アメリカ文化をつなぐもの

時計に求めるものは人それぞれ。ですが、「時計には語り処(どころ)を求める」という人も多いのでは。その歴史や着用した歴代の偉人、最先端の素材使いなど、他とは一線を画す語り処を持つブランドは数多くありますが、アメリカの歴史やカルチャーとの結びつきが強いブランドとして知られるのが「ハミルトン」。時計界では異色とも言うべき、アメリカ生まれスイス育ちの時計ブランドです。

その歴史をひも解けば1890年代、ハミルトンは大陸横断鉄道全盛の時代に鉄道員向けにつくられた時計で産業の発展に貢献し、第二次世界大戦やベトナム戦争ではミリタリーウォッチをアメリカ軍に納入。順調にビジネスを拡大させていきます。

アメリカと言えば、ハリウッドに代表されるショービズの分野でも世界随一の規模を誇りますが、ハミルトンは特に映画の分野で脚光を浴びます。1932年の映画『上海特急』劇中へのハミルトンウォッチの登場を皮切りに、エルヴィス・プレスリーが映画で着用した「ベンチュラ」は大ヒットを記録。それ以降も、『2001年宇宙の旅』『メン・イン・ブラック』『インターステラー』など500以上もの映画に登場し、ハリウッド映画とも深いつながりを持ち続けています。

そしてもう一つ。ジャズもまたアメリカが誇る偉大なカルチャーですが、ハミルトンには「ジャズマスター」というアメリカンクラシックな人気コレクションがあります。インスピレーションの源はもちろんジャズ。今回紹介するモデルはこのコレクションに今年新たに加わった「ジャズマスター パフォマー」、ジャズが内包する洗練さと自由な精神を体現するコレクションです。

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SVEN DE ALMEIDA 2022
4モデル登場した、クロノグラフ「ジャズマスター パフォーマー オートクロノ42mm」。
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SVEN DE ALMEIDA 2022
こちらも4つのモデルが登場した、3針の「ジャズマスター パフォーマー オート 34mm」。

静かに脈動するJazzyなブルー

「ジャズマスター パフォマー」は3サイズからなり、42mm径のクロノグラフ「ジャズマスター パフォーマー オートクロノ 42mm」が4モデル、3針の「ジャズマスター パフォーマー オート」が38mm径から3モデル、34mm径から4モデルという構成です。その中で特に目をひかれたのが、「ジャズマスター パフォーマー オート 38mm」のブルーダイヤル・ブルーレザーストラップのモデル。

一見ごくシンプルな3針時計ですが、綺麗なドレス感へと振れるのではなく、ほどよいスポーティさを備えた仕上がりに目を奪われます。言うならば、キレがあってシャープ、そして都会的かつモダンなデザイン。これは、多面カットが施されたバーインデックスや塊感豊かなSSケース、そして、スマートな印象のベゼルによるもの。精緻に刻まれたインデックスは知的な香りが漂い、視認性も良好です。

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Hamilton
「ジャズマスター パフォーマー オート 38mm」。レーシングスタイルのレザーストラップでほどよくスポーティな雰囲気に。
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Hamilton
知的な雰囲気と奥ゆかしさのあるネイビー気味のブルーダイヤルは、落ち着いた大人の魅力をさりげなくアピール。

実際に手首に乗せてみると、38mmというサイズ感は圧迫感やこれみよがしな嫌らしさもナシ。小径化という今のトレンドに合致したサイズ感だけに、さり気なく時計を装う着けこなしを楽しみたくなりました。また、ストラップにはパンチング加工を施したレザーストラップが採用され、レーシーでスポーティな印象を際立てています。そのつけ心地は軽快そのもの。手元の動きに自然とフィットするので、アクティブに動き回る日にもマッチします。ムーブメントはH-10。80時間というロングパワーリザーブを誇り、ETA社がハミルトンのために改良した専用ムーブメントです。

ジャズとブルーの関係性もまた頭をよぎります。ブルーとは感情を表す色でもあるからか、音楽とブルーの結びつきは強く、もちろんジャズも例外ではありません。名門ジャズレーベルの「ブルーノート」をはじめ、マイルスデイヴィスのレコード『kind of blue』、ジョン・コルトレーンの『blue train』、ソニー・クラークの楽曲「blue minor」など…、ブルーを冠したジャズの名盤が数多く生み出されてきました。それを踏まえたうえでこのブルーのダイヤルとストラップを見れば、クールかつ洗練、活き活きとした都会的なジャズの旋律を思い起こさせます。

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Hamilton
左がSSケース・ブルーダイヤルのH36215640。中央がローズゴールドPVD加工SSケース・ホワイトダイヤルのH36225770。右がSSケース・ブラックダイヤルのH36215640。

このクオリティで、価格は10万円台中盤から。「完成度の高さと不釣り合い」とも言える価格は、アメリカの合理性とスイスの高度な時計製造技術を併せ持つハミルトンだからこそなせる業かと。ちなみに「ジャズマスター パフォーマー オート 38mm」には、他にもブラックダイヤルとホワイトダイヤルタイプもあり、どちらも都会的で洗練された雰囲気を漂わせています。実際にブティックに足を運び、2本に秘められたジャズ的な要素を感じ取る対話を楽しんでみるのもよいでしょう。

空前の(そして、異常とも思えるほどの)時計ブーム。価格は青天井の様相ですが、時計は価格が全てではないことはご存知のとおり。つくりの良い時計を、理にかなった価格で楽しむ。今こそ、そんな楽しみ方も大切にしたい。ハミルトンの新作は、そう思わせる1本であることは間違いないでしょう。

ハミルトン|ジャズマスター パフォーマー オート 38mm

 
Fotostudio2
  • Ref.:H36215640
  • ムーブメント:自動巻き、Cal. H-10
  • ケース:SSケース
  • ケース径:38mm
  • ケース厚:11.47mm
  • 風防:サファイアクリスタル
  • ストラップ:ブルーのパンチング加工レザーストラップ
  • パワーリザーブ:約80時間
  • 防水性:10気圧(100m)防水
  • 価格:14万9600 円

●お問い合わせ
ハミルトン/スウォッチ グループ ジャパン
TEL/03-6254-7371
公式サイト