いまからおよそ1年前の2018年2月6日、イーロン・マスク氏による世界でもっとも贅沢なテストとも言える、大型ロケット「ファルコンヘビー」の打ち上げが行われました。
 
 打ち上げ計画は何年にも渡り行われ、ロケットブースターの3基あったうちの2基は無事着陸。1基は残念ながら大破してしまいました。それでも世界で最もパワフルなロケットの打ち上げ成功により、スペースX社の新しい宇宙への開発レースにおける小さな(?)一歩を踏み出し、偉大な(?)リードを獲得しました。

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Falcon Heavy & Starman
Falcon Heavy & Starman thumnail
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 後にNASAは、「火星に水素爆弾(熱核兵器)を落として、人間が住めるように改造する」というマスク氏のプランを拒絶。マスク氏は、自らの個人所有であるテスラ「ロードスター」を導入したのでした…。

 マスク氏のこのパフォーマンスとも言える挑戦は、彼の思惑通り、世間の注目を集めることに…。YouTubeで2番目に人気のある(記録的な同時視聴数)イベントとなったわけです。

 ちなみに1番は、2012年10月14日(現地時間)に米ニューメキシコ州ロズウェルにて、オーストリア人のエクストリーム・アスリート氏が、過去の最高記録を塗り替える高度約39キロの成層圏からのスカイダイビングに成功し、無事地上に降り立った映像です。彼はこのダイビングで、フリーフォールの世界新記録の樹立しました。これは高高度での安全性の発展に向けた情報収集を目的としたミッション「レッドブル・ストラトス」というものです。

 話をマスク氏に戻しましょう。テスラは同車に3台のカメラを内蔵させ、宇宙探査中のクルマの運転席に乗る「スターマン」として銘打つダミー人形の様子を4時間に渡ってストリーミングしました。その動画は現在、1650万以上のビューを集めています。

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Live Views of Starman
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 そしてもちろん、このロードスターはただのロードスターではありません。

 乗車している「スターマン」は、皆さんの想像どおり…デヴィッド・ボウイにちなみ名づけられています。「飛行中のクルマで、デヴィッド・ボウイの名曲である「starman」をカーステレオで流したい」と、マスク氏は話していたということ。

 脚本家のダグラス・アダムズ氏の著書『銀河ヒッチハイク・ガイド』や故・アイザック・アシモフの『ファウンデーションシリーズ』などの小説のコピーが5Dレーザー光学式記憶装置に記憶され、クルマに搭載されているとのことです。

 しかし、この妙技への反応は、すべてが肯定的な意見ではありませんでした。

 「これは、私たちが宇宙探査を正当化するために頻繁に使用する『すべての人類のための空間』というストーリーに相反する、一種のカルトを生み出しています」と、フリンダース大学で人文学・芸術・社会科学大学の教授を務め、宇宙ゴミに詳しいアリス・ゴーマン氏は述べています。

 さらに、「この現実を観てください。この赤いスポーツカーは男の子や彼らのおもちゃであるということは、拭いようのない事実です。さらに言うなら、これは『富』と『男らしさ』の象徴でもあるのです。誰もが想像する典型的な宇宙飛行士は、白人のエリート男性であるという考えを払しょくしつつあったにもかかわらず、結局はそこへと戻ってしまったわけです」とも付け加えています。

 ファルコンヘビーの打ち上げと、「ロードスター」のローンチから1年の間、マスク氏は火炎放射器を売却し、不用意な発言によるTwitter上の論議に巻き込まれるなど、多くの物議を醸し続けてきました。

 しかし、そうした中であってもスペースX社のロケット技術のステップアップを続けています。特にファルコンヘビー(旧:BFR)という、スターシップに代わる新たな目的を担うロケットのテストもすでに始まり、限界などないことを示し続けているのです。

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 その本格的なテストに向けては、まだ準備はまだ整っていませんが、彼らが「テスト・ホッパー」と呼んでいるスターシップのテストモデルは、まもなくローンチされる予定です。

 現在は、テキサスにあるスペースX社のテストサイトは強風に煽られ、逆境に直面しているようなのです。

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 ですが、比較的早く試験を始める準備ができているようです。マスク氏自身にも、誰にも予想のつかない将来ですが、この打ち上げは間違いなくファルコンヘビーの打ち上げと同レベルのショーマンシップ(芸)を期待することができるでしょう。
 



From POPULAR MECHANICS
Translation / Mirei Uchihori
※この翻訳は抄訳です。


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