• カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者が、いわば「ロボットコンタクト」とも言える、革新的なコンタクトレンズを開発。
  • このコンタクトレンズを装着後、二度瞬(まばた)きをすれば最大で32%のズームインが可能となる。
  • 研究者たちはこの技術をさらに発展させ、調節可能なメガネや人工眼視覚をつくろうと考えている。

 映画「ミッション:インポッシブル」シリーズ第4作目となる『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011年公開)で、カメラ機能付きのコンタクトレンズが登場します。映画内では瞬きを2回して、極秘文書を隠し撮りしていました。

 もはやこれは、映画の世界の絵空事ではなくなっています。今日の技術進化により、まるでスパイ道具のようなアイテムが次々と誕生しているのです。Googleはメガネというカタチではありますが、カメラ機能付きのアイウエア「Google Glass」を2012年に一般向けとして登場させています。そして一般向けモデルは、2015年に販売終了。一方、企業向けEnterprise Editionは2014年からの開発し、その後、新型Google Glassと見られる製品の特許を取得したかと思えば、2019年5月20日(現地時間)に米GoogleはAR機能搭載の新モデル「Glass Enterprise Edition 2」を発表しています(一般には販売せず、興味のある企業はパートナー企業から購入可能)。

 また、Samsungも2016年4月にスマートコンタクトレンズの特許を申請。またソニーも同年、カメラや各種センサーを内蔵したスマートコンタクトレンズの特許申請を行っています。

 各社が視覚による技術開発をすすめるなか、時は過ぎ…今回紹介するのはさらに進化しています。目を瞬きするだけで、目の前の対象物へとズームインできるというのは、まだまだSF映画の世界だけだと思ってしまうかもしれません。

 ですが、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者たちは、その実現化に向け、大きな一歩を踏み出したと言っていいでしょう。コンタクトレンズ自体に、瞬きによってズームインやズームアウトなどの焦点距離を変更するタスクが実行できるコンタクトレンズを設計したのです。

 ドイツの出版「Wiley-VCH」によって発行された査読付きの科学雑誌『Advanced Functional Materials』に掲載された研究内容によれば、このバイオミメティクス(生物構造を模倣)なコンタクトレンズを開発した科学者たちは、既存のHMI(ヒューマンマシンインターフェース=人間と機械が情報をやり取りするための手段や、そのための装置やソフトウェアなどの総称)からインスピレーションを得たと言います。

 HMIは電気生理学的信号を利用して、車いすの動きや外骨格の多様な機能を制御するために開発されました。このコンタクトレンズは、障害を持つ人の回復を可能にするだけでなく、健康な人々の能力を強化することもできるのです。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
UC San Diego scientists create lens controlled by your eye
UC San Diego scientists create lens controlled by your eye thumnail
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 しかし、現段階では試作品のため、眼球の電位測定のため使用者の頭部に電極を5つ貼る必要があると言います。そして、コンタクトレンズで何度も動きを繰り返すと、制御ができなくなるなどの課題がいくつか残っているようです。

 研究では、科学者たちはエラストマー(弾力性・伸縮性そして復元力に優れた高分子素材)を2つの電極の間に挟み、それが人間の目に映し出される電気刺激によって活性化することによってズームを+-する仕組みになっているようです。

 例えば、まず2回瞬きをすると電極からエラストマーへ信号が送られ膨張し、視界にズームされた絵を映し出します。そして、さらにもう2回瞬きをするとズームは無効になり、通常のものの見え方に戻るという仕組みと言っています。

 科学者たちは将来的にこの技術を利用して、十分に機能する義眼や他の人工眼への応用を期待していると言っています。

FromPOPULAR MECHANICS, ESQUIRE IT
Translation / Esquire Digital
※この翻訳は抄訳です。