◇ストーリーに満ちた来歴を持つ時計
ジャクリーン・ケネディが愛用したカルティエの腕時計「タンク」がオークションで話題になったのは記憶に新しいですが、またもや“伝説的”とも言える腕時計がオークションにかけられることになりました。
今回出品されたのは、俳優ポール・ニューマンが実際に着用した「ロレックス デイトナ ポール・ニューマンモデル」でした。時計研究家でライターのマイケル・クレリゴ氏は『WSJマガジン』で、このアイコニックな腕時計の出品とその経緯についての記事を書いています。
◇ジェームズ・コックスが「ポール・ニューマンモデル」のロレックス デイトナ所有するまでの経緯
「この時計が現在の所有者であるジェームズ・コックス氏の手に渡った経緯は、とても素敵なものです。コックス氏は子どもの頃、ポール・ニューマンに偶然会ったことがあり、その後メイン州の大学でネル・ポットという女性と付き合ったことで、ポール・ニューマンと再会することになるのです。ネルはまたの名を『ネル・ニューマン』といい、彼女はポール・ニューマンとジョアン・ウッドワードの娘だったというわけです。そしてコックス氏は、コネティカット州にあるニューマンの家で休暇を過ごしていたとき、ニューマン一家お気に入りのツリーハウスを修理したお礼に、この時計をニューマン本人からもらったそうなのです」。
「この時計については、（アカデミー賞、エミー賞を受賞歴のある）ハリウッド女優でポール・ニューマンの妻ジョアン・ウッドワードが、ティファニーでポール・ニューマンにプレゼントとして購入したものとして知られています。ラップタイムを測るのにぴったりのクロノグラフで、自動車レースを愛したニューマンへのプレゼントとして完璧な時計だったのです。この腕時計は、ロレックスの時計として魅力的というだけでなく、裏蓋（うらぶた）には妻ジョアンの愛と思いやりが詰まった『Drive Carefully Me』というフレーズが刻印されています」。
◇ロレックス デイトナ「ポール・ニューマンモデル（Ref.6239）」の特徴
これは「Ref.6239」として大変著名なモデルで、ニューマン本人が着用したことに加え、その希少性や時代を先取りした現代的スタイルで非常に価値が高いのです。生産数はわずか2000〜3000本で、間違えようのない白の文字盤、黒のサブダイアル、赤の「Daytona」の文字、外側のカウンターなどを特徴としています。
史上もっとも有名なロレックスとも言えるこの時計は現在、時計オークションでさまざまな世界記録を持つ「フィリップ・オークション・ハウス」の手に委ねられています。
この時計は、ジュネーブに本拠地を置くフィリップスが、2017年10月26日に初めてニューヨークで開催するオークションの目玉として出品されるのです。
同社は落札額について、100万ドル（約1億円）を超えると予想しており、「ネル・ニューマン財団」がこの一部を受け取ることになります。
デイトナのポール・ニューマンモデルについては、希少なイエローゴールドモデルがフィリップスで過去最高の371万7906ドル（約4億円）という価格で落札されたこともあります。
しかし、今回の時計の来歴を考えれば、このモデルさえ見劣りするほどでしょう…。史上もっとも有名なロレックス、しかもポール・ニューマンが着用したもの…となれば、落札額を想像するだけでも目眩（めまい）がするようです。
《追記：オークション後の結果》
◇史上最高の20億円超でロレックス デイトナ「ポール・ニューマンモデル」落札
「フィリップ・オークション・ハウス」は上記のように、当初は「落札価格を100万ドル（約1億円）はくだらないだろう」と予想していましたが…、蓋を開けてみればそれをはるかに上回る1780万ドル（約20億3100万円）にまで高騰。オークションにおける腕時計の落札価格としては、史上最高額を叩きだした結果となりました。落札者の素性は開示されることはありませんでしたが、電話による入札であったと伝えられています。
Source / ESQUIRE US
