ピアース・ブロスナンが出演した「007」シリーズの代表作のひとつと言えば、『007 ダイ・アナザー・デイ』です。この作品が公開されてから17年の年月が経ちましたので、きっとブロスナンのボンドも懐かしく感じるほどでしょう。

 この映画がピアース・ブロスナンが「007」を演じた最後の作品となり、「殺しのライセンス」はダニエル・クレイグへと引き継がれたわけです。しかしながら、ボンド役から遠のいたブロスナンですが、その着こなしとたたずまいはますますボンドらしくなっています。

 66歳になったブロスナンは2019年12月9日、ワシントンD.C.で開催された第42回ケネディ・センター名誉賞の授賞式に、タキシードで出席しました。そのいで立ちは、まるでカミソリのようにシャープでした。

 クラシックで揺るぎのないタキシードスタイルはショーン・コネリーをはじめ、ロジャー・ムーアティモシー・ダルトンまで、歴代のボンドを演じた俳優たちが実践してきたものです。が、その中でもブロスナンのタキシードスタイルは際立って見れます。さらに、ボンドを引退した現在のほうがなおさら…とも言えるのです。

ピアース・ブロスナン、ジェームズ・ボンド、007、スタイリング、ファッション
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 最近は、モノクロームなトーンの着こなしがトレンドになっているとは言え、メンズウエアの世界はますます創造性に満ちあふれています。そんな現代において、ブロスナンは古き良きスタイルは、大いに見習うべきものでしょう。特に、典型的なブラックタイのスタイルは彼を手本にすべきです。男性にとって一番輝くスタイルが、このタキシードスタイルなわけですから…。

 それは、昔から言われている「壊れてないものは直すな」という格言のとおりではないでしょうか。

 そして、このスタイルのコツはと言えば、あくまで公式に従うことになります。

 カマーバンド(腹部に巻く飾り帯)を巻くと、オペラ歌手のルチアーノ・パヴァロッティのようにも見えるかもしれませんが、このアクセサリーはパヴァロッティのような体型でない人にも似合うものです。ブラックは常に男性を魅力的に見せてくれますし、スイス製腕時計はタキシードに最もマッチするアクセサリーとも言えます。

 本来タキシードスタイルは、可能な限りアクセサリー類を排除しなくてはならない暗黙のルールがあるので、腕時計をするなら可能な限り薄型で決して華美ではないドレスウォッチのほうが望ましいということは覚えておいてください。

 再び現在66歳のブロスナンの話に戻しましょう。彼は、今こそ全盛期であると言っていいほどクールなわけです。そして、そのボンドとしての彼の遺伝子は、このほどゴールデン・グローブ賞アンバサダーに任命された2人の息子たち(ディラン&パリス・ブロスナン)にも確実に受け継がれていることが確認できます。もしかすると、あと20年ほど立てば、この兄弟が次のボンド候補になるかもしれませんね。

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左から/次男ディラン・ブロスナンと三男パリス・ブロスナン。



Source / Esquire UK 
Translation / Wataru Nakamura 
※この翻訳は抄訳です。