「これまでのコレクションでも 、 さまざまなバックグラウンドを持つ多くの人々とともに製作してきました 。その 一方で、今回はこれまでとは異なる方法で 、 誰かと取り組みたいと考えていました。ディオールを異なる視点から見ることのできる誰かと…」と話すのは、「ディオール」のメンズ アーティスティック ディレクターのキム・ジョーンズです。
キムはこれまで、「Sacai」や「ビルケンシュトック」、アメリカ人アーティストのトラヴィス・スコットなど、数々のコラボレーションを果たしてきました。クリエイティブな対話から新たなスタイルを生み出したり、モダンと伝統を融合させるのはキムの得意とする分野。そして今回も、「ERL(イーアールエル)」のクリエイティブ ディレクターであるイーライ・ラッセル・リネッツをゲストデザイナーに招いた、「スプリング 2023 メンズ カプセルコレクション」が発表されました。
現地時間2022年5月19日(木)の夕暮れ時に、ロサンゼルス・ヴェニスビーチのウィンドワード通りに設置された、一帯がブルーで覆われたランウェイの上をモデルが歩き始めました。ここヴェニスはラッセル・リネッツが生まれ育った場所であり、ビートニクやヒッピー、ボヘミアンカルチャーの中心地。
今回のカプセルコレクションのテーマ「カリフォルニア クチュール」は、ウェストハリウッドの隣人からヒントを得たということ。もちろんそこには、キムが得意とする伝統とモダンが見事に融合されており、ムッシュ・クリスチャン・ディオールが誇る高次元の職人技術による構築的なエレガンスがモダンなエッジが取り込まれているのです。
このLAへのラブレターの中で、キムは「ディオール」の最もアイコニックなシルエットである「ニュールック」にオマージュを捧げていることがわかります。この「ニュールック」とは、1947年にクリスチャン・ディオールによって提案された優美感にあふれ、なで肩、そして細くしぼられたウエスト、たっぷりとしたフレアの長いスカートが特徴のスタイル。これを当時の『Harper’s Bazaar』US版編集長カーメル・スノーが「ニュールック」と名づけたということ。
そんなわけでキムは、この「ニュールック」を現代の働くアメリカ人のためにアレンジしたというわけです。伝統的な「ニュールック」のように、カプセルコレクションのスーツはウエストが細く、他の部分はビッグシルエットになっているのは見て取れるはずです。
しかしながらこのコレクションは、「このヴェニスという街の観察記を具現化した」と言ってもいいかもしれません。この不思議な街には、2つの生活スタイルが存在します。このカプセルコレクションではそのギャップを、見事に融合させ具現化しているのです。スターを生み出す華やかなパーティがある一方で、魂を癒す朝のセラピー・セッションもあり、その両方に対応できるファッションをここで提案しているのです。
ここで提案されたスタイルは、寝起きは悪くても良い身なりをしているパーティーボーイたちのためのファッションと言えます。
カプセルコレクションをまとったセレブたち
Source / ESQUIRE UK