「カフェインを断ち」続けた結果:肌(赤い斑点)の改善と健康効果
「風邪と二日酔いに、同時になってしまったのだ」と思いました。『仕方ない…』という気持ちを整え、症状が軽くなるまで我慢して耐え抜こうと思ったのです。ですが、それは大きな間違いでした」と、彼は言います。
英国ニュースメディア「WalesOnline」のジャーナリストであるウィル・ヘイワードさん(Will Hayward)は、「カフェイン断ちを始めて今でちょうど3週間(21日間)を終えたところですが、正直なところ、想像よりもずっとずっと大変でした」と振り返り、実感できた変化と効果(メリット)、そしてその道のりを報告しています。
彼が「カフェイン断ち」 を試みた一番の理由は、「カフェインが原因となって引き起こされた肌の湿疹(赤い斑点)を改善したい」という思いからでした。
「カフェイン断ち」最大の理由:肌(鼻と頬の赤い斑点)の湿疹が原因で皮膚科に
「以前から、鼻と頬の赤い斑点が気になっていたのですが、湿疹の一種だろうと考えていました。ですが、皮膚科で診てもらったところ、カフェインが原因となって引き起こされた『酒さ(しゅさ)』と診断されたのです」
▶「酒さ」とは? …顔面紅潮(がんめんこうちょう)、毛細血管拡張、紅斑(こうはん)、丘疹(きゅうしん)、および膿疱(のうほう)と重症例でみられる鼻瘤(びりゅう)を特徴とする慢性炎症性疾患のこと。
「ならばカフェイン断ちをして、肌の湿疹の原因が本当にそうなのか、確かめようと思い立ったというわけです。他にも理由はありました。このところうまく熟睡もできず、集中力の続かない日が増えてきたことに気づいていました。それを、カフェインを断つことで解決できるのではないか?と考えたのです」と、ヘイワードさんは説明しています。
反省点:どれほどカフェイン中毒に陥っていたのか?
「振り返ってみると、私(ヘイワードさん)は16歳のときに、通っていた学校に炭酸飲料の『ドクターペッパー(Dr Pepper)』の自動販売機が設置されたあの日以来、かなりのカフェイン中毒になってしまいました。レッドブルが登場するのが、私がもっと歳を重ねてからのことだったので、これは実に幸いでした…。ご存知の通り、『ドクターペッパー』や『レッドブル』には、カフェインが含まれているわけです。
やがて、『ドクターペッパー』を卒業することになる私は、(もちろんコーヒー文化は素晴らしいものですが)お高くとまったコーヒー通の気取り屋としてのスリルを楽しむようになり、そこから後戻りできなくなったのです。そのうち、コーヒーを楽しむのではなく、カフェインへの依存がかなり高くなっていったのです」
好意的でない、カフェイン依存生活の内容
「それからはもうずっと、このカフェイン断ちを思い立ってはいたのですが、つい先月まで私の生活習慣の一部として、コーヒーはすっかり定着していたのです。
目覚めればまず、インスタントコーヒーをつくります。そうでない日は、通勤途中にコーヒー(ダブルショットのアメリカーノ)を買って飲んでいます。
職場に着けば、午前のうちにカフェテリアで1杯コーヒーを飲み、昼まで乗り切ります。そしてまた午後2時ごろになると、誰か同僚と連れ立ってカフェテリアへと向かうわけです。その後は2~3杯、紅茶を飲むようにしています…。夜9時以降になると、睡眠に影響が出ると困るので、我慢するようにはしていました」
留意点:コーヒーには優れた健康効果・メリットも期待できる研究結果
先に、誤解のないよう注意しておかなければならないこととして…。実際コーヒーには、優れた健康効果が期待できることが、さまざまな研究結果が報告されているのも事実です。チョコレートに至っては、精神的・肉体的の両面から健康効果が期待できるという報告もあります。
ヘイワードさんはそのことを認識しながらも、実際カフェインに依存しすぎている自分に気づいたというわけです。
飲む量がコントロールできる紙パックのコーヒー(1000ml)もおすすめ
人によってはポットやコーヒーミルを使用して、自宅で美味しいハンドドリップコーヒーを淹(い)れることを習慣化している方もいることでしょう。そんな方は、コーヒーの真の香りも楽しめるということで、最高の瞬間と自覚しているに違いありません。
一方で、コーヒーポットにコーヒーが余ってしまう方も少なくないはず。それがもったいなくて、結局何杯もコーヒーを飲んでしまう方もいるかもしれません。
そこでおすすめできるのが、コンビニやスーパー、デリで販売している紙パックにセルフで注ぐコーヒー(1000ml)です。注ぐ量を自分で調節できるので、飲みすぎ回避には最適となるでしょう。またアイスコーヒーも、断然つくりやすいです。
■カフェイン断ち1日目:特に変化なし
さて、ヘイワードさんの「カフェイン断ち」の挑戦の道のりについて、ここから振り返っていきましょう。
「カフェイン断ちの初日ですが、特になんの変化も感じませんでした。むしろ、普段より快調なほどでしたが、『水を飲む量が増えたからかもしれない…』と考えました。ですが、これは嵐の前の静けさに過ぎませんでした」と、初日の実感を教えてくれました。
■2~3日目:カフェイン断ちがもたらすひどい頭痛と倦怠感|離脱症状
「カフェイン断ち2日目の朝、目を覚ました私は重度の風邪と二日酔いに、同時になってしまったのか?と思いました。
そのとき、頭がガンガン鳴っていました。それも普通の頭痛ではなく、目の奥が痛くなるような頭痛です。帰ってきたヴォルデモート卿の怒りがじわじわと伝わってくるのを隣りで感じるハリー・ポッターのような気分…、と言えば伝わるでしょうか。
『コーヒーが欲しい』、と強く感じた最大の瞬間でした。それだけでなく、私の場合は筋肉痛まで起きているのです。足には力がまったく入らず、まるで前日にハーフマラソンでも走ったかのようでした(実際は、歩いてKFCに行っただけでしたが…)。
『仕方ない』と気持ちを整え、症状が軽くなるまで我慢して耐え抜こうと思ったのです。残念ながらそれは、大きな間違いでした」
■4~7日目:カフェイン断ちがもたらす吐き気|離脱症状
「ここの来て、“吐き気”という新たな仲間も加わりました。この期間は、標準レベルの気持ち悪さが続くことになりました。特に朝は胃がものすごくムカムカとして、食事のたびに戻してしまいそうでした。
荒れた胃のせいなのか? 他に原因があるからなのか? は分かりませんが、とにかく目の前の誰かに怒りを爆発させてしまいそうになることが次第に増えてしまいました」。関連記事:コーヒー(カフェイン)中毒を示す、5つのサイン
■苦しみを軽減するにはハーブティーが効果的
カフェイン断ち中は、一般的に(カモミールやアップルシナモン、レモンジンジャー、ミントなど)ハーブティーが、カフェイン抜きの日々の苦しみを軽減させてくれる美味しい味方となります。
その効果を知っていたヘイワードさんでしたが、精神的な安定には程遠かったようです。辛い期間だったようで、自己嫌悪感に陥ってしまいます。
「ペパーミントティーを片手に、惨めな気分で通勤しているときのことです。まったくの不注意から、ある男性が私にぶつかってきたことがありました。普段であればこの種のことにはかなり冷静でいられる私ですが、思わず彼の顔を殴りつけたいという衝動に駆られました。もちろん、殴ったりはしませんでした。それに彼は、12歳くらいの少年だったのですから…。
まったく罪のない子どもにまで攻撃的な気分になることもあれば、それ以外の時間は不安感に襲われるようにもなりました。奇妙なことに、まるでコーヒーを飲み過ぎたときのような感覚と言っても良いのでしょうか。つまり、心臓がドキドキと高鳴り、胸が締めつけられるような感覚に襲われるのです。
筋肉痛も治りませんでした。ジョギングをしても数分後には、かなりの疲労感に襲われるようになりました。毎日、自分自身がゴミ屑のような気分でした」。
■8~9日目:カフェイン断ちの好転反応、睡眠改善
「この頃は、やっと頭痛がおさまってきた…と言える情況となっています。そして特に、特出すべき効果として、睡眠の面で大きな効果が表れはじめました。
これまでの私は寝起きが悪く、また、いつまでも眠くならない夜更かしタイプの人間でした。ですが、これが一変したのです。夜は10時ごろには疲れて眠くなり、そして、なにより翌朝になって目覚めたときに、なんというか数年ぶりの熟睡を味わったような気がしたのです!」
肌荒れの改善と顔つきの変化|ビフォーアフター写真
写真左がカフェイン断ち挑戦前で、写真右がカフェイン断ちの好転反応以降のヘイワードさんです。
「肌の状態もその効果によって、徐々に変化が現わていることが確認できます。炎症も痒みもなくなりました。『フィル・ミッチェル(Phil Mitchell=英BBCのテレビドラマ『East Enders』の登場人物)』や“映画『ロード・オブ・ザ・リングス』の“ゴラム”のようものではなく、これぞ人間と呼ぶべき肌のコンディションがカムバックしてきたのです。
ゴラムの名が出たところで捕捉しておくと、友人たちが私の目の前でコーヒーを飲むのを見るたびに、まるで指輪に飛び掛かろうとするスメアゴル(=ゴラムの本来の名前)のように、そのコーヒーに向かって飛びつきそうになる衝動と闘わなければなりませんでした。ある友だちがエスプレッソを飲んでいるのを目撃した際の私の目つきは、彼がそれまで見たことのない異様さだったと言われてしまいました(笑)」。
■10日目:不注意で誘惑に負けた?
「残念ながら10日目に私は意図せず、悪しき習慣に再び手を染めてしまいました。あまりの後悔に、自分のことを嫌いになってしまいそうでした。
スーパーマーケットで良い気分で日用品を買い込みながら、ついどうしてもチョコレートを食べたくなってしまったのです。
これまでチョコレートを特に好きだったことなどありませんでした。ですが、なぜか手が伸び、大きなチョコバーを2つをカートに入れてしまいました。その夜、カフェインレスの紅茶を淹れて飲みながら、つい、うっかりチョコバーを2つとも食べてしまったのです。
これ自体特に、なにかを考えてしたことではありませんでした。しかし、その夜はうまく寝つけず、翌日には再び、肌の赤い炎症が戻ってきてしまっていたのです。スキンケアは完璧と思い込んでいた私は、少なからず動揺しました」。
失敗から学ぶ:食品表示を確認する大切さ
「私は肌荒れの原因を調べようとインターネットで情報を調べると、すぐに自分の愚かさに気づかされることになりました。
チョコレート菓子には、実はかなりの量のカフェインが含まれていることが分かったのです。さらにカフェインレスの紅茶やコーヒーなども完全にカフェインフリーなものばかりではなく…。つまり私は、前の晩はコーヒーを飲んでしまったのとなんら変わらない状態だった…というわけです。
許し難いほど自分に腹が立ちました。でも、その後の最終日の21日目(3週間)のカフェイン断ちを続けることができたことで、やっと自分を許すことができました」と、ヘイワードさんは言います。
とは言え、上述のようにダークチョコレートには健康効果が期待できる研究報告も一方で存在するので、自分に合致した方法を見つけることが最善と言えるでしょう。
■最終日(21日目)の成果:カフェインを断ちのメリット
「こうして3週間のカフェイン断ちを乗り切った今、その間のあれこれを振り返りながら、実感できた変化をいくつか挙げてみようと思います」と、今回の挑戦で得た効果を教えてくれました。
【1】午後の早い時間から疲れを感じることがなくなった。
【2】全体的に気分はとても落ち着いている。感情の浮き沈みが減り、平常心を失うことが減った。
【3】肌の調子がとても良い。「これがどれほどにもうれしいしいことなのか、言葉にするのは難しいほどです」と、彼のカフェイン断ち最大の理由であった思いを残しています。
【4】歯が見るからに白くなった!?(と思います)。
まとめ:「ポジティブな健康効果に満足」
「あの苦くて甘いコーヒーの味わいが、私の歯を茶色く染めながら口の中で広がり、その美味しさに心拍数が上がる…。
最後にその快楽を味わってから、実に3週間が経過したというわけです。その間、わが身に起きた変化を振り返ってみると、それは驚くべきものであり、かつポジティブなものでした。
ハードドラッグの禁断症状に打ち克ったわけでもなく、何か特にすごいことを成し遂げたわけでもない…ということは、十分に承知しているつもりです。ですが、『このカフェイン断ちがは、私にとってかなり役立つものだった』と実感じていますし、後悔など全くありません…」と、今回の挑戦を締めくくってくれました。
カフェインの摂取量について ― 厚生労働省
最後に日本の厚生労働省では、「摂取量によって、カフェインは軽度の覚醒作用をもたらすことがありますが、カナダ保健省によると、成人が1日あたり400~450 mg(レギュラーコーヒー3~5杯分に相当)を摂取しても身体に悪影響はないでしょう。※妊娠または授乳中の人を除きます」としています。
一方で留意しておかなければならないことは、「カフェインを過剰に摂取した場合には、中枢神経系の刺激によるめまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気等の健康被害をもたらすことがあります」と、日本の厚生労働省が伝えている内容です。
このため食品からのカフェインの摂取に関しては、国際機関などにおいて注意喚起があります。
例えば「世界保健機関(WHO)」は、2001年にカフェインの胎児への影響はまだ確定はしていないとしつつも、お茶、ココア、コーラタイプの飲料はほぼ同程度のカフェインを含んでおり、またコーヒーはその約2倍のカフェインを含んでいることから、妊婦に対してはコーヒーを1日3~4杯までにすることを呼びかけています。
また「英国食品基準庁(FSA)」では、2008年に「妊婦がカフェインを取り過ぎることによて、出生時が低体重となり、将来の健康リスクが高くなる可能性がある」として、妊娠した女性に対して1日当たりのカフェイン摂取量を、WHOよりも厳しい200mg(コーヒーをマグカップで2杯程度)に制限するよう求めています。
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