※本記事は理学療法士であり、認定ストレングス & コンディショニングスペシャリストの資格(C.S.C.S.)を持つトレーニングコーチ、トレバー・ティーメ氏(C.S.C.S)による監修記事です。

◇プロトレーナー(C.S.C.S.)監修記事

そしてこの記事は、手早く取り組めるトレーニングのヒントとなり、確かな効果を短時間で生む賢いトレーニング術を学ぶ機会となるでしょう。ですが、それはさながら拷問(!?)のようでもあります。

まさに人間のすることとは思えないほど苛酷なトレーニングを、泣き言をこぼすこともなく淡々とこなす長距離ランナーたちは、かなりサディスティックな集団とも言えるでしょう。そんな過激なトレーニングをこなす自分、そしてそのトレーニングプランをも誇りに思っているのです。

◇伝説の鬼コーチ考案
名門ミシガン大学の
過酷なトレーニングとは?

そんな長距離の世界にあり、最も我慢強いランナーでさえ青くなるトレーニングが存在します。米国の名門ミシガン大学の元トラック(トラックと呼ばれる走路で行う陸上競技)コーチ、ロン・ハーワースト氏(2000〜2008年のミシガン大学のヘッドコーチ)によって考案された、恐怖の「ザ・ミシガン(ミシガン大学流トレーニング)」についてご存じでしょうか?

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頑固なまでに過酷なトレーニングを好むランナーたちほど、この元ミシガン大学のトラックコーチであるワーハースト氏によって開発された、肺を破壊するまでに至るのではないか?と思える有名なトレーニング「ザ・ミシガン」の考えに夢中になっています。これまでのこのトレーニングを行った経験のある人なら、誰もがこのトレーニングの過酷さを否定することはないでしょう。当のワーハースト氏は、「このトレーニングをやり遂げた者は皆、スターを名乗る資格がある」とまで言っています。

そう、誰もがスターを名乗れるほど、そう簡単にこなせるものではないのです。なにしろその苛酷さ、これまで経験したことのないほどのトレーニングと言って過言ではないでしょう。しかしなぜ、ただでさえ挑戦的な厳しいプログラムばかりの陸上競技トレーニングに、さらにその上をいく厳しいトレーニングとしてこの「ザ・ミシガン」が人気を誇っているのでしょうか?

その理由は明白です。陸上競技の歴史にワーハースト氏の名を刻むことになったこのトレーニング方法こそが、レース本番の厳しさに打ち克つ力を鍛えるのに最適だからなのです。この「ザ・ミシガン」の目指すところは至ってシンプル。それは、競技中に繰り返されるペースの変化に対応することのできる肉体を生み出すこと、それのフォーカスしたトレーニングなのです。

このトレーニングプログラムでは、いくつかの異なるタイプのランニングトレーニングメニュー(インターバル、テンポ、ペースなど)をひとつのプログラムとして組み合わせることによって、体力および度胸とも言える精神力を徹底的に鍛え上げてくれることで有名です。このメニューを取り入れることで持久力の向上を目指したいという勇敢な人であるなら、やり遂げた暁(あかつき)には異次元のパフォーマンス能力が発揮できるようになり、誰よりも速くゴールテープを切ることができるようになるという伝説もあるほどです。

ミシガン大学流ランニングメニューを解説・注意点

あなたがやるべきこと:極めて苛酷なトレーニングですので、初心者向けではありません。中級者以上の人に限り、体力気力ともに充実している状態で行なうようにしてください。競技本番を直後に控えたタイミングでは、回復が間に合わない恐れがあるので行なうべきではありません。

「ザ・ミシガン」を実践する場合は競技用トラックとともに、その近くに1マイル(約1.6km=1周400mの陸上競技場の場合4周のランニング)の長距離コースが必要となります。そしてその長距離コースは、可能な限りトレイル(森林・原野・山地などの小道)に近い形態であることが望ましいです。

  • まずは2~3マイル(約3.2~4.8km)のジョギングからのストライド走法でウォーミングアップを行ない、それからトラックのスタートラインに立ちましょう。
     
  • 1万mを走る際のペースで、最初は1600m(トラック4周)を走ります。
     
  • ふたたび1マイル(約1.6km)の長距離コースのスタート地点までジョギングで向かい、今度は5000m競技を走る際よりやや遅めのペースで1周します。
  • またトラックに移動し、5000m競技のペースで1200m(トラック3周)を走り終え、その後また1マイルコースに移り1周します。
  • それからトラックに場所を戻し、5000m本番よりやや速いスピードで800m(トラック2週)を走ります。
  • さて、いよいよ3度目の(そしてラストの)1マイルコースです。それを終えたらまたトラックへと戻り、400m(1周)全力疾走でフィニッシュです。
     
  • フィニッシュ後はクールダウンを目的として、2~3マイル(約3.2~4.8km)のジョギングを行ないましょう。

◇まとめ・トレーニング後は?

トレーニング後には、この特別な日のための用意したおいた取って置きのご褒美と共に、やり遂げた喜びとともに自分を労ってください。なぜなら、この「ザ・ミシガン(ミシガン大学流トレーニング)」を耐え抜いたことは、どんなランナーにも自慢できる偉業を達成したことになるからです。これを否定する人がどこにいるでしょうか。これはあなたにとって、かなりヤバイほど素晴らしい経験となるに違いありません。

そう、この過酷なランニングメニューを完遂したあなたは、まさに真の持久力を備えたアスリートとして生まれ変わったと言えるのです。

Source / Men’s Health US
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。