GWが寸前に迫っています。

 2019年は4月30日の天皇陛下の譲位に伴って皇太子さまが即位され、改元される5月1日が2019年限定の「国民の祝日」(1993年6月9日の皇太子さまと雅子さまの結婚の儀以来約26年ぶり)となったため、10連休となりました。

 この超大型連休に、すでに旅行の計画している方も多いはず。またその逆に、「どこも混んでいるから、この時期はおとなしくしてよう」という方も少なくないでしょう。でも、後者の方も連休を半ばすぎたころになれば…「どこか行きたい!」と叫んでしまうものです。そんな後悔に苛まれようとしている方に、救いの手を…。

 そこでおすすめしたいのが、伝統都市・京都と美しく融合した国際的な写真祭「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真」。

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 とは言え、もちろんこの期間の京都は日ごろの外国人観光客たちの賑わいに加え、全国から集まった日本人旅行者で大混雑間違いなし。しかしながら、それを覚悟で行くべき価値が十二分にあるイベントが、今年で第7回を迎えた「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真」。回を重ねるごとに好評を重ね続けるこのイベントは2018年の第6回までに、累計約56万人の来場者数を集めたということ。第7回目となる今年は「VIBE」をテーマに、思いと思いがつながるときに生まれる「共振」や「共鳴」を表現する数多の展示が展開されています。

 皆さんもこの機会に、ぜひとも心を震わす「VIBE」に身を投じてみてください。もちろん大人ばかりでなく、子どもも楽しめる内容も盛りだくさんです。迷っても迷わなくても、いまから京都行きをぜひとも計画しましょう。

 そんな「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真」の中でも、特に注目したい展示をまずは3つご紹介しましょう。この3つだけに狙いを絞って、日帰りプランで行動すれば、大混雑も何のその…。疲れ知らずで、明日への英気を養うことができるでしょう(はずです…)。


The recommended #01

Albert Watson
アルバート・ワトソン
「Wild」

Room, Design, Font, Floor, Graphics, Graphic design, Interior design, Architecture, Table, Photography,
Esquire
会場となったのは、京都文化博物館 別館。1階に写真作品が展示され、2階では彼の作品を紹介するビデオが流れています。

 場所はかつて日本銀行京都支店であり、赤レンガに白い石を帯状にめぐらせるデザインは、ヴィクトリアン・ゴシックに影響を受けた建築家・辰野金吾(たつの・きんご)らしい建築で圧倒する京都文化博物館の別館にて。

 ここでは、「KYOTOGRAPHIE 2019」のキービジュアルにも使われている、若かりし日の坂本龍一氏の写真を撮影したポートレートの巨匠Albert Watson(アルバート・ワトソン)氏の写真展が開催されています。

 こればかりでなく、世界的な代表作であるAlfred Hitchcock(アルフレッド・ヒッチコック)やDavid Bowie(デヴィッド・ボウイ)そしてMick Jagger(ミック・ジャガー)など著名文化人たちを、彼にしかできない幻想的かつ機知に富んだ光のマジックでその存在感をさらに高次元な世界へと飛び立たせています。

GWにKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭へ、ミック・ジャガーも待ってます
Esquire
中央にあるのが、ミック・ジャガーのポートレートになります。

 『エスクァイア』『ハーパーズ バザー』『メンズクラブ』など、ファッション雑誌好きの方であるなら、この写真展を絶対見逃してはいけません。もちろん、本イベントのメインビジュアルとして使用されている坂本龍一氏の写真も並んでいますので…。さらに風景写真や、未公開作品なども展示されているので「VIBE」を感じっぱなしの時間となるでしょう。

 また、BMWプレゼンツによるオリジナルフィルム3部作 “光への探求 - JOURNEY OF LIGHT”も1階で上映されているので、こちらもぜひご覧ください。

 見るものにカタチを与え、見えないものに美しさを与える…「光」。これをアルバート・ワトソン氏がニューヨークと京都を舞台に探求。そんな彼の見つめる先にあるのが、「KYOTOGRAPHIE 2019」です。そして、その共同創設者/共同代表である仲西祐介氏(照明家)とルシール・レイボーズ氏(写真家)を迎え、3人の物語を3エピソードのオリジナルの映像でフィルムで綴った映像となっています。この制作には、「エスクァイア・デジタル」も微力ながら加わっております。
 
会場/京都文化博物館 別館
期間/2019年4月13日〜5月12日
時間/10:00~19:00
定休/2019年5月7日(火)
共催/京都府|presented by BMW
料金/一般1000円
   学生800円(要学生証提示)
   ※中学生以下は無料
公式サイト


The recommended #02

Benjamin Millepied
ベンジャミン・ミルピエ
「Freedom in the Dark」

KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭のすすめ急遽GWに、旅行したくなったらここへ!
Esquire
2012年に自身のダンスカンパニーを構えたロサンゼルスの路上でダンサーを撮影したモノクロの写真作品と、サウンドスケープを発表しています。

  今回の「KYOTOGRAPHIE 2019」でもう一つ、その参加が世界的な話題となっている人物がいます。それがBenjamin Millepied(ベンジャミン・ミルピエ)氏です。

 国際的に名を馳せる元ダンサーであり、ダンス好きであれば「バンジャマン」の発音で愛されている彼。一般的には、2010年の映画『ブラックスワン』での仕事で知られている世界的有名なコレオグラファー(振付師)として知られています(ちなみにこの映画での出会いをきっかけに、主人公を演じたナタリー・ポートマンと結婚しています)。

KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭のすすめ急遽GWに、旅行したくなったらここへ!
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KYOTOGRAPHIEの期間だけ、むきだしの土壁狭い螺旋階段をのぼり八角形ドームの3階へ上がることができます。その3階から見た2階の映像作品です。

 今回の作品群は、そんな彼の舞台仕事のかたわらに撮り続けてきたというスナップがズラリ。江戸時代から続く帯匠である誉田屋源兵衛(こんだやげんべえ)の黒蔵を会場に、1階の奥で展開されている作品はダンサーならではの躍動感と緊張感が具に表現されています。

 2階ではビデオ作品が上映されているので、ミルピエ氏の振付を存分に味わいたい方にはうれしい限りです。

 また会場の黒蔵自体も、誉田屋源兵衛1番奥の敷地にあり、古くからの蔵を改造した八角形のドームと黒漆喰がとても印象的でクラシックモダンな雰囲気満載の建造物になっていますので、これは行くしかないでしょう。

会場/誉田屋源兵衛 黒蔵
期間/2019年4月13日〜5月12日
時間/10:00~18:00
定休/水曜日(5/1以外)

supported by Zadig & Voltaire
料金/一般800円
   学生600円(要学生証提示)
   ※中学生以下は無料
公式サイト


The recommended #03

Alberto Korda
René Peña
Alejandro González
アルベルト・コルダ
ルネ・ペーニャ
アレハンドロ・ゴンサレス

「彼女、私、そして
彼らについてキューバ:
3人の写真家の人生と芸術」

KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭のすすめ急遽GWに、旅行したくなったらここへ!
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チェ・ゲバラの肖像写真で知られるアルベルト・コルダのファッション写真と記録映像


 京都・祇園の歓楽街に突如現れた一棟の(クリエイティブな)雑居ビル「y gion」では、3階にわたって3人のキューバ人アーティストによる「彼女、私、そして彼らについて」と題し、歴史をつなぐ写真展示を開催しています。これもまた、見逃すこのとのできない内容です。

 とりわけ逃してはならないのは、「11a」として展示しているアルベルト・コルダ氏のファッション写真と記録映像です。著名なファッションフォトグラファーとして活躍していた彼が革命を機に、キューバ革命のオフィシャルフォトグラファーとなった彼の失われた時間が、「彼女について」と題するこの展示から垣間見ることができるでしょう。

KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭のすすめ急遽GWに、旅行したくなったらここへ!
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「11a」で展示されているアルベルト・コルダ氏の「彼女について」。


 彼の作品の中でも、ファッションや広告の中の女性から1960年代初頭の政治活動に参加する女性民兵たちまで、1954年から1968年にかけてコルダが捉えたキューバの女性たちの美しさや官能性、清新さは、その時代のキューバの特性を体現するかのように映し出されています。

 そしてフロアの中央には、彼の作品であり世界的に有名なアルゼンチンのマルクス主義革命家チェ・ゲバラの肖像写真「英雄的ゲリラ」が飾られています。

Floor, Building, Room, Architecture, Photography, Tourist attraction, Stock photography, Interior design, Art, Flooring,
Esquire
「11b」で展示されているルネ・ペーニャ氏の「私について」。

 この他のフロアで展示中の「11b」のRené Peña(ルネ・ペーニャ)氏による「私について」も深いメッセージが込められた作品群です。社会主義国がユートピアとしてもてはやされた時代に生まれ彼は、やがてそれが崩壊していく過程を目の当たりにします。

 そんな彼は自身の体を舞台に見立て、セルフポートレートを撮影。二重規範や不寛容、価値観の喪失など、最近のキューバという国が抱えるさまざまな社会問題を自身の体をバックグランドに表現しています。

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「11c」で展示しているアレハンドロ・ゴンサレス氏の「彼らについて」。

 また、「11c」で展示しているAlejandro González(アレハンドロ・ゴンサレス)氏の、リサイクル素材で作られた模型でキューバの歴史的局面を再現し撮影した「再構築」シリーズ、そして差別がないと謳われていたカストロ政権時代に唯一不平等を強いられていたLGBTの人々をとらえた作品による「彼らについて」もぜひご覧ください。

会場/y gion
期間/2019年4月13日〜5月12日
時間/12:00~20:00
   土曜日は~18:00
定休/
火曜日(4/30以外)
料金/一般1000円
   学生800円(要学生証提示)
   ※中学生以下は無料
公式サイト


 以上、「エスクァイア・デジタル」編集部でおすすめしたい厳選3会場のご紹介でした。このほか、まだまだおすすめしたいところがいっぱいあります。

 今後、GW中にもご紹介する展示会が増えるかもしれませんので、ご期待ください。


KYOTOGRAPHIE
京都国際写真祭 2019
開催/
2019 年4 月13 日~5 月12 日
会場/京都市内各所
TEL/075-708-7108
  (KYOTOGRAPHIE 事務局)
さらに詳しくは公式サイトへ。