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機能的な筋肉と可動域拡大を目指す8つのモビリティストレッチ

もっと力強く自転車をこぎたい人へ! 「メンズヘルス」日本版のアドバイザー2名に登場してもらい、サイクリストに必要な機能的な筋肉をつけるために、筋肉の可動域を高める8つのストレッチ種目を紹介します。特別な器具を必要とせず、自宅で可能なストレッチメニューになっています。

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機能的な筋肉と可動域拡大を目指す8つの効果的なストレッチトレーニング|メンズヘルス
Takamitsu Katagiri

【目次】

  • サイクリストの前傾姿勢における懸念点
    -痛みやケガのリスクを軽減
  • やり方動画解説|機能的な筋肉をつけるためのモビリティストレッチ8種目
    -「ウォールエンジェル」
    -「プローンショルダーCAR」
    -「キャットカウ」
    -「サイドライイング・ソラシックローテーション」
    -「ローワートランクローテーション」
    -「90-90シーテッド・ヒップローテーション」
    -「フロントフットエレベーテッド・スプリットスクワット」
    -「コサックスクワット」

これから紹介するストレッチの動きを練習することで、パワー(力強さ)と望ましい姿勢が得らるよう導かれ、道路をより快適に走れるようになるでしょう。

そこで、まずは自転車に乗っているときの姿勢を考えてみましょう。腰から上は前かがみになって両腕を前に伸ばし、ほとんど静止しています。ですが、ペダルを踏んでいる両脚は絶えず回転しています。

「メンズヘルス」日本版のアドバイザーでプロトレーナーの松浦卓也さんは、「静止した姿勢で下半身の動きに対応するためには、肩、腰、背骨に可動性が求められます。その可動性を鍛えることによって、自転車に乗っている間は力強さを保ち、自転車を降りたときに痛みを軽減させる効果が期待できるというわけです。ですから、モビリティ(可動性)拡大を目指すことが大切となってきます」と、説明します。

サイクリングというのは、矢状面しじょうめん=人の身体を左右に分ける面)に沿っていく性質が極めて強いものです。それはつまり、あなたの身体が正面から前方に向かって進んでいることを意味しています。ですから自転車から降りるときは、前頭面ぜんとうめん=人の身体を腹側と背側に分ける面》に沿った横方向の動きになるようにしたいわけです。

これが筋肉と関節の健康と可動性を保つのに役立っているので、怪我につながる可能性のある身体のアンバランスさを避けることができるというわけです

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サイクリストの前傾姿勢における懸念点

トライアスロンの大会に向けて日々トレーニングを実践するSetsu Tsukimotoさんは、「自転車に乗っているときの前傾姿勢を続けていると、股関節屈筋と肩が“こわばりがち”になります。さらに、ほとんどの人…特に普段デスクワークが主となる仕事をしているサイクリストの方は、机の前に座っているときのように背中の上部を丸める姿勢を自転車に乗るときにも持ち込む傾向があります」と、自身の体験をもとにその懸念点と注意点に言及しています。

…といいわけで、腰の可動域を広げて上半身を開くのに役立つ、可動性を高めることが大切になってくるわけです

本記事で紹介する可動性を高めるストレッチの最終目標として、『自転車で走るときに求められる強い身体(可動域の高い筋肉)をつくりたい!! その可能性がある!』ということを忘れないように実践していきましょう。

能動的構造(筋肉)と
受動的構造(関節や靭帯)を
バランスよく鍛えることで
痛みやケガのリスクを軽減

「関節はいくつかの骨で構成されており、その関節を通して、人間はある程度の可動域を持っています。可動性(モビリティ)とは可動域全体を使って自分の身体を支え、動かす力があることを意味しています」と、松浦さんは説明します。

もし、これらの可動域を使って動くだけの筋力がなければ、受動的構造(筋肉)の部分に依存する(=負荷をかけてしまう)ことになるので、バランスよく身体を使うために可動性が大事になってくるのです。

筋肉は能動的構造で、関節や靭帯は受動的構造になっています。もしも可動域を使って、思いペダルを踏むだけの力があなたの筋肉になければ、これらの受動的構造部に大きな力(負荷)が加わってしまうというわけです。そして、その部分に問題が生じる可能性も高まるというわけです――すなわち、痛みや怪我といった問題が…。

機能的な筋肉と可動域拡大を目指す8つの効果的なストレッチトレーニング|メンズヘルス
Takamitsu Katagiri

サイクリストにとって望ましい、機能的な筋肉をつけるためのモビリティストレッチ8種目

快適に力強く自電車を乗り続けるために、サイクリストがストレッチメニューに加える、効果的な8種目を紹介します。

可動域を使って身体を動かしたり、自転車を乗り終えた直後に身体の適切な箇所をほぐす必要があるときは、ぜひ試してみてください。

《コツと注意点》

モビリティストレッチを行うとき、重要なコツは『自分の限界を超えないようにすること』です。

つまり、「どの筋肉も傷めないようにすることが大切です。注意を払い、自分の身体に耳を傾け、可動域をコントロールして身体を動かすようにしてください」と、松浦さんは説明します。

ストレッチのメニューについて:セットは?

以下のストレッチを順番どおり、推奨された回数を行ってください。自転車に乗ったあとであれば1セット、ストレッチだけを単独でやる場合は3~4セットは望ましいです。

各ストレッチのデモンストレーションをやっているので、正しいフォームを確認しながらマスターしましょう。ストレッチ用マットがあればなお良しです。それでは、実践していきましょう。

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「ウォールエンジェル」可動域拡大を目指すストレッチ

《目的とメリット・どこの筋肉に効果的か》

胸郭(きょうかく)と肩の前部をストレッチして、ローテーターカフ(回旋腱板/肩関節を取り囲んでいる筋肉と腱)の強化を目指し、肩甲骨の安定を図ります。

《効果的なやり方 》

  1. 壁を背にして立ち、足、尻、背中を壁につけます。
  2. 両手の甲を壁につけて(もしくはできるだけ壁に近づけて)ひじを曲げ、サッカーのキーパーのように両腕を肩の高さまで持ち上げます。
  3. できるだけ手が壁から離れないようにして、両腕を上に伸ばします。ひじを曲げてまた肩の高さに戻します。
  4. これを10回繰り返します。
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「プローンショルダーCAR」可動域拡大を目指すストレッチ

《目的とメリット・どこの筋肉に効果的か》

CARとは、controlled articular rotation(コントロールされた関節の回転)の略で、肩関節の全可動域をコントロールして上手にゆっくりと動かします。

《効果的なやり方 》

  1. 足を伸ばして床にうつ伏せになり、手のひらを下に向けて両手を頭のほうへまっすぐ伸ばします。
  2. 頭も含め、身体のほかの部分を床につけたまま、腕だけを持ち上げます。
  3. 輪を描くようにして両手を背中に回しながら、途中でてのひらを返して天井のほうに向けます。
  4. 手が尻のところまで来たら、てのひらを天井にむけたまま、ひじを曲げて両手を腰の上あたりへ持ってきます。そこで一時停止したあと、逆の動きで最初のポジションに戻ります。
  5. これを5回から8回繰り返します。
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「キャットカウ」可動域拡大を目指すストレッチ

《目的とメリット・どこの筋肉に効果的か》

キャットカウは背骨の曲げ伸ばしをターゲットにしたもので、松浦さんの中でもおすすめストレッチです。個人的にもその効果の実感がより得られると言います。いわく「背中をニュートラルなポジションを維持することができます」とのこと。

《効果的なやり方 》

  1. まず、よつんばいの姿勢になって手首が肩の下、ひざが腰の下にくるようにます。
  2. 息を吸い込んでおへそを床に落とす心持ちで、背中をそらせて天井のほうを見ます。
  3. 次に息を吐きだしてあごを引き、おへそを天井のほうへ持ち上げる心持ちで背骨を丸めます。
  4. これを交互にやって合計10回繰り返します。
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「サイドライイング・ソラシックローテーション」可動域拡大を目指すストレッチ

《目的とメリット・どこの筋肉に効果的か》

胸を開きながら背骨上部と胸郭をターゲットにしたローテーション――単純に上半身が気持ちよくなる動きで、猫背予防にも効果を発揮してくれるでしょう。

《効果的なやり方 》

  1. まず体側を下にして横になり、肩と腰を起こし、両ひざを上下に重ねて、腰とひざを約90度に曲げます。
  2. 頭は枕かヨガブロックの上にのせます。両腕を前に伸ばして上下に重ね、腰が動かないように注意しながら本を開くような感じで上側の腕を身体の後ろまで開きます。
  3. 開いた腕を、できるだけ後ろの床に近づけるようにしてください。そこで一時停止して、また腕をもとの位置に戻します。
  4. これを5回繰り返して、サイドをかえます。
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「ローワートランクローテーション」可動域拡大を目指すストレッチ

《目的とメリット・どこの筋肉に効果的か》

自転車に長時間乗ったあとは、背骨下部の両側にある深層筋の腰方形筋(QL)が凝(こ)ったような感覚になることがあるのでは? そこをストレッチします。この動きには、同じくサイクリストの弱点である、腰の伸筋と臀筋(お尻)をゆるめる効果が期待できます。

《効果的なやり方 》

  1. 仰向けに横になり、ひざを曲げて足の裏を床につけ、腕を両側の床に置きます。
  2. 両ひざをそろえて身体の右側へ倒します。
  3. 次にひざを中央のほうへ戻して、そのまま左側に倒します。この動きを左右交互に、それぞれ5回ずつ繰り返します。
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初心者向け「90-90シーテッド・ヒップローテーション」可動域拡大を目指すストレッチ

《目的とメリット・どこの筋肉に効果的か》

股関節を回転させて、内側と外側の回旋筋をストレッチします――これも自転車に長時間乗って、股関節がガクガクになったときにやると気持ちのいいモビリティストレッチのひとつです。

《効果的なやり方 》

  1. 床に腰を下ろした状態でスタートします。左足を前に出し、すねを床につけてひざを90度に曲げて、すねと股関節が平行になるようにします。
  2. 右足は右側に引いて、すねを床につけてひざを90度に曲げ、すねが股関節と垂直になるようにします。これが90-90のポジションです。
  3. 背すじを伸ばして、初心者の場合はまず両手を後ろに(床に)ついてOKです(慣れてきた上級者の場合は両手を持ち上げ、手を床につけず胸の前にかまえましょう)。
  4. 両ひざを立てて右側に回転させ、その動きに合わせて胴体を回転させて反対側を向き、右足を身体の前の床につけ、左足を後ろに引いた90-90のポジションになります。
  5. 同じ動きを方向を替えてやります。これを左右交互に5回ずつ繰り返します。
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「フロントフットエレベーテッド・スプリットスクワット」可動域拡大を目指すストレッチ

《目的とメリット・どこの筋肉に効果的か》

このランジのポジション(足を前後に開いた姿勢)で、後ろに引いた足の大腿四頭筋(だいたいしとうきん)と、股関節屈筋をダイナミックに伸ばして飛躍的な強化を目指します。また、身体を沈めて前に踏み出した足の股関節を動かす際には、可動域のより深い部分をターゲットにすることができます。

《効果的なやり方 》

  1. すねの高さほどの台の上に、右足を置いた状態からスタートします。
  2. 左足を後ろに引いて、ランジのポジションをとります。
  3. 両手を腰にあて、両ひざを90度に曲げて身体を沈めてランジをやります。
  4. 足を前後に開いたまま立ち上がります。これを5回から8回繰り返して、サイドをかえます。
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「コサックスクワット」可動域拡大を目指すストレッチ

《目的とメリット・どこの筋肉に効果的か》

このストレッチは、まっすぐ伸ばした足の内転筋(太ももの内側)に素晴らしいストレッチ感が味わえると同時に、曲げたほうの足では臀筋と大腿四頭筋を強化し、足首の可動性を向上させます。

《効果的なやり方 》

  1. 両足を腰幅よりも広く左右に開いて立ち、両方のつま先をやや外側に向けます。
  2. 両手は身体の前に持ってきます。
  3. お尻を突き出すようにしながら右ひざを曲げ、体重を右足に移動させて左足を床につけたまま伸ばします。
  4. 右足を踏ん張って立ち上がります。方向を替えて同じ動きを繰り返します。
  5. 両足の位置を最初から最後まで変えないようにして、左右交互にそれぞれ5回から8回繰り返してみてください。


Reference / Bicycling
Translation / Satoru Imada

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