ウッズ選手が巨大スクリーンにボールを打ち込む日
2022年の夏、ハイテクノロジーを駆使した新たなゴルフリーグTGL(Technology-centric Golf League=テクノロジーセントリック・ゴルフ・リーグ*1)の発足を予告するキャンペーンが立ち上がりました。
そこには、「競技、テクノロジー、エンターテインメント、メディア、そしてスポーツ観戦までもが融合する新たなゴルフ」といううたい文句が添えられていました。
TGLを簡単に言えば、最新テクノロジーを駆使して実施される革新的なゴルフリーグです。タイガー・ウッズとローリー・マキロイが、グローバルスポーツ・ビジネス会社の「TMRW Sports」*2と共同で設立したことを2022年8月24日に発表しました。
TGLのコンペティションは、高度な技術と映像技術を駆使したバーチャルゴルフコースで行われ、選手たちはリアルタイムでの対戦を楽しむことができます。また、このリーグは観客にも新しい体験を提供することを目的としており、伝統的なゴルフの試合とは一線を画したエンターテインメント要素が含まれています。
3月24日には、2枚看板のシルエットから始まる新たなゴルフ時代の到来を思わせる1分間のプロモーション動画が公表され、数百年という伝統に支えられたゴルフの歴史に、何か大きなスペクタクルの波が押し寄せる予感に世界がどよめきました。
その後、リーグの概要やスケール、そしてその舞台などに関する情報が、少しずつ公表されていきました。4人1組の6チーム、合計4チーム・24名が1シーズンに15マッチを競うなどのルールが決まっています。
会場はフロリダ州のパームビーチガーデンズに建設された「SoFiセンター」という約2万3000平米の巨大アリーナで、観客収容数は1600人。2025年にTLGが開幕すれば、ウッズやマキロイに加え、ジャスティン・トーマスやリッキー・ファウラーといった大スターたちが、アリーナに設置された65フィート(約20メートル)の巨大スクリーンに向かってボールを打ち込む姿を楽しめるようになるはずです。
さまざまな点で注目される、グレッグ・ノーマンがCEOを務めるLIVゴルフ*3(※編集注:サウジアラビアの出資によって2021年に設立されたゴルフ団体)とは異なり、PGAツアーとのパートナーシップで開幕するTGL。「支えとなっているのは、実際にコースに出ることなく楽しめる、新たなゴルフ人気の高まりです」と語るのは、TGL創設者の一人、「TMRW Sports(トゥモロー・スポーツ」のマイク・マッカリーCEO*4です。
実際アメリカでは、飲食を味わいながらゲーム感覚で楽しめるゴルフ練習場やパッティンググリーンでゴルフをしながら、食事やドリンクを楽しむなどといった娯楽施設、ゴルフ練習場や屋内シミュレーターなど、実際のコース外で楽しむゴルフ体験が新たなエンターテインメントとして人気を博しています。
“プレーヤーの平均年齢はより低く、多様性に富んでおり、女性の参加者も増えています”
手軽に始めやすいこともプラスに働き、伝統的なゴルフへの入り口としての役割を担うまでになりました。例えば、「アメリカのスポーツ専門チャンネルESPNのゴールデンタイムにハイテクを駆使したTGLのゴルフで盛り上がる世界のトッププロたちの楽しそうな姿が映し出されることで、ゴルフ人気はさらに高まることになるでしょう」と、マッカリーCEOは自信をのぞかせています。
トップゴルフ・キャロウェイ・ブランズ(Topgolf Callaway Brands )*5のチップ・ブリュワーCEO*6は、「コース外でも楽しめる機会が増えたことで、ゴルフ市場は大きく成長しています。全世界で4000万人を超えると言われるゴルフ人口のうち、半数以上がコース外でのプレーを楽しんでいるという全米ゴルフ財団の統計も注目です」
コースに出て、ゴルフを楽しむ人々の多くが年配の白人男性という現実があります。では、コース外ではどのような人々がゴルフを楽しんでいるのでしょうか?
「プレーヤーの平均年齢はより低く、多様性に富んでおり、女性の参加者も増えています」とブリュワーCEO。
「つまり、コース外のゴルフ体験が、従来型のゴルフの市場拡大に結び付いていると言えるでしょう」と結びます。
多様なゴルフ体験を楽しむ
実際のコース外で楽しむゴルフに興味が湧いてきましたでしょうか? それでは屋内ゴルフクラブ「ピッチ(Pitch)*7」のヘッドトレーナー、アダム・ウェルズ氏*8の解説とともに、バーチャルで楽しむゴルフのメリットをご紹介しましょう。
データ主義
「最先端のテクノロジーを駆使し、スイングのインパクトなどあらゆる要素を分析し、確認できます」
多角的な解析
「テクノロジーによって、解析結果がその場ですぐに確認できます。スイングをスローモーションでチェックしながら、自分のかつてのスイングと比較することも可能です。PGAツアーのプロゴルファーのスイングと比べてみるのも面白いですよ」
天候に左右されない
「屋内トレーニングということで、一年中、天候に左右されずにゴルフを楽しめます。寒冷地や雨の多い地域の人々にとって、これはとても重要なことです」
時間の節約
「屋外の練習場やゴルフコースに出て100球ほど打ち、そして帰宅するまでの時間を想像してみてください。シミュレーターを使って30~60分のセッションを受けることで、より迅速に、より効率的にゴルフの技術を上達させることができでしょう」
脚注
*1:TGL
*2:TMRW Sports
*3:LIV Golf
*6:Chip Brewer
*7:Pitch
*8:Adam Wells
Translation / Kazuki Kimura
Edit / Ryutaro Hayashi
※この翻訳は抄訳です