モンブランとその歩み

1906年に起業家、エンジニア、商人を中心とした複数名によって、ドイツ北部の大都市ハンブルグで誕生した「Montblanc(モンブラン)」。

創業当時の社名は「SIMPLO FILLER PEN Co.(シンプロ・フィラー・ペン)」とし、現在のモンブランが社名に入るのは1934年まで待つこととなります。創業当時の欧州は交通機関が発達し、移動中でも使えるペンに対するニーズが高まっていました。そんな折にモンブランは、「セーフティペン」と名づけられたインク漏れを防いだペンの販売を開始。この画期的な発明が欧州を席巻し、モンブランは瞬く間に筆記具業界の最高峰へと踊り出すのです。

モンブラン本社
Richard Blanshard//Getty Images
ドイツ・ハンブルグにあるモンブラン本社。

ちなみに「モンブラン」という名前は、標高およそ4807.81メートル、欧州アルプス最高峰の山「モンブラン」に由来。その頂に立つことは登山家にとって最高峰の栄誉であり、まさに「最高品質の象徴」と言えます。登山家でもあった創業者は、そのイメージを万年筆に重ね合わせることで、「常に最高品質を目指し、世界中の人々に愛されるブランドをつくりたいという願いを込めた」と言われています。

そして、トレードマークでもある「白い雪のエンブレム」は1915年から使用されることに。これはモンブラン山の頂を覆う万年雪がモチーフです。

「最高傑作」に込められた職人のこだわり

そんなモンブランを語るうえで欠かせないのが、やはり万年筆です。その中でも、「マイスターシュテュック」にフォーカスすることに異論を挟む人はいないでしょう。ドイツ語で「最高傑作」を意味するこのアイコニックな名作が誕生したのは、今からちょうど100年前の1924年のこと。

モンブランが筆記具のために独自の配合でつくり出した「プレシャスレジン」という素材で覆われたボディは、艶めかしいほどに美しく、その存在感は宝石のようですらあります。万年筆を含む筆記具全般の製造拠点は今もハンブルグにあり、彼の地に構えるアトリエで熟練の職人たちが今も腕をふるっています。

モンブランの万年筆
Richard Blanshard//Getty Images
モンブランの万年筆
Richard Blanshard//Getty Images

職人の腕の見せ所かつ万年筆の命とも呼べるペン先の制作だけでも35もの工程を経て完成させるのです。書き心地はすらすらと滑らか。紙の上をなめらかにペン先が躍り出します。

驚くべきは、その書き心地への終わりなきこだわりです。ペン先が紙の上を滑る音をもとに、その滑らかさを聞き分ける厳密な品質テストが今も行われ、常に新たな高みをめざし続けているのです。1952年には不朽の名作との誉れ高い「マイスターシュテュック149」を発表。万年筆の最高峰を歩み続けています。

「マイスターシュテュック」100周年を記念したコレクションが登場

モンブランの万年筆
Montblanc

「マイスターシュテュック」の誕生100周年を迎える2024年。この節目の年を記念して、その原点に立ち返った新作「マイスターシュテュック ジ オリジン コレクション」が登場します。当時のデザインやアーカイブ、また復刻ロゴにより、レトロクラシックな風合いとモダンなスタイルを持ち合わせた逸品です。

多くのことがオンラインで完結し、モニター上で済ませられるいま。ペーパーレス化の波は止まることはないでしょう。だからこそ、「書く」という行為により自覚的になり、自ずと筆記具にもさらなるこだわりが生まれることは何ら不思議ではありません。

ジョン・F・ケネディ元米国大統領やエリザベス女王、三島由紀夫や開高健らと同じように、万年筆には「マイスターシュテュックを」とこだわってみる。「いつかはモンブラン」と考えていた人にとっては、誕生から100年を迎えた今こそ、まさにふさわしいタイミングかと。心当たりのある人は、「マイスターシュテュック ジ オリジン コレクション」をチェックしてみてはいかがでしょうか。

●問い合わせ先
モンブランカスタマーサポート
TEL 0800-333-0102
公式サイト