• イーロン・マスク氏は2020年8月31日(月)に行われた仮想サミット中に、「最初の火星移住者たちは、その地で亡くなる…」と発言しました。
  • マスク氏とNASAは宇宙での生活を計画し、そして統合。さらに最大化する方法を模索しています。
  • 火星入植者は、火星で亡くなることはほぼ間違いありません。ですが、できるだけ長い時間、満足のいく生活をおくった後で安らかに生涯を終えられることを願っています。

 2020年8月31日(月)に開催された火星移住計画についての仮想サミット中にSpaceXのCEOであるイーロン・マスク氏は、「2050年までに火星に自立都市を建設する」という彼の壮大な野心について、詳しく説明しました。

 そのような惑星外文明の構築という前代未聞のプロジェクトにおいて、先陣となる開拓者には想像を超えた危険が潜在的に無数に待っているに違いありません。そこでマスク氏は、 「火星に到着すること…私が思うに、そこは根本的な問題ではない」と語ったとCNBC(ニュース通信社ダウ・ジョーンズとアメリカの大手テレビネットワークのひとつNBCが共同設立したニュース専門放送局)はつづっています。そして続いて、 「根本的な問題は基地を建設すること、火星に自立する都市を建設することです」 「強調したいのは、これは非常に難しく危険で難しいことです」と、彼は付け加えたそうです。そして、「これは気弱な方には向かない話でもありますが…。(その地で)死ぬチャンスでもあります。 そしてそれは、非常にタフなことになるでしょう。ですが、うまくいくとすれば、それはかなり素晴らしい体験になるでしょう」と述べています。

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 確かにこれは、容易に想像できることでもあります。ミッションを遂行している科学者は綿密な計画を立て、苦難や事故による死亡のリスクを最小限に抑えようと懸命に取り組んでいるに違いありません。現状における最大の目標は、入植者たちが火星で長期的快適に生活をおくったのちに亡くなる…という、地球上での生活に可能な限り近づけることなのです。

 人類の火星移住計画に関しては、すでに構造上の大きな疑問の声が上がっています。その席でマスク氏は、火星まで最大100人の乗客および100トンの貨物を運ぶことを目的とした巨大な次世代型完全再使用型の宇宙船「スターシップ」の進歩についても話し合いました。

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 マスク氏が計画している何百隻もの宇宙船を、どのようにして最適な時期に最短で安全な方法で到達させるのか? 宇宙船はどのようにして安全に火星の地表に着陸できるカタチになるのか? 宇宙飛行士たちは必要物資が満載されている窮屈な船内で、どのようにして1年間生き延びるのか? などなど、問題はまだまだ山積みなのです。

 しかもこれらはすべて、まだ火星の地表に到着する以前の話になるわけですので…。2020年現在の見積もりでは、「火星への移動だけで1年ほどかかる」と予想されています。さらに、この移住計画の応募者には「この旅行のプランは、往路だけの片道となるでしょう」と言われているのです。

 統計的に考えれば(イメージだけでも…)、火星入植者が火星の地で亡くなるのはほぼ確実ということになります。彼ら彼女らは生命が自然に尽きるまで、火星で生活し続けるのです。マスク氏は、「厳しい状況での不慮の死」を指しているかもしれません。ですが、人々はいずれにせよ火星に留まるしかない…そんな状況でもあります。

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 2025年までに火星に人類初の永住地を作ることを目的にするオランダの民間組織「マーズワン」が、2013年に入植希望者の募集を開始した際、火星で生涯を終えるための片道切符に応募が殺到しました。応募した化学者のテイラー・ローズ・ネイションズ氏は、2014年にポッドキャストで次のように語っています

 「火星に行って人間版モルモットになれるのであれば、科学のために自分の身体を提供する覚悟があります。個人的にはそれだけの価値があると思っていますし、自分勝手かもしれませんが、振り返って地球の姿を見るのは私にとって生涯の夢なのです」

 このサミットでマスク氏は、「人類の火星移住という長期的な目標を達成するために、再利用可能なロケット技術と強固で複雑な生命維持システムを構築すること」が、彼にとって優先事項であると話していました。

 マスク氏はすでに、NASAや世界中の宇宙機関が長期的な生命維持技術を導入している、国際宇宙ステーション(ISS)への宇宙飛行士の輸送に成功しています。しかし、この技術は、例えばNASAの先進的生命維持プロジェクトとは異なるものです。

 「将来の有人ミッションに必要とされる先進的生命維持(ALS)技術には、大気の再生、水の回収、廃棄物の処理や資源回収のために改良された物理化学技術や、食糧生産のための生物学的処理装置、統合されたサブシステム運用に関するシステムのモデリング、分析、制御などが含まれます」

と、マスク氏は話しています。

 ISSには、内部の空気から除湿時に水(凝縮水)を回収する機能があります。ですが、月(NASA)や火星(マスク氏のスペースX)に行く方たちは、短期滞在で頻繁にローテーションするわけではないので、1つのグループを長期的にサポートできる生命維持システムが必要になるというわけです。

 さらに火星へ入植し、その後長期的に根を下ろすことが目標であれば、火星に住む全人口のための食料やシェルター、医療設備、そして精神的・感情的な刺激(娯楽など)を用意しなければならないでしょう。

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 そのためには余剰物資と、すべてを火星の地で修復可能となる設備およびシステムが必要となってきます。この架空の使命を計画する際に研究者たちが好んで使うのが、3Dプリンターやリガンド結合のような科学プロセスになります。それは100種類の物体や50種類の薬など、そのときに必要となったさまざまなものへ姿を変えることのできる原材料を送るほうが賢明かつ効率的だからです。さらに適切な化学プロセスを使えば、その廃棄物を肥料分子へとリサイクルすることもできるのです。

 「命を落とす可能性は高く、それは厳しいものになるでしょう」と、マスク氏は言っています。そしてこう締めくくっています。

 「しかしながら…それがうまくいけば、かなり素晴らしい経験(貢献)となるでしょう」
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Source / POPULAR MECHANICS
Translation / Yuka Ogasawara
※この翻訳は抄訳です。