2023年12月8日(金)公開映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』で、主演を務めたティモシー・シャラメが初来日。『チャーリーとチョコレート工場』で有名な工場長ウィリー・ウォンカの若き日の物語を描いた同作は、彼の直近の出演作では珍しいファンタジー超大作。そんな本作でティモシ―は、演じるうえでいくばくかの葛藤があったようです。ウンパルンパ役のヒュー・グラントとの撮影舞台裏秘話から日本のポップカルチャー愛まで、本作では日本媒体としては初の独占単独インタビューに応じてくれました。

ポール・キング監督の『パディントン』シリーズが大好きとのこと。
wonka press tour 2023
Julian Ungano

――ポール・キング監督とは初めての仕事になりますが、いかがでしたか?

ティモシー・シャラメ(以下ティモシー):僕は、彼の『パディントン』シリーズが大好きなんです。それがこの作品に出演するきっかけでもあったほどなんですよ。もちろん、ティム・バートン監督の『チャーリーとチョコレート工場』も同じくらいに大好きでしたから、ウォンカを演じることができて、しかもポール・キング監督と仕事できるなら最高に幸せなことだと思って、出演を決めました。

――ロアルド・ダールの原作はお読みになっていたんですか?

ティモシー:もちろんです。ロアルド・ダールは好きな作家なので、全部ではないですがたくさん読んでいます。特に彼が書いたヤングアダルトのファンタジーが好きなので、『チョコレート工場の秘密』のシリーズをはじめ『ガラスのエレベーター 宇宙にとびだす』、『ローヤルゼリー』(『キス・キス』収録の短編)など、好きな作品がたくさんある作家の一人です。そもそも読書は僕の趣味の一つなので、仕事に関わるものだけでなく読んでいます。

来日中は、ゲームクリエイターの小島秀夫さんとも対面。
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――劇中のウォンカがみんなをチョコレートの虜にするように、あなたは本の虜になってるんですね。

ティモシー:それもありますが、ビデオゲームも僕がアディクトしているものの一つですね。

――あぁ、だからゲームクリエイターの小島秀夫さん(『メタルギア』シリーズを手掛けたクリエイター)に会われていたんですね。

ティモシー:彼はゲームマスターですからね。この取材の前日に会うことができて、とても光栄でした。彼のゲームは当然プレイしていますが、特にアディクトしているのは『レッド・デッド・リデンプション2』や『コール オブ デューティ』シリーズなどですね。実はゲーム実況のYouTubeチャンネルも、以前やっていたんですよ。もちろん今はそんな時間はとれなくなってしまったんですが…。

――撮影の合間の息抜きも読書とゲームですよね。でも、この作品の撮影にはチョコレートがたくさんあっただけに、チョコレートにハマってしまったのでは?

ティモシー:いえ。実は普段、あまりチョコレートは食べないんです。レーズンやナッツがチョコレートコーティングされているお菓子は好きでよく食べていますが…。

ウンパルンパとのシーンは、テニスボール相手に芝居。
a person sitting at a table
Courtesy of Warner Bros. Pictures

――ヒュー・グラントさんとの共演ですが、ウンパルンパはVFXですよね。共演しているようで共演していなかったのでは?

ティモシー:僕がカメラの前で芝居をしていた相手は、テニスボールでした(笑)。でも、ヒュー・グラントさんはセットのすぐ近くにいつもいてくれました。テイクした映像を彼と一緒にモニターでチェックして、どのようなやりとりになるかを話し合い、齟齬(そご)のないような演技を心がけたんです。

――このような撮影のスタイルは芝居をする側としてはやりにくいのでは?

ティモシー:確かに難しいですね。何もないところで、あたかも会話しているかのように芝居をするのは、いつもチャレンジだと思っています。でも、なにせ『パディントン』の監督ですからね。彼はこの手の撮影のプロフェッショナルだから、VFXの多い作品の中ではとてもやりやすい現場だったと思っています。

「あぁ、役者も楽しんでいいんだ」
a group of people standing in front of a wall with red flowers
© 2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
2023年11月20日六本木ヒルズアリーナにて開催された『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』のジャパン・プレミア・イベント、「マジカル・チョコレート・ナイト」に登壇したティモシー・シャラメとヒュー・グラント。

――業界の大先輩にあたるヒュー・グラントさんの出演作は、どの程度ご覧になっていたんですか?

ティモシー:彼の初期の作品からほとんどを観ています。特に『モーリス』は素晴らしかったですね。『君の名前で僕を呼んで』の脚本を手掛けたジェームズ・アイボリーが監督した作品ということで、あの作品のリサーチ時に拝見しました。あの作品に出演するにあたっては、『モーリス』を観ないと始まりません。その点でヒュー・グラントさんのキャリアは、僕にとても大きな影響を与えたと思います。これからの季節でしたら、『ラブ・アクチュアリー』も最高ですよね。あれはクリスマス映画のマスターピースですから。

――そんな彼との共演で得られたことはなんでしょう?

ティモシー:実は…このところ、僕が出演した映画はどれも暗めで考えさせられる作品が続いていたこともあり、このようにファミリーで楽しめる作品はどのようにアプローチすればいいのかよくわからなかったんです。でも、すごく楽しんでいらっしゃる彼やスタッフの皆さんとご一緒していることで、「あぁ、役者も楽しんでいいんだ」と改めて気づかされました。仕事の中で何かを教訓を学びとることも重要なことですが、芝居を心から楽しんで、それをお客さんに見せることが、この作品には欠かせないということを彼との共演で具体的に感じ取ることができました。


2023年12月8日(金)公開映画
『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』本予告 2023年12月8日(金)公開
映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』本予告 2023年12月8日(金)公開 thumnail
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監督・脚本:ポール・キング
製作:デイビッド・ヘイマン 原案:ロアルド・ダール
出演:ティモシー・シャラメ、ヒュー・グラント、オリヴィア・コールマン、サリー・ホーキンス、ローワン・アトキンソン
配給:ワーナー・ブラザース映画

ティモシー・シャラメ:1995年12月27日生まれ、米NY出身。ジェイソン・ライトマン監督の『ステイ・コネクテッド〜つながりたい僕らの世界』(14)で映画デビュー。ルカ・グァダニーノ監督の『君の名前で僕を呼んで』(17)でアカデミー賞主演男優賞、ゴールデン・グローブ賞主演男優賞(ドラマ部門)にノミネートされるなど、その演技力も高く評価された。以降、グレタ・ガーウィグ監督『レディ・バード』(17)、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(19)、ウェス・アンダーソン監督『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(20)、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『DUNE/デューン 砂の惑星』(21)などに出演。ルカ・グァダニーノ監督『ボーンズ アンド オール』(22)では出演のみならずプロデュースも兼任。待機作は『デューン 砂の惑星 PART2』(24)。
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Photo: Julian Ungano
Interviewer: Masamichi Yoshihiro
Edit: Minako Shitara(Esquire)