカタチで、エースストライカーのグリーズマン選手のパフォーマンスによって、フランスの勝利を導いてくれるを祈りましょう。
By Jack Holmes on June 14, 2018
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ESQUIRE US 原文(English)
TRANSLATION BY Wataru Nakamura
編集者:山野井 俊