30日間カフェイン摂取後の早朝ランニングに励んだ結果
サプリメントの中身は、トレーニング前に心拍数を高めてくれる「プレワークアウトパウダー(BBC=分岐鎖アミノ酸など、筋トレ前に飲むと効果的なサプリメント)」のような商品があることは、ご存知でしょう。
「カフェインを摂取してトレーニングに臨んだ場合、パフォーマンス向上が期待できる」という研究結果を以前、エスクァイアでも紹介しています。
ここでは30日間走る前にカフェインを摂取することで、「自らの身体にどんな変化が起きたのか?」を検証したジェシカ・パホルスキーさんの報告をご紹介しましょう。ジェシカさんはペンシルベニア州の私立寄宿学校でビデオ・マーケティング・コーディネーターとして働きながら、イタリア料理における「Pesto(ペスト)」(細かく刻んだバジル、にんにく、松の実を擦り合わせ、おろしたパルメザンチーズ、オリーブ油と合わせてつくったペースト状のもの)に魅了され、栄養バランスに考慮した多国籍レシピを紹介するサイトの運営をしています。それだけ、ウェルネスの領域にこだわりを持つ人物です。
ジェシカさんはプライベートではランナーであり、トレーニングも欠かしません。そんな彼女が今回、ランニングなどのトレーニング前に“カフェインを摂取”すると、パフォーマンスがどのように変化するのか30日間検証しました。「1.6km(1マイル)のペースは短縮できましたが、別の問題も生じました」とジェシカさんは言います。そこで彼女が実感した変化と効果(メリット・デメリット)、さらにその道のりに関して、もう少し詳しく聞くことにしましょう。
◇ランナーであるジェシカさんの筋トレメニューと食生活
私(筆者ジェシカさん)は自身、熱心なランナーだと思っています。週に6日間、平均約13km(8マイル)走っています。ですが、これまではカフェインはほとんど摂取していませんでした。
コーヒーや紅茶、エナジードリンクも甘味料の含んだ炭酸飲料も飲まない生活をおくってきました。週に1、2度、寝る前にダークチョコレートを食べるくらいです。
寝る前のダークチョコレートで睡眠の質を高めて、(身体を休める)最適なレム催眠が得られるようにしているのですが…。これって正しいですよね?
それでも朝は、5時45分にスマートフォンのアラームが鳴れば、転がるように起きて動き始めます。そこから30分以内に外へランニングのために出かけるか、家でトレッドミル(ルームランナー)を利用して走り始めています。約3km(2マイル)程度走ったとき、たまに運転手が笑顔で長めに「危ないよ」的におはようの挨拶をクラクションでしてくれます。これは私にとって、走るときのBGMのようなものです。
◇運動前にカフェイン摂取、パフォーマンスを向上させるのか?
そしてあるとき私は、カフェインを日々摂取することで、早朝ランニング中に気分がどう変化するのか知りたいと思いました。また量的な意味で、どの程度でカフェインが「パフォーマンスを向上させる」ことが可能かを確認してみたかったのです。
そのカフェインの摂取方法としては、コーヒーの味を覚えることも、走っている最中に胃の中にコーヒーが残っていることを感じたまま走ることは嫌だったので、サプリメントストアで200ミリグラム錠が入ったPROLABのボトルを購入しました。
◇カフェイン摂取量は? どのタイミングで飲む?
そうして毎朝、走り始める30分前に1錠(カプセル)服用しました。この量は「軽い」と思う人もいると思いますが、考えてみてください。
約250mlのコーヒー1杯に含まれているカフェインは約95mg。そして私の唯一のカフェイン源であるダークチョコレート1かけらに含まれるカフェイン量はわずか21mg程度ですので、私にとって1錠200m1gはかなりの量になります。
それでは、30日間を達成して後に学んだことを振り返って紹介します。
■「運動パフォーマンス向上におけるカフェインの効果は、ほぼ即効性」
ある研究によると、カフェイン摂取によって持久力系アスリートのパフォーマンスタイムが最大で5%向上したことが報告されています。この研究に参加した自転車競技の選手たちは、タイムトライアルの1時間前にカフェインを摂取しています。
同じ結果を得るためには、私は時間を逆算すると午前4時45分に目覚ましをかける必要があります。これはさすがに無理でした。そうする必要も、あまりないと思っていました。
で30日間、カフェインタブレットを摂取したわけですが、一貫して言えることは、10分後にはカフェインの効果を感じ始めていいたのです。
■留意点「カフェイン摂取後、トイレに行きたくなる…特に、出かける時には」
カフェインは摂取するとトイレが近くなることは、いくつかの研究結果により知られています。関連記事:コーヒーが「便意」をもよおす理由
私は、このことが(私自身にとっては)事実であることを改めて実感しました。カフェインタブレットを飲んだ直後から、何度もトイレに行きたくなりました。カフェインの利尿作用により、実際に走りに出かける前に、別の種のランニング、すなわちトイレへの駆け込みが生じてしまいました。
というわけで、今回の30日間の実験中には、外に出る前に十分な「安心」を感じられるようにならなければならないという新たな準備も必要となりました。さもなければ、走っている途中で空き地や森で、人のいない場所を探さなければならなくなるからです(少なくとも私のランニングコースは、あまり人のいない田舎道ではありますが)。
強力なカフェインタブレットは、尿意に影響を与えただけでなく、尿を強烈な悪臭に変化させることも同時に気づかされました。関連記事:尿からコーヒーの臭い…その理由と原因を専門医が推察
■メリット「有酸素運動に良いカフェインによるパフォーマンス効果」
いくつかの研究では、カフェインの摂取がどのように持久力を高めるかについて検証されています。何しろ2004年までは、カフェインはパフォーマンスを向上させる薬物と見なされていたのですから。今でもオリンピック選手の競技前のカフェイン濃度は規制されているほどです。
私はオリンピックに出場するわけではないので、カフェイン濃度の検査を心配する必要はありません。それにチェコで行われた研究では、「カフェインを摂取すると、エリートではなくサブエリート(つまりアマチュアのランナー私のことです!)のアスリートの持久力を高める」という結果が報告されているので、私はそれを望んでのトライしてみました。
◇カフェイン摂取1日目~5日目のランニング効果「疲労感が少なく、ランナーズ ハイに」
カフェインを摂取し始めてから最初の5日間は、頑張って走っていても、いつもより疲労感が少ないことに気づきました。
例えば、同程度の頑張りで約8.5km(5.3マイル)走ると、カフェインを摂取しないで走ったときよりも約1分早く走れたのです。
これは約1.6km(1マイル)あたり、およそ11秒速いペースになります。このことは、新しいタイプの「ランナーズ ハイ」と言えるのではないでしょうか。このカフェインの効果が、「30日間ずっと続くのでは?」という期待も高まりました。
◇カフェインに身体が慣れる危険性
けれども6日目には、元に戻ってしまいます。そして、そのままになってしまいました。
私の体内は、毎日200ミリグラムのカフェインを摂取することに順応してしまったようです。自分が期待していた努力が、走っていたペースに反映されていただけのようです。
例えば最初の数日間は、約1.6km(1マイル)あたり7.5分のペースが、約1.6km(1マイル)あたり8.5分のペースに感じていました。ですがそのあとは、なんとなくですが約1.6km(1マイル)7.5分のペースだったのです。
つまり、カフェインの効果でフィットネスが向上したときの興奮はどこかへ行ってしまい、それよりもトイレが近くなったことへの不満が目立ち始めてきます。そうしてカフェインタブレットに対する思いは、敵意へと変わってしまったのです。
◇カフェイン摂取による、筋肉痛への回復効果は?
別の研究によると、自転車競技の選手がカフェインを摂取すると、「脚の筋肉痛の自覚が少なくなる」という結果も報告されています。
私もカフェインを摂取してみたところ、通常よりも早い筋肉の回復を感じましたが、それも最初の1週間だけでした。しかも、最初の週だけでした。その後、ハードなランニングをした翌朝は、これまで通りふくらはぎは張っていました。
◇睡眠の質は低下|カフェイン摂取によるデメリット
就寝前のダークチョコレートが、実はレム睡眠の妨げになっていたことを確認させるかのように、毎朝200mgのカフェインを摂取することは私の睡眠パターンを台無しにしました。
最初の1週間は、カフェインタブレットに体内が慣れるまで、寝返りを打つことが多くなりました。2週目、3週目、4週目、5週目と、カフェイン中毒のように慣れてきてからは、徐々に熟睡できるようになりましたが…。なんとも皮肉な感じです。
◇まとめ「個人の体験談を通して、残念ながらおすすめできない」
30日間の挑戦を振り返って私の感覚では、フィットネスのパフォーマンス向上のため、カフェインを毎日摂取することは価値がないように思えました。
カフェインがもたらす効果と言われている持久力や回復力は、私の身体がカフェインに慣れてくるまでの最初の数日間だけだったことが実感できたのです。しかも、その効果は睡眠の妨げにもなったのです。
その後、身体はカフェインを当たり前のように受け入れ、ランニングも以前のパターンへと戻り、熟睡できるようにはなりました。ですが、30日間で変わらなかったのは、トイレが近くなるという問題です。
でも、もしあなたが消化器系の問題に直面しているのであれば、胃の運動を高める効果がいくつかの研究で報告されているカフェインを摂取することは、手っ取り早い解決策になるのかもしれませんね。
■カフェインには、メリットもデメリットもある|純粋にランニングを楽しんで
私のように単なるランナーや他のスポーツをしているのであれば、カフェインはオリンピックメダリストに近づける市販のサプリメントではない、というのが今回の私の実感です。
とは言え、トイレに行きたい1時間前に摂取すれば、その効果はあるのかもしれませんが…。
というわけで私は、カフェインの摂取源をダークチョコレートだけに戻しました。残っていたカフェインタブレットの瓶は、薬箱にしまいました。ハードなランニングは辛いもので、「翌朝には筋肉が影響を受けるものだ」という普通のことを、私は受け入れたわけです。
今は、快適な眠りを楽しんでいます。ドラッグストアの買い物リストからトイレの芳香剤がなくなったので、お金も節約できていることも実感しています。
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Source / Men's Health US
Translation / Kazuhiro Uchida
※この翻訳は抄訳です。