｢人工知能の出現で、"ほとんど"何でも再現できるということに気づきました」と、ブラジル人アーティストのヒドレー・ディアオさんは話しています。そのことに気づいて以来、彼は自身のInstagramアカウントに作品を掲載し、人工知能と編集アプリの両方を駆使。「あらゆる方法でデジタルアートをつくってきた」と言います。
ディアオさんのInstagramアカウントのプロフィール写真（@Hidreley）は、シンプソンズのキャラクター、モー・シズラックが実在の人物だったらどう見えるかを写実的に描いたもの。彼のアカウントがどんなものか？を紹介するに、最も適したものと言えます。
毎日24万8千人ものフォロワーが、彼の作品を追いかけているようです。アニメのキャラクターを生身の人間のような絵に変えるだけでなく、ディアオさんは自由の女神などのモニュメントにピクセルで命を与え、デジタル再現を長年にわたって実践してきました。
そんな、ディアオさんが制作した最新作は、新しい生命をつくり出すというテーマです。それもただの生命ではなく、「お気に入りの架空のカップルに子どもがいたら、どのような人物になるか？」という人工知能を使用してつくり出したリアルな肖像です。
例えば『マイティ・ソー』のクリス・ヘムズワースと、ナタリー・ポートマンに子どもがいたらどうなっているか？ 『ユー・ガット・メール』のメグ・ライアンとトム・ハンクスの子どもなら？ 『スパイダーマン』のトビー・マグワイアとキルスティン・ダンストの関係が続いていて、子どもがいたなら？ 『トップガン』のトム・クルーズとケリー・マクギリスの子どもはどれくらい背が低いのでしょう？ などなど…。 Photoshop、FaceAppなどを駆使して何時間もの作業に徹しながら、ディアオさんは私たちのためにそれを具現化してくれました。
人工知能がつくり出す若返った肖像画が必ずしも過去の実像と似ていないように、ディアオさんのイメージはどれも遺伝に忠実なわけではなく…。そう、現実的な話をしているわけではありません。ファンにとっての興味心であったり、そこからのファンタジーを提供してくれているのです。そして、それを実像に近いもので再現したという話なのです。
ファン心をくすぐるようにディアオさんは、子どもたちの表情をそれぞれのキャラクターに寄せています。『トップガン』の息子は、もちろんマクギリスのカールヘアとクルーズの笑顔を引き継いでいて、『トワイライト』のベラとエドワードの息子は、彼の素晴らしい髪を受け継いでいます。
ディアオさんがつくり出した画像を見て、もしタイタニックでケイト・ウィンスレットとレオナルド・ディカプリオが無事に生還していたら…と想像できるほど、その画像は実にリアルな感動を得ます。
また興味深いことにディアオさんは、映画の中で実際にカップルの間で子どもが誕生していたとしても、そのカップルたちの子どものイメージを人工知能でつくっています。例えばハリー・ポッターの息子、アルバス・セブルス・ポッター（アーサー・ボーエン）です。それは、彼自身の趣味と言えるでしょう。実際、劇中に登場する子役と人工知能がつくり出した画像を比較するため、あえて制作しているようです。それを確認しているときのディアオさんがきっと満面の笑みで観ていることでしょう（残念ながら、ディアオさん自身の肖像も明確にはわかっていません…）。
Source / ESQUIRE ES
