スエードを着こなすのは、決して簡単なことではないでしょう。ラインストーンや大ぶりのフリンジなどのディテールがあるものは、一歩間違えればあやしいB級映画のエキストラのように見えかねません。

さらに、ほんのわずかな水にも濡れないよう気をつけなくてはなりませんし、通気性もよくないので、汗をかきそうな場合はスエードよりもコットンを選ぶことのほうが無難です。

ここまでの話を聞くと、スエードは実に悪夢のような素材です。が、うまく取り入れることができれば、スエードは実に素晴らしいものです。2023年3月10日~ 3月19日に、テキサス州オースティンで行われたサウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)映画祭で、『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』のワールドプレミアに登場した俳優のクリス・パインはこのことを見事に証明してくれました。

彼はそこで、バリー(Bally)のスーツで登場。スエード素材のダスティグリーンのスーツはヒッピースタイルもエレガントに昇華させるクリス・パインのように、大胆な着こなしが得意な人にとっても手強いアイテムです。しかし彼は、この難しい素材も堂々と着こなしています。

スエードを攻略するコツは身構えた感じではなく、ちょっとそこまで買い物に行くような雰囲気でさりげなく着ること。まさにクリス・パインのようなスリムで美形、さらにカリスマ性のあるよう人なら、より簡単に着こなせるというわけです。

クリス・パイン
Sarah Kerver//Getty Images

インナーには、比翼仕立ての同色系のシルクシャツ。上のほうのボタンを外してペンダントネックレスを見せ、黒のレイバン「ウェイファーラー」と足元にはブーツを合わせたスタイルは、このスーツジャケットの広いラペルと1つボタンの効果もあり、ちょっとラフなタキシードスタイルといった雰囲気に仕上がっています。

このスーツは、バリーの新たなクリエイティブ・ディレクターであるルイージ・ビラセノール(Rhuigi Villaseñor)が手掛けた23年春夏コレクションの一着。2022年公開の映画『ドント・ウォーリー・ダーリン』でも、ミッドセンチュリーテイストのスーツを着こなしていたクリス・パイン。そこで彼は、蒸し蒸しした気温24度のオースティンでもスエード素材をスーツスタイルで着こなせることを体現してくれました。

ご存じのように彼の際立ったファッションセンスは、このスーツスタイルに限ったことではありません。しかしながら2023年は、少し違ったムードで登場しています。それはグレーヘアを基調にした、よりエグゼクティブ風のヘアスタイルになっていることです。今回は特に、ヘアをきっちりとまとめたビジネスヘアへと仕上げているところがカギと言えるかもしれません。それにスエード素材を合わせることで、自由なスピリットを漂わせたクールなスタイルが完成している…そんな印象を強く感じました。

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クリス・パイン独占インタビュー(日本語字幕付き)ハリー・スタイルズに唾を吐かれた事件について説明|Explain This(これを説明して)| Esquire Japan
クリス・パイン独占インタビュー(日本語字幕付き)ハリー・スタイルズに唾を吐かれた事件について説明|Explain This(これを説明して)| Esquire Japan thumnail
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Source / ESQUIRE UK
Translation / Keiko Tanaka
※この翻訳は抄訳です。