• 中国の自動運転デリバリースタートアップであるネオリックス社は、武漢での医療用品の配送や道路の消毒に、同社の自動運転バンを活用しています。
  • 新型コロナウイルス流行による需要増で同社のバンは現在、200件もの注文が入っているとのことです。
  • 今回の件で、自動運転バンのメリットが明らかになってきたことにより、中国政府が企業向けに購入金額の最大60%の補助金を出すことを計画しているとのこと。

 世界中で、新型コロナウイルスの感染拡大は続いています。そして、多くの人々が未だ解明できていない新たなウィルスに対し、「どうしたら感染を防げるのか?」を試行錯誤しながら日々過ごしていることでしょう。そんな中、このタイミングで「自動運転車」が救世主として活躍し始めているようです。

 自動運転車をつくるメーカー各社は、長年ドライバー不要の交通手段としての自動運転車のメリットを売り込んできました。ですがこれまでの現実世界において、その最先端技術の必要性を、説得力あるカタチで提案できたか?と言えば、そうではありませんでした。それは皆さんも納得できることでしょう。ゆえに各国の政府の動きも鈍く、懸念点ばかり浮彫りにされてきたわけです。

 しかし、今回の悲しくも壊滅的な感染症によるパンデミックが起こったことによって、自動運転車の存在価値にさらなる注目が集まってきているのです。

 中国の自動運転デリバリー企業であるネオリックス社は、新型コロナウイルスの震源地となった武漢を含めた中国各地で医療用品や食べ物を配送するため、同社が開発した自動運転バンを展開し始めたのです。この小型のバンは、他にも市街地の道路の消毒などにも無人で利用することができるのです。

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 同社は2019年5月にこのバンの生産を開始し、これまでの生産台数はわずか125台でした。ですがここ2カ月間では、200件以上もの注文が入ったそうです。

 世界的な公衆衛生の危機に直面した中国政府は、この緊急事態に自動運転技術の利便性を目の当たりにしたというわけです。そうして中国政府は、「このような配送用バンの購入・運用を希望する企業に対しては、購入価格の最大60%を助成する」という措置を提供することにしたのです…。

 このような喜べない追い風の中、ネオリックス社は年内に1000台のバンを生産・販売する見込みとなっています。

 多くの自動運転車は、混雑した道路での利用が厳しく制限されています。が、現在の中国市街地では、検疫措置で人の姿がほとんどないこともあり、ネオリックス社の配送バンは基本的に予測不能なドライバーや歩行者といった混乱に直面することはないに等しい…平常時とは違って、懸念することも少ないまま公道を走行することができるわけです。

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 米国には、自動運転車やその公道運用に関する包括的な連邦法はありません。ですがウェイモやウーバー、アルゴAIなどの企業は市政府や州政府と密接な関係を築いており、カリフォルニア州、アリゾナ州、ペンシルバニア州、フロリダ州などでテストを実施しています。

 またカリフォルニア州マウンテンビューの企業ニューロ社も、ネオフリックス社のバンにも似た配送車両を開発しています。同社は2020年2月に、人間が運転する他の自動車やトラックに適用される安全基準を満たさない自動運転車の運用を、規制当局から承認されていました

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ニューロが開発している配送車両。

 米国運輸省道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration)による暫定的なこの免除措置は、ニューロ社がテキサス州の公道で2年間にわたって自動運転バンによる低速の試験を行うことを可能にするものです。

 さて、話題は新型コロナウィルスに戻ります。

 2020年3月11日、WHO(世界保健機関)は公式に新型コロナウイルスの感染拡大の状況を「パンデミック」と表明しました。このため、今後道路の混雑はますます緩和されることでしょう。このことは、決して喜ぶべきとではありません。ですが、このような悲しい状況の中、自動運転車がその価値を証明する貴重な機会を得たということは確かと言えるでしょう。


Source / Popular Mechanics
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。