ここで問題です。米国の保有する核弾頭数をご存じですか?

米国の保有する核弾頭数

現在その情報は、トランプ政権によって再び非開示の状態となっています。およそ10年間にわたり、米国は保有数を公表していました。しかし、再び非開示へと戻され、私たち市民がその数字を知ることはできなくなっているのです。2018年の保有数がなぜ非公開とされたままなのか、気にして然るべき疑問ではないでしょうか。

2018年度の核保有数の開示を求める請求に対し、合衆国エネルギー省は「慎重に検討を重ねた結果、今回の公開請求については、見おくることと決定した」と答えています。

合衆国における貯蔵量などを含む、核物質に関する多くのことがエネルギー省の管理下に置かれています。エネルギー省のみならず、国防総省もまたこの情報の開示に関する権限を有しており、米国科学者連盟によればエネルギー省は開示に合意したものの、国防総省から抵抗があったというのです。

アメリカ空軍のステルス戦略爆撃機「B-2」。愛称はスピリット(Spirit)。
AL SEIB / GETTY IMAGES
アメリカ空軍のステルス戦略爆撃機「B-2」。愛称はスピリット(Spirit)。

2010年以降、合衆国政府は毎年、米軍における核兵器の保有数を公開し続けてきました。オバマ政権発足と同時に始まった情報開示ですが、核物質貯蔵量などの記録の管理に役立てられてきました。

既に入手可能な情報に基づき、ある程度正確な数字を推定することは外部機関にとってさほど難しいことではなく、つまり、情報の開示が国防の危機を招くというようなことはありません。

2010年の例を挙げれば、米国科学者連盟が5200と推定した合衆国の核弾頭数は、同年に開示された5113という数字と比べ、大きな誤差のないものだったのです。

なぜ、突然の方向転換がなされたのでしょうか?

米国科学者連盟で、核情報プロジェクトのディレクターを務めるハンス・M・クリステンセン氏は、これをトランプ政権における混乱と行政能力の欠如が原因だと考えています。

トランプ大統領は、オバマ政権下でなされたあらゆる政策に対し、逆方向の決断をくだす傾向にあり、新たな冷戦の扉を開こうとしているか、もしくは、自らを過信しているのではないか?というのが同氏の見解になります。

同じく米国科学者連盟に所属するスティーヴン・アフターグッド氏は、情報の透明性を高める政策が、ロシアや中国から同様の透明性を引き出す結果に至らなかったことが原因であるとしています。

では最後に、米国防総省により開示された最新の情報を記しましょう。

3822発の核弾頭が保有され、そのうち345発が同年に解体されているとしています。また、約1600発の核弾頭が弾道ミサイルのミニットマンIIIや戦略的重爆撃機、そして潜水艦発射弾道ミサイルとして搭載されているほか、2250が予備として貯蔵され、150発が例えばF-16などの戦闘爆撃機に搭載可能なB61核爆弾として貯蔵されているとのこと。また、それらのうち2650発が、最終的には解体される予定であると示されていました。

以上は2018年に公開された、2017年度の数字になります。

Source / POPULAR MECHANICS
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。