アストンマーティンとレッドブル・レーシングは、ハイパーカー「ヴァルキリー」をフランクフルトモーターショーで発表。我々は驚くべきロードカーの序章を見たのかもしれません。

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 AUSTON MARTIN(アストンマーティン)は、2016年からこのハイパーカー開発を仄めかしてきました。そして2017年初旬には正式に、F1チームのRedbull Racing(レッドブル・レーシング)と共同でV12エンジンをミドシップに搭載するハイパーカーを開発していることを発表。そして2017年7月12日に、その最終形として外装と内装のデザインも公開されています。

 最初はコードネーム「AM-RB001」として登場しました。さて、その正式なモデル名は何になるか?と、ワクワクしていたファンも多かったことでしょう。

「Vantage(ヴァンテージ)」や「Vanquish(ヴァンキッシュ)」、そして「Vulcan(ヴァルカン)」など、特別なモデルには「V」から始まるモデル名をつけてきたアストンマーティン。ご多聞に漏れず、今回の最新ハイパーカーの名も「valkyrie(ヴァルキリー」に。日本では「ワルキューレ」という発音が知られていますが、こちらはその英語表記の発音であり、戦死した英雄たちの霊をバルハラに導く神に仕える乙女たちの1人を意味しています。北欧神話に登場する半神になぞることで、その力強さ、その誇り高き存在を連想させるモデル名となりました。

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 この「ヴァルキリー」は現在、最もエキサイティングなクルマと言って過言ではないでしょう。なぜなら、アストンマーティンとレッドブルレーシングによるパートナーシップもその一因となっています。2005~2014年に、レッドブル・レーシングにおけるF1マシンデザイナーとして名を馳せたエイドリアン・ニューウェイ氏が、この「ヴァルキリー」をアストンマーティンと共同で手掛けているのです。

 2018年には、レッドブルのメイン・スポンサーに就任する可能性があるとの噂もあるアストンマーティン。F1への参戦を鑑みてか、これらの将来の製品を開発するため両社は英国レッドブル・レーシング社のミルトンケインズ工場で「Advanced Performance Center」を開設。110名の設計者とエンジニアが働いています。そしてアストン・マーティンは2021年と具体的にターゲット定め、F1エンジンのサプライヤーとしての役割も検討しているようです。
 

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 上の写真は2017年10月3日(日)、東京でこの「ヴァルキリー」が展示されまたときのもの。エクステリアデザインは95%完成しているとのこと。この日、会場にはアストンマーティンのチーフクリエイティブオフィサーのマレク・ライヒマン氏、そして、当メディアでもインタビューしているRedbull RacingのF1ドライバー、ダニエル・リカルド氏、そして元F1ドライバーのマーティン・ブランドル氏、デビッド・クルサード氏の4名をスペシャルゲストに迎えながら、Valkyrieショーケースイベントとして開催されていました。 

 
⦅では、アストン マーティン
「ヴァルキリー」の詳細をご覧ください!⦆

アストンマーティン「ヴァルキリー」の詳細

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【プロジェクト】

このプロジェクトは、アストンマーティンのチーフ・デザイナーであるマレク・ライヒマン氏と、監修を務めるスペシャル・プロジェクト&モータースポーツ部門のディレクターであるデビッド・キング氏が指揮をとっています。また、レッドブル・レーシング側からは、テクニカル・ディレクターであるエイドリアン・ニューウェイ氏が加入。このコラボ―レーションによって互いのメリットは融合され、シナジー効果を極限まで発揮しているようです。この美しさ、この速さ…を見るに。高次元のGTカーを次々と生み出してきたアストンマーティン。その経験と智慧に、レッドブル・レーシングがF1参戦で培った究極のパフォーマンスへの飽くなき向上心、この2つの革新が見事なケミストリーを誘発し、想像を絶するハイパーカーを完成させてくれるに違いありません。

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【ネーミング】 

当初、「AM-RB 001」というコードネームで開発がすすめられてきたこのクルマ、その後、北欧神話に登場する女性の半神を意味する「Valkyrie(ヴァルキリー)」というネーミングに決定します。アストンマーティンの好例どおり、特別なモデルのネーミングには最初の文字が「V」から始まるモデル名となるわけです。古代神話の神の名をもとにすることで、神秘的な力と気高さを連想させます。そして、このクルマのオーナーたちは皆、「神に選ばれた者」という崇高なる思いを抱くことになることでしょう。さらに女性的な美しい曲線美、その内側に宿るパワフルなパワートレインのイメージともリンクしています。まさに、アストンマーティンの神対応ではないでしょうか(笑)。

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【エクステリア 01】 

まずは外観から観ていきましょう。ウィンドウが若干アップライトな角度になっています。サイドも全体的にシンプル。アストンマーティンのバイスプレジデントであり、このプロジェクトのデザイン責任者務めるマレック・ライヒマン氏によれば、「ヴァルキリーの生産台数は150台だけです。世界で最も速い走りを実現するクルマを造ろうと、このプロジェクトを進めています」とのこと。

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【エクステリア02】

以前のコンセプトカーにはなかった、特徴的なエアスクープ(空気を取り入れる入り口)がルーフの後端に設けられています。ホイールはフルカバーになっているのがわかるでしょうか。これは、エアロダイナミクスを考慮しての改善だと思われます。マレック・ライヒマン氏は続けて、こんなことも言っています。「単にストレートの道を速く走るだけでなく、公道を走るクルマとしてドライビングフィールを感じることができるための性能を実現します」と。

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【エクステリア03】

キャビンの下からエンジン・コンパーメントの後方まで続く、ベンチュリ・トンネルは近未来感をも表現。まさに「形状は機能に従う」の延長上にある「機能美」が、フルに発揮されています。そして再び、マレック・ライヒマン氏はコメントを。「車体重量は1000kg、最高出力は1000HP、パワーウェイトレシオ1対1を実現するため、様々な革新的技術を投入しています」とのこと。

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【インテリア01】

エクステリアの曲線美とは対照的と言っていいほど、インテリアには男らしさを感じさせます。しかし、それはワイルドな男性というより、エレガントさも醸す未来感を十二分に表現。カーボンファイバー製で、まるで宇宙船のポッドのようにも思えます。シートは直接、フロアにボルトで固定。このシートはやや後方に傾いていて、ドライバーらは足をわずかに上げて座るようなスタイルになっています。それはまるで、F1マシンのようなドライビングポジションになります。標準として4点式ベルトですが、オプションでサーキット走行向けとなる6点式も選べるようになっています。

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【インテリア02】 

左右のAピラーの根元に設置された2つのディスプレイは、ミラーの代わりになっています。エアロダイナミクスを追求したボディと、ミッドシップのエンジンであるため、そこにエアを送り込むスクープが備わっているという理由から、この「ヴァルキリー」にはリアウィンドウというものがありません。これもこのクルマが、「世代を超えた未来カーの誕生」と世界から注目を浴びる要因となったひとつとなっています。

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【インテリア03】

ほとんどの操作が、取り外しも可能となっているこのステアリングホイールに搭載されたスイッチで行えるようになっています。その中央には、OLEDディスプレイが。ここにドライバーに必要なすべての情報が表示されます。

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【エクステリア04】

ヘッドライトは既存のアストンマーティンのモデルに装着されているものより、30〜40%も軽量化したものになります。また、伝統のフロントノーズに付くウイングエンブレムも、通常のエナメル仕上げのバッジではありません。レーザーでエッチングされたアルミ製のエンブレムを採用。これにより、究極なまでの軽量化が図られているのです。そのエンブレムの厚さはなんと、70ミクロン。人間の髪の毛が100ミクロンほどなので、どれだけの薄さかが想像できるかと思います。

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【エクステリア05】

フロント・フェンダーに関して。アストンマーティンのトレードマークとなっているベントは、アグレッシブなカタチで追加されています。このベントは、フロントエンドのダウンフォースを増加させる効果が狙いとのこと。コックピットとフロントホイールアーチ間のボディに設けられたオープニング(通気口)も、これまたド迫力。ここに新たな開口部を設けることで、空力面の効果を最大限追求。さらに、視覚的な効果も最大限の魅力へと引き上げています。

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【エクステリア06】

一見して、このテールライトに特別感は感じた人はあまり多くないでしょう。が、しかし、注目してほしいのは、小さなシャークフィンの先端に装備されたハイマウント・ストップランプです。アストンが世界最小というそのサイズは、なんと幅が5.5mm以下、高さも9.5mmしかありません。

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【パワートレイン01】

ミッドシップ2シーターのボディに、新開発の自然吸気V型12気筒ガソリンエンジンを搭載。そのパワーは、6月に公表されたものによれば「排気量が6.5リットル、最大出力は900馬力」とのこと。完成後はそれ以上の最大出力が期待されています。

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【パワートレイン02】
現時点での最新情報から、より詳しくお伝えしましょう。コスワース製6.5ℓ自然吸気V12ミドシップエンジンで、最高出力は912ps以上とのこと。このエンジンから繰り出されたパワーを、パドルシフト付きリカルド製7速ギアボックスを介して後輪に届けられるます。そして開発テストにおいて、これにハイブリッドパワー(回生エネルギーによりエンジンをアシスト)を加えると、1145psへと向上したという結果も出ているとのこと。さて、完成形はどうなるのか? 期待で胸が膨らみます。

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このプロジェクトは、アストンマーティンのチーフ・デザイナーであるマレク・ライヒマン氏と、監修を務めるスペシャル・プロジェクト&モータースポーツ部門のディレクターであるデビッド・キング氏が指揮を行っています。またレッドブル・レーシング側には、テクニカル・ディレクターのエイドリアン・ニューウェイ氏が加わっています。このコラボ―レーションは、互いのメリットを生かし、シナジー効果を発揮することは明白ではないでしょうか。美しく、しかも速く、さらに快適なGTカーを製作し続けてきたアストンマーティンの経験に、レッドブル・レーシングのF1で培ったパフォーマンスへの飽くなき追求がケミストリーをお越し、想像を絶するハイパーカーを生み出してくれるでしょう。

【動画】アストンマーティン「ヴァルキリー」の詳細

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【動画】
 

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
The Aston Martin Valkyrie: AM-RB 001 hypercar officially named
The Aston Martin Valkyrie: AM-RB 001 hypercar officially named thumnail
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アストンマーティンによれば、発売までにまだいくつか変更が施される場合もあるとも言っています。しかし、特に大きく変わることはないことでしょう。そして、2017年10月4日に日本初公開となった日。アストンマーティンのバイスプレジデントでデザイン責任者も務めるマレック・ライヒマン氏が来日し、「ヴァルキリー」に関してコメントを残しています。それによれば、生産台数は150台限定の予定だとのこと。そして気になる価格は、200万〜250万ポンド。日本円では約3億〜約3億7000万円というお値段。これもまさにハイパー、超越した価格です。すでに予約完売となっているそうで、多くの人がキャンセル待ちをしているとのこと。日本にもなんと、11台上陸する予定となっているそうです。早く「ヴァルキリー」が、公道で走る姿を見たいものですね。 


※もっと詳しく
>>> http://astnmrt.in/AM-valkyrie

By Chris Perkins Sep. 26, 2017
Road & Track
TRANSLATION BY Kazu OGAWA
※この翻訳は抄訳です。
編集者:小川和繁