メンズウエアには、流行り廃(すた)りの周期があるかもしれません。ですが、昔流行ったものなら、なんでも復活するとは限りません。例えば男性のパーマです。あるいは、無謀な金融分野の規制緩和。どちらも1980年代の有害な行為の例と言えることでしょう。

 しかしながらここに来て、1980年代の「あるトレンド」が現代に復活しつつあるようです。そんな兆しを感じさせてくれたのが、デビッド・ベッカム氏。1980年代から2019年に舞い戻ってきた、タイム・トラベラーの最新例と言ってもいいでしょう。 
 
 ベッカムが1980年代から取り入れたこととは、Tシャツとスーツを合わせる着こなし方のことです。それはかつて大ブームを起こしたロックバンド、デュラン・デュランが着こなしていたようなファッションになります。

 それはポケットに大金を詰め込み、クラブに乗り込んで大騒ぎしていた人たちがしていたようなスタイリングでもあります(笑)。あるいは、ディオール オム経由で復活したトレンドであり、クリエイティブ・ディレクターのキム・ジョーンズ氏が大復活に功あったとされている、四角張った仕立てのパステルカラーのファッションです。

david beckham
Ricky Vigil M

 こちらのベッカムの写真では、80年代に流行った服の過剰に見えたところが削ぎ落とされているのが確認できるでしょうか…。ダブルブレストのジャケットに2個のシングルボタン、すっきりとしたシルエット、そして、どんなときにも様になる無難な色遣い。この例で言うところの、ダイヤモンド・ホワイトのTシャツの上にカロライナ・ブルーのスーツジャケットという組み合わせのことを意味しています。もしこんなTシャツをお持ちでなければ、ぜひ何枚か手に入れておくといいでしょう。 
 
 この種のスーツを着て、様になる場所もぜひ知っておいてください。ちなみにこのスーツは一般的に、仕事場で着られるものではありません。なので、注意も必要です。それこそが、最も重要な点と言えるでしょう。 
 
 スーツにTシャツを合わせるというドレスダウンが許されるのは、実際に楽しいイベントだけです。その場所とは、細かいことは全く気にしないカップルが新郎新婦となっている結婚式や、デニムの上に何かを合わせることがドレスコードになっているようなパーティーなどがそれに当てはまります。 
 
 今回ご紹介するスタイリングで忘れてならないのは、シンプルな着こなしを心がけるということになります。ベッカムのようにご自身が気後れしない色のアイテム、そしてゆったりとしたカタチのものだけを選んで着こなしてください。それから、ついついやってしまいがちな…スーツの袖をまくり上げるのは余りおすすめしません。 

  

 
  

From Esquire UK
Translation / Hayashi Sakawa 
※この翻訳は抄訳です。