2020年2月2日(日本時間2020年2月3日)、今年はフロリダ州マイアミガーデンズのハードロック・スタジアムで開催される「第54回スーパーボウル」…。全米スポーツで1番人気を誇るアメリカンフットボールにおける最上位のプロフットボールリーグNFLの優勝決定戦になります。
NFLの2つのカンファレンスである「アメリカン・フットボール・カンファレンス (AFC)」 と「ナショナル・フットボール・カンファレンス (NFC)」 の各優勝チームで争うこのゲームですが、エーシーニールセン調べによるとテレビ中継の視聴率は驚異の数字を記録しています。
18年連続で40%超えながら、1990年1月28日に開催された第24回スーパーボウル サンフランシスコ・49ナース vs デンバー・ブロンコス戦で39.0%と40%を切ります。ですが、その翌年である1991年1月27日に開催された第25回スーパーボウル ニューヨーク・ジャイアンツ vs バッファロー・ビルズ戦では41.9%を記録し、以降29回連続で40%超えを記録しているという全世界注目のスポーツイベントなのです。
そのため米国民は、感謝祭やクリスマスシーズンにかけて徐々にこの一大スポーツの祭典に向け徐々にヒートアップしていくのが常。毎年、このCM枠やハーフタイムショーのパフォーマンスも話題になります(2020年大会はジェニファー・ロペスとシャキーラという2大ラテン系歌姫に決定)。
ではここで、少々早いタイミングと言えますが、米国文化に触発されたイギリスの人気YouTuberでボディビルダーであるマット・ダズ・フィットネスさんと、マイク・サーストンさんの2人に、NFLのドラフト候補生用の運動能力テスト「NFLコンバイン」にチャンレンジしてもらいました。
体力には自信があるそうですが、スピードはというと…、どうだったのでしょうか?
彼らはこれまでに、ハードな持久力が必要とされるアメリカ海軍の特殊部隊や海兵隊の体力テストで自らの体力の限界へ果敢(かかん)に挑んでみたり、さらにマットさんは、「トップモデルのダイエット食事法&筋トレ」を試してみたりと、様々な挑戦をしてきました。
そんな彼らですが、NFLのスター選手になれるようなスピードはあるのでしょうか?
2人は、イギリスのカンタベリーにある大学生混合アメフトチーム「ケントファルコンズ」の練習に参加しながら、いくつかの「NFLコンバイン(運動能力テスト)」のメニューにチャレンジしました。
これらの訓練には強靭な体力、速さ、そして敏捷性(びんしょうせい)が要求されます。しかしマットさんもマイクさんも、これらを上手くこなすことはできませんでした。
◇第1のテスト:ベンチプレス
第1のテストはベンチプレスです。225ポンド(約102キロ)のウェイトリフティングを失敗するまで続ける、というものです。
唯一のフォームの条件は、各回数、完全に腕を伸ばして止めなければならないというものです(ネタバレ注意:2人とも完全に止めることはできませんでした…)。
《テスト結果》
開始前マットさんは、「20回程度できれば満足だろう」と言っていましたが、合計24回も達成しました。その一方でマイクさんは、17回しか達成できませんでした。
2人ともこのウェイトリフティングでは、グリップの位置を広いスタンスで取っています。これでは、このウェイトリフティングを制覇することができないことは明らかです。実際に彼らは、正確にやり遂げることはできていませんでした。
ちなみに、NFLのトップラインマンであればこの225ポンド(約102キロ)のベンチプレスは、35〜40回達成するのが通常です。もちろん、パワーをウリにするラインマンの場合ですが…。
◇第2のテスト:ダッシュ
第2のテストは40ヤード(約36.5メートル)ダッシュです。しかしここでは、2人ペアになって走行することで、ちょっとした競争心をあおるやり方を取りました。
二人で競い合って走ることで、気づかぬうちに一緒に走る相手に負けまいという思いから、一人のときでは出せないようなパフォーマンスを引き出せるように…という狙いを込めたテストにしています。
ですが、実際のNFLコンバインでは将来有望な40人を個々に走らせるので、競争力ではなく純粋にスピードと瞬発力を推し量るテストとなっています。しかし、YouTuberであるマットさんとマイクさんは演出上のためでもあるということで、一緒に走っています。
彼らは、NFLコンバインでは絶対に上位には食い込めないタイムを記録すると思っている読者も多いことでしょう。「きっと最前線でぶつかり合うNFLのオフェンスの要、ラインマンであればアリかもしれない…」と。
《テスト結果》
しかしその結果は、マットさんは4.52秒、マイクさんは4.74秒という記録でした。これは思わぬ展開です。
正確な計測時間ではありませんが、このNFLコンバインの合格タイムよりもほんの0.2秒程度遅いものだったのです。
ちなみにこの結果を受けて、マットさんとマイクさんのタイムにさらなるケチを付け加えるとするならば、ご存知のように彼らはスカウトたちや本当に正確な時間をチェックしたいと目を光らせている審判やスカウトたちにその場にいない…つまり、プレッシャーのない状況での走行であったということになります。
◇第3のテスト:シャトルラン
第3のテストは、20ヤード(約18メートル)のシャトルランです。これは5ヤード進行方向に走り、10ヤード後ろに走り、それから5ヤード進行方向に走りスタート地点に戻るものです。
《テスト結果》
マットさん4.84秒、マイクさんは4.58秒で初勝利を収めました。繰り返し言いますが、これはスマホを使用して手でボタンを押して計測していますので、正確な計測時間ではありません。さらに付け加えると、正式なNFLコンバインでのシャトルランにおけるベストタイムは、4秒未満になります。
このベストタイムに対し、0.5秒遅いという結果に。これはボディビルダーにとって、絶対に追いつくことのできない時間と言えるでしょう。
◇第4のテスト:3コーンドリル
第4のテストは、3コーンドリルです。これは3つのコーンをL字に5ヤード間隔に置き、5ヤードを往復したあとL字を往復するといったもの。
スピードと機敏なフットワークをテストするものになります。
《テスト結果》
マットさんは8.18秒かかりましたがマイクさんは7.75秒で、こちらも勝利を収めました。このテストで彼らの運動能力が露見してしまいます。
この3コーンドリルは、敏捷性と方向変更の動きをチェックするものです。そして、この2人のボディビルダーは機敏なフットワークの鍛錬などしていません。なので、それを高いレベルで保持していないのは確かです。なので、結果は2018年のNFLコンバインの3コーンドリルで6.95秒を記録した、アイオワ大学の体重約123キロのデフェンスラインマンのアンソニー・ネルソン(現タンパベイ・バッカニアーズ所属)が出した記録よりも遅いわけです。…でも、これは誰もが想像できたことでしょう。
◇第5のテスト:立ち幅跳び
第5のテストは、立ち幅跳びです。これは立っているその位置からジャンプした高度をシンプルに計測するものです。
《テスト結果》
マイクさんのベスト距離は118.8cmでマットさんは123.6cmと、2人ともこのテストに合格できませんでした。さらにマットさんは、ジャンプ後に着地する度に大きく一歩前に踏み出してしまうので、実際のNFLコンバインでは計測されないものとなります。
■「NFLドラフト候補生用の運動能力テスト」に立ち幅跳びがある理由とは?
NFLのスカウトたちは、この立ち幅跳びで(大きなジャンプをさせる)下半身の瞬発力と、ジャンプを減速しコントロールするバランス感覚の両方をチェックしています。着地後に動いてしまうマットさんのジャンプは、本番では記録されることはないでしょう。
◇第6のテスト:垂直飛び
第6のテストは、垂直飛びです。
《テスト結果》
マイクさんは90cmに達しました。マットさんの最も高いジャンプは、不完全な飛び方だったために90cmに達しませんでした。しかしNFLでの垂直跳びは、この動画での計測方法とは異なる方法で計測されるため、この記録は本来、NFLコンバインにおいてはカウントされないものになります…。
◇最後のテスト:ガントレットドリル
7番目でラストとなるテストは、ガントレットドリルです。左右からパスされるボールをキャッチしながら、直線を走り抜けるものです。すべてのボールをキャッチし、最短時間で走りきった人が勝者となります。
《テスト結果》
マットさんはこの勝負でも13.01秒を記録し、マイクさんの13.34秒という記録を上回りました。
■「NFLドラフト候補生用の運動能力テスト」に、ガントレットドリルがある理由とは?
実はこのテストでNFLのスカウトたちは、タイムに関してはさほど気にしません。なので、本来はタイムの計測はしていますのです。 このテストは動きの流れと、ボールを体で受け止めるのではなく、手でキャッチする能力を見極めるものになるので…。
ボディビルダーのマットさんとマイクさんは、このテストのポイントを完全に間違えてしまっていました…。
◇総括
しかし、そうは言っても、彼らはこの最終テストを楽しんでやっていますし、例え実際は、流れるような動きでボールをキャッチできていないとしても、競い合っているので良いのではないでしょうか…。だって彼らは、NFLでの将来を有望されている選手ではありません。ボディビルダーなのですから…。
マットさんは「今回のチャレンジは有酸素運動が主ではなかったので、いままでやって来た中で一番楽しいものでした。ボールをキャッチすることが、驚くほど楽しかったです!」と、最後を締めくくっています。
Source / Men’s Health
Translation / Kazuhiro Uchida
※この翻訳は抄訳です。