このアカウントをどうやって見つけたのかはさておき、いま気になるインスタグラムアカウント@hotdudesreadingについて、さまざまな角度から調査してみることにしました。

 このアカウントを見たことがないという方が多いかと思いますので、ここで説明すると…アカウントには読書するさまざまな男性の写真が投稿されています。誰がどんな理由で始めたのかは後ほどお話しますが、そこにいる男性たちは皆、「俳優並みの格好良さでセクシー」なのです。もちろん、写真に映る男性たちは一般の方たちで、街中や電車の中でただ単に読書をしていただけのようです。

 確かにスマホの普及により、本を読む人は少なくなってきました。書籍の売り上げは年々落ち込む傾向にあり、出版業界は苦境に立たされています。そんな中、スペインを拠点に活躍する編集者GalloNero(ガロネロ)は、過去の伝説的な俳優などを起用し読書を推奨するためのポスターを出しています。

 スマホのない時代は、多くの人が本の魅力に取り憑かれたように、至る所で夢中になって読んでいました。

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Gallo Nero

 むしろ現在、本を読んでいる人を見かけると、その人の存在がやけに気になってしまいます(それに図書館のシールやスタンプが押されていれば、なおさらです)。本というものはいつの時代も、人を惹きつける魅力があるということではないでしょうか…。

 読書している人には活字文化を大切にする、過去の賢者たちのような知的な雰囲気が感じられ、それが実にセクシーにも感じられるのです。今では、通勤電車の中で漫画本を読んでいる人に対してもそれと同じ気持ちを感じてしまうほどです。それはまるでレイ・ブラッドベリ原作の映画『Fahrenheit 451(華氏451)』のモンターグように、日本で言うなら有川 浩原作の映画『図書館戦争』の防衛部・図書特殊部隊所属 堂上二等図書正(後に一等図書正)でしょうか…。そんなことを考えているのは、エスクァイア日本版の編集部だけかもしれませんが…。

 それ以前にスペイン版のスタッフ、ローザ・マルティはこのアカウントに激しく同意し、アカウントの主とさっそく連絡を取りました。そして、質問攻撃をしています。

 その主…彼女(もしくは彼)らは、一体どんな人物なのか? そして、何をしているのか? この投稿自体、商用のプロジェクトなのか?

 すると幸いにも、彼女(もしくは彼)らから返事をもらうことができたそうです。しかし、匿名が多く具体的には捉えることができなかったようです。とは言え、わかったことがいくつかあったので、ここで共有してもらいました。


アカウント(@hotdudesreading)はどのように始まったのか?

 始まりは単純で、WhatsAppグループ、つまり友人同士の小さなチャットグループから生まれたと言います。彼女(もしくは彼)らはひと目惚れを信じている純粋な若者たちでした。

 ある日、グループ内で「仕事に行く途中に恋に落ちたら」という話が始まり、理想の恋人の写真像を互いに送り合うという流れになったそうです…。そこで、地下鉄で密かに撮った男性が出てきたそうです。いくつか集まった画像を観ていると、それらの素敵な男性に共通点に気づいたそうです。

 それが「本を持っている」ということだったわけです。冗談半分で、Instagramで何かしてみようということになり、2015年の雪が降りしきる日曜日にアカウントが開設されたわけです。スーパーボウルの前日、つまり2月に入りたての寒い日だったそうです。

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フォロワーが増えるまでに時間はかかったか?

 2015年2月4日に初投稿すると、すぐにTwitterでも拡散されたそうです。アメリカで歌手や俳優などで活躍し、ポップバンド「イン・シンク」のメンバーであるランス・バス氏が、『Time』誌に掲載された「今週、Instagramで起こった最高の出来事」に載ったアカウントとして、この@hotdudesreadingをTwitterで紹介しました。すると、すぐにInstagramのフォロアーは4倍になり、2020年2月時点ではなんと119万人のフォロアーを抱えるという結果になったわけです。

プロジェクトの背後にいるのは誰か?

 彼女・彼らは、このまま匿名で更新を続けていくとのこと。

 それでも、「ニューヨークに住む30代の男性と複数の女性のグループである」ということだけ明かしてくれました。彼女・彼らの仕事は、法律関係やファッション、テクノロジー、投資などそれぞれが全く違うフィールドで活躍するグループですが、ユーモアのセンスが似ており、そして何より全員の性対象が男性という点で話が盛り上がるようです。

 各投稿には、ユーモアにあふれたキャプションが書かれており、それらにもたゆまぬ努力があるようです…。このアカウントの更新頻度がそこまで高くないのも、本を読む魅力的な男性が見つからないわけではなく、キャプションをじっくり考えているからだと思われます。

「#hotbabesreading」のような女性版をつくる可能性はあるか?

 最初から彼女・彼らは、性の対象が男性であることを目的にやっており、それは今日の文化において、非常に重要だと考えているようです。さらに彼女・彼らは、ハンサムな男性が好物であることがうかがわれます。このアカウントでは、誠実そうな男性を捉えて、ユーモアのあるキャプションで味付けをしているのです。 なので、現在のところは、女性版の可能性は「NO!」ということになるでしょう。

中でもお気に入りのTOP5は?

 アカウントからは残念ながら、『5人でも20人でも無理です!」という答えが帰ってきました。数年かけてそろえたイケメンコレクションの中から厳選するなんて…それは無理なことだと理解できます。まるで自分の子どもの中でお気に入りの子を選ぶようなものでしょうから…(失礼しました)。

写真は提供されたものもありますが、これまでどの国からあったのか?

 どこで撮影されたものか、基本的に追跡はしないそうです。そして、写真の提供は世界中(南極大陸を除く)から送られてくると言います。あるスペイン人のファンは、マドリード・エウスカディ(バスク自治州)・セビーリャ・バルセロナなど、さまざまな場所から写真を送ってきてくれるのだとか…。

 特に@hotdudesreadingの人々は、イビザからの写真を楽しみにしていると言います。美男美女が多い国の中でも多い地区というだけあり、期待できそうです。アジア人の投稿は少ないので、「もし読書しているセクシーな男性を見つけたら、ぜひ写真を送ってください!」とのことです。宛先はこちら(Submissions@hotdudesreading.com)まで。※しかし、盗撮はその方の肖像権を犯す明白な犯罪です。なので、写真を撮ったらひと声「投稿していいですか?」とうかがってください。できれば、それは書面にしたほうがいいですが…。そうすれば、これを口実にグッとお近づきになれるはずなので、これはチャンスにもなります!

読書する人をInstagram / FBアカウントに掲載するかどうかは誰が決めるのか?

 「誰もが自分のタイプや意見を持っているので、全員で包括的で代表的なアカウントを作成しました」とのこと。彼女・彼らは、ハンサムでスタイリッシュな男性を見ると目がないようです。正直に話してくださり、ありがたい限りです!

Instagramアカウントに掲載された男性から連絡が来ることはあるにか?

 これは、常にあることだということです。

 掲載された男性は、友人などを通じて自分が載っていることを知るそうです。そうして連絡をくれる人は、おおよそ感謝を示してくれるということです。掲載された男性自身もフォロアーが増えたり、デートする機会が増えたりと…注目を浴びるようになるわけです。

 実際に@hotdudesreadingが本を出したとき、公開された写真を見た男性の何人かに直接インタビューをしたそうです。そこで、読書好きな男性にも驚くべき物語があることを知って、さらに盛り上がります。それらを経て彼女・彼らは現在、「このアカウントにさらなる可能性を感じている」と言います。
 

しかし、苦情はあるのか?

 誰も、これらの投稿で傷ついたと感じたり、クレームが来たことはないそうです。その全く逆で前述したように、感謝されることの方が多いそうです。クレームの声をあげるほとんどが、このアカウントをフォローするユーザーからで、その多くは「投稿が少ない」ということだそうです…。

 しかし、このアカウントはどれだけ人気があるとは言え、利益を得るために団体が運営しているわけではなく、完全な趣味の世界なわけです。運営側のメンバーたちは、週に40時間以上はフルタイムで別の仕事に従事しているわけですから…。そこまでしっかりとかける時間もないのが現状なのです…。ぜひとも、そこを理解して見守っていてあげましょう。

 これほどの可能性を感じながらも、運営側の彼女・彼らは「現状維持でいく」と話しているそうです。そういう面からも、今後も応援したくなるアカウントと言えるでしょう。

Source / ESQUIRE ES