数世代前のヴィンテージデザインからインスピレーションを得てつくられた車は数多く、その中のいくつかは他を圧倒するほどの成功を収めています。そこには、名車として語り継がれてきたモデルの信頼に足るヘリテージ(価値ある遺産)が効果的に継承され、そのレトロなルックスが魅惑的なヴェールとなって全体を包んでくれるからに他ならないでしょう。
ところがデザインを一歩間違えてしまえば、醜聞をさらすことになりかねないのはご存知のとおり。不具合を有するレトロなデザインというものは、実に忌まわしい気持ちにさせるものです。これまでにも、過去の名声を汚しかねないような車も少なからず登場してきました。栄光はときに、重荷にもなり得るのです。
では、以下で紹介する車はどうでしょうか? もちろん、成功した中でも選り抜きのモデルたちです。過去のヴィンテージデザインを巧みに取り入れつつ、2020年代の車としてしっかりと成立させている名車をご覧ください。
メルセデス・ベンツ「Gクラス」(2022年モデル)
1979年の登場以来、約40年にわたってデザインを大きく変えることなく、最高級クロスカントリービークルとして君臨してきたメルセデス・ベンツ「Gクラス」。「G」とは、ドイツ語でオフローダーを意味する「Geländewagen(ゲレンデヴァーゲン)」に由来します。それまではダイムラー・ベンツ(現ダイムラー)社が、オーストリアのシュタイア・ダイムラー・プフ社と共同開発した軍用車両がルーツになります。その後、メルセデス版W460型の「230G」が1979年のジュネーヴ・ショーで正式デビューするというわけです。
そうして2018年、ついにフルモデルチェンジしたW463A型が登場します。箱型のフォルムや丸形のヘッドライトなどこれまでの特徴を踏襲しつつ、LEDライトの採用やワイド液晶を用いたインパネなどアップデートが施されました。そんなW463A型で選んだのが2022年モデルです。
日産「フェアレディZ」(2023年モデル)
新型「フェアレディZ」のデザインテーマは、「伝統と最新技術の融合」。伝統的な後輪駆動スポーツカーのデザインはもちろん、ロングノーズ・ショートデッキや低重心のリアスタンスなど、歴代モデルから受け継いだデザインが数多く採用されています。
フィアット「500e」(2024年モデル)
フィアット「500」のキュートなルックス、そしてその名前はイタリアの狭い街路のためにつくられたフィアットの初代マイクロカー「500」に由来しています。最新モデルはBEV(Battery Electric Vehicle)で、モダンなアーバンハッチバックに進化しています。
ジープ「ラングラー」(2023年モデル)
現代のジープ「ラングラー」も、角張ったスクエアなボディ、大胆に迫り出したフェンダー、スラットグリルのデザインなど、1945年の「CJ-2A」をルーツに持つ「CJ」シリーズにインスパイアされたデザイン言語を何十年も守り続けています。
ミニ(2023年モデル)
BMW傘下となり、2001年から発売開始された現代のミニは、そのオリジナルモデル「オースチン・ミニ」から最高のスタイリングを継承しながら生まれ変わりました。車格こそ大型化しましたが、60年代のオリジナルデザインに忠実であることは変わりありません。
ポルシェ「911」(2023年モデル)
「911」は1964年の初代モデルからずっと、同じ哲学を持った横顔を継承しています。そして、丸いヘッドライトとリアエンジンのレイアウトは、「911」がポルシェの築いた栄光の継承者であることを物語っています。
フォード「ブロンコ」(2023年モデル)
残念ながら日本国内への正式輸入はありませんが、本国アメリカでは2021年の登場以降、新型コロナウイルスのパンデミックの影響もあり、品簿が続いている人気モデルです。肝心のデザインですが、スクエアなボディライン、フラットなフロントデザイン、丸型ヘッドライトなど、初代「ブロンコ」から多大な影響を受けたデザインとなっています。
Source / Road & Track
※この翻訳は抄訳です