世の中は、すっかりクリスマスらしい雰囲気になり始めています。そんな中、アメリカ大陸最大級のアートフェア「アート・バーゼル・マイアミビーチ」で2019年12月3日(現地時間)に行われた、ディオールの2020年プレフォールメンズコレクションのファッションショーでは、クリスマスツリーの輝きが褪せて見えるほど煌(きら)びやかなパーティー用スーツに身を包んだ人たちの姿が見られました。

 そして会場では、ある一人の男が一段と輝きを放っていました。その男の名は、カリスマ性あふれるデビッド・ベッカムです。

 クリスマスツリーの最上部に飾られた天使のように、ベッカムはシルキーで光沢のあるボクシーなスーツ姿で会場に顔を見せていました。彼のこの日の装いは、ディオール のメンズ・アーティスティック・ディレクターを務めるキム・ジョーンズ氏が手掛けてきた作品と、同じ路線上のスタイルでした。

 ジョーンズ氏は長年にわたり、ディオールが過去につくった作品のカタチと間違いなく、未来的なルックスとを融合させることでディオール オムを強化してきた人物です。

 今回、ジョーンズ氏が選んだテーマは、ルーシュ(袖口などのひだ飾り)仕立てのスーツや異質なテクスチャーの組み合わせ、それに自然なカタチでのストリートウエアのミックスなどでした(彼が10代のころから憧れていた、ショーン・ステューシー氏とのコラボレーションを行いました)。そしてそのすべてが、「アート・バーゼル・マイアミビーチ」開幕前夜に発表されました。

 「アート・バーゼル・マイアミビーチ」は、北米、中南米、ヨーロッパ、アジアの名だたるアートギャラリーから出品された現代アート界を動かす人々の作品が展示されるイベントです。

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 そうしたことから、ディオールが今回のショーでクリエイティブな作品を発表したのは、理にかなったことと言えます。そんな中、観客席ではベッカムのスタイリングが輝きを見せていました。パーティースーツをアップグレードするのに十分な光沢感があり、洗練さを兼ね備えた着こなしをベッカムは実践していたのでした。

 ジョーンズ氏が2018年に定義した重要なトレンド(「ボクシーなフィット」、「丈夫なトレーナー」など)はそのままであり、来シーズンも最高のスーツは皆さんの父親が着ていたスーツと、あまり似ていないというトレンドが引き続き続く可能性を示唆しています。

 クリスマスが来るまでまだ少し時間がありますが、ディオールのファッションショー会場には、同ブランドのアイテムをまとったデビッド・ベッカムのカタチをした天使が少しだけ早くやってきていたのでした。



Source / Esquire UK
Translation / Hayashi Sakawa 
※この翻訳は抄訳です。