ボルボが紡いだ安全神話
ボルボのEV戦略が着々と進行しています。
BEV(バッテリー式EV)モデルの日本導入第1弾として2022年1月には、クロスオーバー車の「C40 リチャージ」が登場しました。そして同年7月には第2弾となる「XC40 リチャージ」も発表され、オンライン上で先行販売が行われました。
そして2023年10月。ボルボ史上最も小さなプレミアムSUVとして「EX30」が日本でも発表され、現在はサブスクリプション販売がすでにスタートしています。そして現在のボルボ車のラインナップは、全て電動化モデルです。
パワートレーンは3機種あり、48Vマイルドハイブリッドシステム、PHEV(プラグインハイブリッド)、BEV(バッテリー式電気自動車)という構成です。ボルボは2030年までに完全EVへの移行を宣言しており、今後はますますEVが増えると予想できます。
北欧スウェーデンの自動車メーカーであるボルボは、1927年の創業から一貫して独自の戦略を貫いてきました。ブランドイメージとして真っ先に脳裏に浮かぶのは、安全神話の数々です。
その前に「なぜボルボの安全神話が生まれたのか?」と言うと、今では標準化され、ごく普通の装備となった3点式シートベルトの開発・実用化が起点にあります。
ボルボは1959年にいち早く、この3点式シートベルトを実用化し生産車に反映。現在に至るまで多くの乗員の命を不幸な事故から救ってきました。しかもボルボは、このときに技術特許をあえて取得せず、無償公開し他の自動車メーカーの採用を結果的に促しました。
またボルボは、1966年に衝撃吸収ボディ構造、1972年に後ろ向きチャイルドシートを開発。1970年には既に24時間態勢の自動車事故専門調査チームを立ち上げ、現在も継続し研究しています。
安全装備や環境技術、自動運転へのプロセスなど、具体例を挙げればキリがありませんが、ボルボは衝突事故のない世界を目指し、先進的な安全装備の数々を含め、生産車に標準装備としてフィードバックしているのは紛れもない事実なのです。
北欧らしいデザインに、温もりを感じる
さて、ここからはBEVモデル第3弾となるボルボの「EX30」を見ていきましょう。この「EX30」は、「C40」や「XC40」より小さなボディサイズをもっているのが特徴であり、それがメリットでもあります。そのスリーサイズは全長4235mm × 全幅1835mm × 全高1550mm。都市部の機械式立体駐車場にもスマートに収まってしまう、実用性の高さも持ち味です。
エクステリアデザインはモダンそのもの。BEVの特性を生かしたグリルレスデザインにシャープなヘッドライトを組み合わせ、ひと目見ただけで先進性を感じさせます。リアに回ればテールゲートの面構成はコントラストが効き、ボックス状に配されたコンビネーションランプも手伝って実際のサイズより大きく見えます。
これだけ精悍(せいかん)で個性的なカタチでも悪目立ちしないのですから、ボルボのデザインチームの仕事は「さすが」としか言いようがありません。インテリアは北欧デザインの真骨頂でしょう。日照時間が少なく、自宅で過ごすことの多いお国柄らしく、何とも言えないくつろぎの空間を演出しています。
特に新鮮に映るのは、メーターパネルを大胆に排したダッシュボード周りのデザインです。既存ラインナップの趣とは異なり、最新のデジタル技術を生かし、操作系を中央のモニターに集約。部品点数を減らしリサイクル原材料の比率を高めることで、環境にやさしいクルマづくりを目指しています。
シートやトリム、ダッシュボードには、リサイクルデニム生産時に捨てられていた切れ端や亜麻、リサイクルポリエステルを活用。新たな技法でサステナブル社会への貢献度を高めています。
サブスクリプション販売からスタートした「EX30」ですが、今年(2023年)11月中旬をめどに通常販売も開始する予定です。価格は消費税込みで559万円。「XC40リチャージ」のエントリー価格が679万円ですから、ライフスタイル次第でリーズナブルな1台となるかもしれません(※ともにシングルモーター仕様の価格)。
気になる航続距離は、欧州仕様で最大480km(グレードはUltra Single Motor Extended Range)。日本仕様のWLTCモード(国土交通省審査値)は間もなく発表される予定です。今後も目が離せないスウェディッシュ・ラグジュアリーの世界観を、いち足早く始めてみてはいかがでしょうか。