もしや今、春へ向けてのアウターをお探しではないですか? それなら、「ハリントンジャケット」がおすすめです。時代を超越した定番のアイテムで、薄すぎず厚すぎない生地とクラシックなイメージが魅力となり、春のスタイルに良識とスタイリッシュさを加えてくれることでしょう。
これを着こなせば、この絶妙な季節に(胸を張って)自信に満ちた面持ちで闊歩することができるでしょう。
ハリントンジャケットとは何か?
まずは、このサイドポケットがついた着丈の短いスポーティーなアウター、「ハリントンジャケット」の名前の由来から説明しましょう。カレンダーを60年代へと戻してください。
アメリカのテレビにおけるプライムタイム(特に視聴者が多い時間帯、日本では19時~23時とされています)に人気であったドラマシリーズ「Peyton Place(ペイトンプレイス物語)」の主人公、ロドニー・ハリントン(演:ライアン・オニール)がこのタイプのブルゾンを着用していたことに端を発しています。このとき着用していたのが、英国ブランド「Baracuta(バラクータ)」の“G9”であり、のちに「ハリントンジャケット」の代名詞として知られるようになります。そうして現在の一般的なブルゾン、ジャンパーの原型となったわけです。
ライトウエイトなアウターであり、着丈はウエスト丈までが基本。素材は綿・ポリエステル・ウール・スエード・フリースなどで幅広くつくられていますが、ライニングに関してはタータンチェックまたはチェック柄といったオーセンティックなスタイルを貫いているものが多いところが特徴となっています。ちなみに日本では、スウィングトップと呼ばれますが、これは日本で当時全盛期を迎えていたブランド「ヴァンヂャケット」が命名した和製英語であり、海外では通用しません。
「ハリントンジャケット」のルーツとも言えるバラクータのG9が誕生したのは、1937年の英国。ドラマでの着用から、およそ30年以上も前にリリースされていました。そのG9は50年代にアメリカへと輸出され、たちまち人気を博し定着していったのです。
60年代に『LIFE』誌の表紙に、スティーブ・マックイーンがバラクータのG9を着て登場したのもまた、このアイテムの人気を高めた要因の1つと言っていいでしょう。それから今日まで、多くのセレブのアイコン的アイテムとして親しまれていきました。
この「ハリントンジャケット」を着こなしていた代表的な有名人として、バラクータのG9に関してはスティーブ・マックイーンがその代表と言えるでしょう。その他、グレゴリーペックにアーネスト・ヘミングウェイも、さらに音楽界にも多くフランクシナトラやエルヴィス・プレスリー、デビッドボウイにイギー・ポップ、ポール・ウェラー、オアシスのギャラガー兄弟などが愛用していたことでも有名です。
ジェームズ・ディーンもこのタイプで赤のブルゾンを、映画『理由なき反抗』(1955年)着用していますが、こちらは同じく「ハリントンジャケット」とは呼べますが、詳しくはアメリカのブランドでMcGREGOR(マックレガー)社のアイテム名“ANTI-FREEZE(ナイロンアンチフリーズ)”になります。
ハリントンジャケットの万能性
このジャケットの素晴らしいところは、スポーティーでありながらクラシックなスタイルに仕上げてくれるところです。グレーのセーターや白いシャツに紺色の「ハリントンジャケット」を合わせるだけで、スタイリングは完璧となります。
また前述の通り、「ハリントンジャケット」の生地は厚すぎず薄すぎないため、季節の変わり目にぴったりの理想のアウターと言えるのです。しかも、ダウンジャケットよりもシックでスリーク(なめらか)、春や秋の季節に心地良く着こなすことができるのです。
Source / ESQUIRE NL