SF映画でおなじみのあの音、「ピューン・ピューン・ピューン」がまもなく登場するようです。それは恐ろしくもあります…。

米海軍、「ヘリオス(HELIOS)」は太平洋艦隊に割り当てられ誘導ミサイル駆逐艦に搭載

 米海軍は2021年までに、レーザー兵器を主力駆逐艦に搭載することを計画しています。「High Energy Laser and Integrated Optical-dazzler with Surveillance」システム、通称「ヘリオス(HELIOS)」は、小型ボートや無人航空機(ドローン)を焼き尽くし、破壊する防衛兵器として設計されています。米海軍によれば、この兵器は2年以内に太平洋艦隊に割り当てられ誘導ミサイル駆逐艦に搭載されるようです。

 2019年1月、米軍は「ヘリオス」を発注。ロッキード・マーティン社が2種類の新型レーザー兵器システムの開発を1億5000万ドル(約165億円)で受注しました。同社のプレスリリースによると、1つはニューメキシコ州のホワイトサンズ・ミサイル実験場にテストのために送られるそうです。米国海軍協会ニュース「USNI News」によれば、もう1つはアーレイ・バーク級の誘導ミサイル駆逐艦に導入する予定だそうです。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Laser Weapon System (LaWS) demonstration aboard USS Ponce
Laser Weapon System (LaWS) demonstration aboard USS Ponce thumnail
Watch onWatch on YouTube

「ヘリオス」は60kwクラスのレーザーシステムで、2014年に米海軍揚陸艦「ポンス」に搭載されたAN/SEQ-3レーザー兵器システム、または「XN-1 LaWS」と呼ばれるものの2倍のパワーを持っており、イラクが展開している武装組織として配備されている小型の高速ボート団を焼き尽くすことや、無人航空機も空から遠ざけることが可能な兵器と言われています。

 あるいは、おそらく国際的な紛争を避けるために、「ヘリオス」は単にUAVの電気光学センサーを「眩惑」させ、損傷させ、敵のミッション遂行を妨げる役割も可能だということです。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

 この理論を身近でシンプルな例えで表現するならば…、タトゥーの除去に使用されているレーザーです。レーザーで除去している瞬間をデジタルカメラで撮影すると、そのカメラにダメージを与えてしまい、画面にはグリーンの蛍光色が焼き付いてしまうのです。

 また「ヘリオス」には、長距離の情報収集、監視や偵察能力も備えています。

 ロッキード・マーティン社は詳細を明らかにしていませんが、「このレーザー兵器・妨害機能の照準システムには、おそらく、このシステムを装備した駆逐艦が迫る脅威を注意深く監視することを可能とする高精細で高出力デジタル倍率の能力も備えているのではないか」と考えています。

 ファランクス(Phalanx=米国で開発された艦載兵器)やRAM(回転弾体ミサイル)など、米国海軍の軍艦にすでに配備されている多くの兵器には、「ヘリオス」同様に小型のボートや無人偵察機ドローンに対しても同じような能力を持ち、同時により大型でより高速の航空機やミサイルにも対応できる能力を持っています。範囲も同程度のものです。

「ヘリオス」は理論的上“無制限攻撃”ができる

 しかし文字通り、「ヘリオス」のようなレーザー兵器が異彩を放っているのは、駆逐艦の搭載型発電システムを利用し、理論的には“無制限攻撃”ができる能力です。それに対しファランクスは、20〜30秒間の連続射撃に制限されていますし、RAMはMk.49誘導ミサイル発射システムに搭載されている21機のミサイルに制限されているのです。

「ヘリオス」は既存のシステムを飛躍的に超える進歩はありません。ですが、それでもやはり、火縄銃の初期の銃はある意味「弓矢より劣っている」ことを我々に確信させるものなのです。

 そして最終的には、銃器の技術が進歩するにつれて、火薬式の銃は明らかに進歩し続けていったことを思い出してください。つまり、このようにレーザー兵器もよりパワフルに今後進化していくことは確実であり、従来の銃器やミサイル兵器よりもはるかに効果的になって行く可能性も確実に秘めているということになるわけです…。

From POPULAR MECHANICS 
Translation / Kazuhiro Uchida 
※この翻訳は抄訳です。