「自然現象だから幸運でないと…」とあきらめていませんか? 

 ここフィンランドは北部「レヴィ」では、高い確率でオーロラ観賞を堪能できます。せっかく地球に生まれたのですから、この自然が生み出す美しき現象に出逢い、感動してみませんか?

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Photograph / Tatsuya Ozawa


 フィンランドの首都ヘルシンキから、飛行機でおよそ80分。フィンランド北部に位置する、北極圏のラップランド地方にある「レヴィ(Levi)」。最寄空港はキッティラ空港です。旅のはじまりはこの地から…。

 オーロラが最も発生しやすいのが、北緯65~70度に沿った「オーロラベルト」と呼ばれるエリアです。フィンランド北部は、この地域に入っています。オーロラシーズンは、9月~3月です。

 今回筆者が訪れたのは1月下旬で、気温はなんとマイナス20度ほど…。この気温を聞くと、日本人にとっては尻込みしてしまいそうな温度でしょう。ですが、このレヴィは内陸部にあるので、バルト海東部のフィンランド湾に面した首都ヘルシンキと比べれば気温は低いのですが、風がない分、服装さえしっかりと気をつけていれば、体感温度としては「刺すような寒さ」ではないでしょう。

 「段取り八分」…、オーロラだけでなく冬のフィンランドの旅自体を楽しむには、まずは段取り…服装が要となります。これさえおさえておけば、何も心配する必要はありません。私(筆者)も何度「フィンランド・冬・服装」を検索して調べてことか…。

 特に一番心配だったのが足元です。雪だから、「滑り止めの付いたブーツを」と思いましたが、履きなれていない革靴は硬く、靴擦れの恐れもあります。さらに、上質なブーツだと数万円もかかり、今回のためだけの出費としてはかなり高くなってしまいます…。

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Photograph / Tatsuya Ozawa
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Photograph / Tatsuya Ozawa
『ザ・ノース・フェイス』のブーツ。

 AMAZONで購入 

 今回、私が出発前に唯一買い揃えたのは、この『ザ・ノース・フェイス』のブーツのみ。非常に軽く温かい。履き心地は柔らかいので足くびが痛くなる心配も靴擦れの恐れもありません。

 さらに折り畳みできるので、スーツケースのな中で場所をとることもなく、真冬の足元にお悩みの方にはかなりおすすめです。「レヴィ」だけでなく首都「ヘルシンキ」でも、このブーツは実際重宝しました。さらに、最近では冬の東京都心でも積雪があるため、いざという時に使用できるうえ、雪国出身の私にとっても「冬季、ホームタウンへ帰るときにも使える」という利点があり、間違いない選択でした。

 実は、同行した2人の他のスタッフも偶然にも同じブーツを購入していたんです…(笑)。メンズ、レディースともカラバリも豊富なのもうれしいところ。

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Photograph / Tatsuya Ozawa


 さて服装に関しては、いろいろ揃えると出費が重なるので、現地のレンタルショップで防寒具のジャンプスーツを借りるのがおすすめです。これ一つあれば、服装に関する寒さ対策はすべて完結します。

 防寒具をレンタルショップの「Perhesafarit」では、1日7ユーロ、1週間で45ユーロという料金です。荷物になる高い防寒着を日本から持ってくるより、こちらのほうが効率的と言えるでしょう。サイズ別でレッドとブルーがありますが、ベテランの店員さんが目安でサイズぴったりを渡してくれるので手間はかかりません。ただし、自身のニット帽と手袋はお忘れずに!

 ちなみに、もともと着ていたコート等不必要なモノは、大きなビニール袋を各一人ずつにもらえるので、それに入れてキープできます。まるで、サンタクロースみたいになれますよ。

●Perhesafarit
公式サイト MAP

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Photograph / Tatsuya Ozawa
防寒具をレンタルショップ「Perhesafarit」。

 
◆いざオーロラ観賞へ

 さて、防寒準備ができたら出発です。今回私がオーロラ観賞に向かったのは、夜22:00。深夜24:00くらいまでで、およそ2時間のタイムリミットです。

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Photograph / Tatsuya Ozawa
今回ガイドをしてくださった「ARCTIC FRONTIER」のDr.Tolonen。


 ガイドをしてくれたのが、オーロラツアー「ARCTIC FRONTIER」のTolonen博士。博士と言うのは、実際に彼は哲学の博士号を取得しているから。ここのツアーでは、オーロラを撮影するために必要な、ISO感度を調整したデジカメと三脚を貸し出してくれるだけでなく、最適なシャッタースピードのレクチャーもしてくれます。カメラに一度も触ったことのない素人の方でも、Tolonen博士が丁寧に教えてくれるので簡単にオーロラ撮影ができるでしょう。なのでご安心を!

 ツアー料金は(グループ8人まで)4時間で、一人180ユーロとなります。

 この日は、2019年1月22日。Tolonen博士は、「いまのところ今月、オーロラが観れなかったのは3日間だけです。今夜は天気も良いから観られる確率は高いですよ」と、出発して直ぐに教えてくれました。オーロラ観賞ができる確率の高いスポットを2カ所巡ります。 

 オーロラが綺麗に観ることができる一般的な好条件としては、【1】空気が澄んで晴れている日、【2】夜が長く暗い日、【3】建物など障害物がないエリア、【4】太陽の活動が活発である日とありますが、ここ「レヴィ」では、【3】は地理的にクリアされているので、だいたい【1】と【2】の条件が揃えばかなりの高い確率で観ることができるそうです。
 
 クルマを走らせること20~30分…、「ほら、あっちにオーロラが観えるよ」とTolonen博士…。

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Photograph / Tatsuya Ozawa
最初のスポットにて。


 最初のスポットに着くと、待ち焦がれていたオーロラにあっさり出逢うことができました。ここはTolonen博士による、オーロラの撮影法(シャッターを1度切り、その5秒後に2度目のシャッターを切る)のレクチャーポイントでもあるのです。そう、初めてオーロラを観ることができた興奮冷めやらぬ私とは対照的に、Tolonen博士にとっては、ここはあくまで撮影練習場という感じ…。次に向かう、より好条件のスポットに向かうまでの第一ステップだったようです。

 それでは、好条件で観られるスポット「パッラス・ユッラストゥントゥリ国立公園(Pallas-Yllästunturi National Park)」へ向かいます。

“大自然が作り出す芸術…。さえぎるものが何もないオーロラを独占”

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Photograph / Tatsuya Ozawa
オーロラに遭遇できる確率の高い国立公園「パッラス・ユッラストゥントゥリ国立公園(Pallas-Yllästunturi National Park)」。

 その第2スポットでも、あっけなくオーロラに出逢うことができました。

 先ほどより、大きな面積で全長がわかるように観ることができるスポットでした。国立公園だけあって、さえぎるものは何もありません。飲み込まれそうなほど壮大な空の中を、ゆったりとオーロラが泳いでいる姿が一望できました。

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Photograph / Tatsuya Ozawa
パッラス・ユッラストゥントゥリ国立公園(Pallas-Yllästunturi National Park)。


 そして,オーロラが出ている反対の空に目を向けると、太陽とも見間違えそうな輝きを放つ美しいフルムーンが…。こちらも絶景! この日の天気の良さが、こちらの写真から分かるかと思います。

 また、煙が出ている小さな建物は、ラップランドの先住民族サーメ人(Sápmi)によるテント形の小屋で「コタ」と呼ばれるものになります。


 この「コタ」の中では、Tolonen博士が暖炉に火をつけてくれていました。オーロラ撮影に疲れたら、この「コタ」で休憩を(ちなみにおコタはありません…)。この夜は、なんとマイナス25度…。冷め切った体を、Tolonen博士の奥さんがつくってくれたチョコレートブラウニーと、ミックスベリーティーが温めてくれました。心も体もほっこりです。
   
●ARCTIC FRONTIER
公式サイト

“旬な食材の旨みに舌鼓。シンプルで飽きのこない定番食”

◆ グルメ

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Photograph / Tatsuya Ozawa
フィンランドでは定番のサーモンスープ。「KING CRAB HOUSE LEVI」にて。
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Photograph / Tatsuya Ozawa
「KING CRAB HOUSE LEVI」の内観。
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Photograph / Tatsuya Ozawa
広大な「レヴィスキーリゾート(Levi Ski Resort)」内の一部。


 オーロラはもちろんですが、冬季のフィンランドに来たら、ぜったいに外せないのがフィンランド人の国民食とも言える「サーモンスープ」です。

 「レヴィスキーリゾート(Levi Ski Resort)」内にあるシーフードレストラン「KING CRAB HOUSE」は、新鮮で旬な食材に定評があります。素材を活かしたシンプルな味つけと、プリっとしたサーモンの旨みが利いたスープは、何度でもリピートしたくなる美味しさなのです。

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Photograph / Keita(frame)
「レヴィスキーリゾート」内で購入できる「LEVI」パーカー(64ユーロ)。


 また、旅行の楽しみの一つとして買い物を挙げる方も多いかと思います。フィンランドのお土産と言えば、世界的に人気を博するブランド「マリメッコ」や「ムーミン」のアイテムを購入する旅行者も多いはず。

 しかし、定番品とは違い、現地ならではのアイテムが欲しいという方には、この胸元に大きく「LEVI」と刺繍されたパーカはいかがでしょうか。左腕には、フィンランドの国旗が刺繍されています。カラーヴァリエーションも豊富。

 ちなみに私筆者は、このパーカを着ている人を空港で見かけて以来、これを切望。そうして念願叶って、手にすることができました。購入は、「レヴィスキーリゾート」内にあるお土産ショップで可能となっています。

●KING CRAB HOUSE LEVI
公式サイト MAP

 

◆初心者でも心配無用「犬ぞり」体験

  
 犬ぞりと聞くと、映画『南極物語』が浮かぶくらいでしょうか…。「せっかくフィンランド・レヴィまで来たのだから…」という思いから、なかなか体験することができない現地ならではのレクレーションに挑戦してみました。

 犬ぞりは、ハスキーファーム「Polar Lights Tours」で体験できます。

 2人1組でそり前方に一人が座り、後ろにもう一人が立ちます。操縦するのは後ろの人で、足元にペダル式のブレーキが付いており、それを踏むとよく訓練されたハスキー犬たちがスピードを落としたり、止まってくれます。

 操縦者は途中で交代できます。スピードは自転車くらいで、爽快感が抜群にありました。初体験の方でも、恐怖心を覚えることなく楽しめることでしょう。

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Photograph / Tatsuya Ozawa
体験したのは午前中。朝焼けやとっても美しい。


 この日は、非常に天候がよく空は快晴でした。しかし、犬ぞりのムードを引き立ててくれるのは、少し雪がチラつくほうが景色と相まってベスト。そりが進み始めるとなんと雪が少し降ってきて、冒険心をくすぐる良い雰囲気に…。

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Photograph / Tatsuya Ozawa
フィンランドの伝統的な豆のスープ「レンティルスープ」。


 体験料金は5km・85ユーロ、10km・125ユーロ、20km・200ユーロ。犬ぞり体験のあとは、冷えた体を温めるため出発点の小屋へ…。10ユーロでフィンランド伝統的な豆のスープ、「レンティルスープ」にありつけます。
 
●ハスキーファーム「Polar Lights Tours」
公式サイト MAP


◆「オーロラ」が観られる最後のワンチャンス! 

フィンランド旅行を終えて、皆さまの中には残念ながらオーロラに出逢うことができなかったという方もいるかもしれません。しかし、フィンランド国内で観れなくとも、最後まであきらめてはいけません。帰国のフライト中でもそのチャンスはまだあります。


 冬季のヘルシンキからのフィンエアーの夜便で日本へ帰国する際は、「機内の左側A席を予約」してください。フィンエアー社員の方が「現地時間の22:00~24:00くらいに窓の外を見てみてください。幸運でしたらオーロラが観れますよ」とこっそり教えてくれました。そして、フィンエアーがすすめるオーロラの楽しみ方もサイトから見ることができます。

 この時間は機内も消灯しているので、睡眠をとる選択をしてしまいがちですが、この瞬間を見逃す手はありません。なぜなら、普段オーロラは見上げるものですが、上空ということもあり同じ高さの目線でオーロラを拝むことができるのです。そして何より、防寒具不要。温かい機内でゆっくりと観ることができるのですから…。

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Photograph / Hikaru Sato
ヘルシンキー成田のフライト中、ロシア上空にてオーロラを観られるチャンスが!


 今回は、20分程度の長い時間オーロラを観ることができました。場所はロシアの都市、サレハルドに差し掛かるくらいの時間でしたので、皆さんもお見逃しなく!

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Photograph / Hikaru Sato
キッティラ空港にて出現した、現実の「幻日」。

 最後にもうひとつ、フィンランド「レヴィ」にて遭遇した神秘的な自然現象を紹介します。

 キッティラ空港から、ヘルシンキ空港へ向かうために飛行機に乗り込む前、「幻日(げんしつ)」が現れました。この幻日とは、太陽と同じ高度の太陽から離れた位置に光が見える大気光学現象で、太陽を中心に虹のようなグラデーションで弧を描いた光が見える現象です。

 そんなわけで皆さんの中に現在、旅のプランを考えている最中という方がいるなら、次の旅先はフィンランドでいかがでしょう? …とは言え、4月になるとオーロラシーズンではなくなりますが、それなしでも大自然の美しさがこのうえなく体感できるはずです。

 特に「レヴィ」では、サマーシーズンは日照時間の長さを活かした「白夜ゴルフ」、「ポンツーンフェリークルーズ(湖クルーズ)」、「SUP」、トレイルなどの悪路を走行できる「ファットバイクライド」やアイスランド・ホースの「乗馬」などなど…男心をくすぐるアクティビティーも豊富なのです。

 オールシーズンで楽しめるおすすめの地は首都ヘルシンキから国内線で1時間20分、キッティラ空港からクルマで15分の位置にある街「レヴィ」が間違いありませんね。



●お問い合わせ先
Visit Finland
公式サイト 

フィンエアー
公式サイト 

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