乾杯の準備はできていますか?

 街の街路樹から聞こえるセミの鳴き声も、徐々に少なくなっている今日このごろ。いよいよ秋の気配を感じざるを得ない時期となりました。…ということはつまり、もうすぐラグビーワールドカップ日本大会の開幕です!

 スポーツ好きにとっては、もう胸躍る期間(2019年9月20日~11月2日)の到来なわけです。あのオールブラックスが来日するのですから…。そして現在(2019年9月10日)、オールブラックスとの差わずか0.07ポイントながら、ラグビーワールドランキング1位のアイルランド代表も…しかもこのチームは、日本代表と同じ予選プールAで対戦するのですからたまりません。

 しかしこうした状況を、現実として受け止めきれない方もいるようです。それはラグビーの現場に長らく立っていた方ほど、このことが「未だに信じられない」と言います。もしかすると、それは嬉しさ以上に恥ずかしさの照れ隠しとも言えるかもしれません。かつては常に野球そしてサッカーばかりに陽が当たり、ラグビーは部員数を集まらなかったり、練習するグラウンドも端っこにおいやられがちであったり、そんな環境下で人知れず…そして、どのスポーツよりも負けてないと自負する根性とともに、日々練習に打ち込んできた古参ラガーマンにとっては、このことを素直に受け止めることはできないことかもしれません。

 この日が待ち遠しかった半面、現実に目前にすると…少々小っ恥ずかしくなっている自分がいるのでしょう…というのは邪推でしょうか(笑)。

 実際、そう語る御仁を一人知っています。それは「エスクァイア・デジタル」でも、ラグビーコラムを執筆してくださっているノンフェイクションライターの松瀬 学氏です。氏は、ラグビーの強い県として日本でもトップを争う福岡県出身。おまけに県内でもラグビー名門校のひとつである修猷館高校ラグビー部を出て、さらに早稲田大学ラグビー蹴球部へと進学した根っからのラガーマンであり、“ギョウザ耳”の紳士なのです。そんな氏が言います。

 「ハラハラドキドキというか、ゾクゾクしてきますね。実はまだ、信じられないのです。ウソじゃないですよね、自分のギョウザ耳をひねってみます。イタッ」と、その嬉しさを最近公開したコラム「奇跡のRWCが釜石にも来るぞ!」でも綴っているので、ぜひお読みください。

 松瀬氏のスポーツコラムには、他の方とは一線を画するパワーとココロが宿っているのです。「エスクァイア・デジタル」はそんな氏に魅了され、不定期ながらも連載コラムをお願いしているわけです。もちろんラグビーだけではなくスポーツ全般において、選手側やスタッフ側に立つこともできれば、時には観客側からも、さらには運営側からの視点でも…つまりスポーツを取り巻く360°の視界から、その心を捉える抜群の洞察力を発揮して真っすぐな強さの裏側に秘めた優しさを載せた文体でつづってくれるのですからたまりません。もちろん、ラグビーに関しては戦略的な分析も非常に勉強になります…が、「エスクァイア・デジタル」ではその手の内容はありません、残念ですが。

 …と、だいぶ長い前置きを書いてしまいました。本題に入ります。

 そんな松瀬氏がこのたび、渾身の一冊を上梓しました。今回のワールドカップ招致の顛末や被災地復興、そしてラグビーの価値などにフォーカスした内容で、タイトルは『ノーサイドに乾杯!~ラグビーのチカラを信じて』(論創社)になります。発売は2019年9月10日(火)。この機会に、ぜひともこの“ギョウザミミ”の紳士の文章に触れてみてください。

 そして、この本でラグビーの予習をし、来る9月20日(金)から始まる「ラグビーワールドカップ日本大会」を大いに楽しんでください。そして、その勝利を「乾杯」の一世とともに味わってください! 中には、鳴き止んだセミと選手交代で泣きじゃくる方も出てくるかもしれませんが…。

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