スポーツ界に衝撃を起こしているのは、W杯ロシア大会だけではありません。「エスクァイアUK」なら…W杯ロシア大会で、イングランド代表がベスト8入りした喜び以上に衝撃的なことが、英国・ウィンブルドンで起こった…と書くでしょう(笑)。
Getty Images
ロジャー・フェデラーは、今後「ユニクロ・ガイ」となります。歴史上、もっとも素晴らしいテニスプレイヤーの1人であるフェデラーは、これまで多数のブランドとスポンサー契約を結んできました。なかでもウエアについて…ナイキとは過去20年以上にわたって契約が継続してきました。
直近の「ナイキ」とで交わした契約は2008年とのこと。その内容は年間10億円の10年契約で、2018年3月に満了していたのでした。このタイミングを狙って「ユニクロ」は、フェデラーとの契約交渉を着々と進めていたのでしょう。
そしてこのたび、「ユニクロ」のグローバル・ブランド・アンバサダーに就任したのでした。つまり、これからは主要大会でフェデラーは、「ユニクロ」のウエアを着用することになるわけです。そして、その最初の舞台となるのが、現在開催中となっているウィンブルドン選手権です。
「フェデラー選手は史上もっとも偉大なチャンピオンの1人であり、スポーツという枠を越えた尊敬の念を抱いてきました」と、「ユニクロ」創業者の柳井正会長は語りました。そしてさらに、「われわれのパートナーシップはイノベーションに関するもので、テニスコート上にはとどまりません」と付け加えています。
今回のパートナーシップ契約の詳細については、すでに様々な憶測が出ています。
特に人々が気になっているのは、「ユニクロ」がフェデラーにナイキからの乗り換えを促すため、「どれだけの大金が動いたのだろう?」ということになりますね。間違いないのは、それが膨大な額だということです…。
直近のロジャー・フェデラー集 01
Courtesy of Youtube@ATPWorldTour,(C)Giphy
まずは直近の大会、ドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州ハレにて毎年6月中旬に開催されている男子プロテニスツアーのATPツアートーナメント「ゲリー・ウェバー・オープン」(2015年からはATPワールドツアー・500シリーズに昇格)で、決勝まで進出したフェデラーの雄姿をご覧ください。
直近のロジャー・フェデラー集 02
Getty Images
この大会でフェデラーは、2003年から2017年にかけて合計9回の優勝を重ねています。
そして迎えた2018年6月24日の決勝、2連覇そして10回目の優勝をかけた戦いになります。しかしながらクロアチアのボルナ・チョリッチ(現在のATPランキング20位)に対し、6-7、6-3、2-6とフルセットの末に敗れたフェデラー。残念ながら、準優勝に終わったのでした。
写真の真ん中にいる美女は、GERRY WEBER(ゲリーウェバー)ブランドの大使であるモデルのエバ・ハーツィゴバ。ちなみに「GERRY WEBER」とは、5つのファッションブランドを擁するドイツ最大のファッション企業のひとつ。
そして、このときのフェデラーは、依然として「ナイキ」のウエアでした…。しかし…今季の「ナイキ」はブルー推しなのでしょうか?
直近のロジャー・フェデラー集 03
Getty Images
ウィンブルドン入りしたフェデラーは2018年6月28日、大会スタート前のトレーニングを実施。このときもまだ、「ユニクロ」の「ユ」の字も見せていませんでした。
上の写真では自身のブランド、「RF」のTシャツに「ナイキ」のショーツという出で立ちです。
直近のロジャー・フェデラー集 04
Getty Images
2018年6月29日のトレーニングでも、自身のブランド「RF」のTシャツに「ナイキ」のショーツスタイルで、打ち合いに励んでいました。
直近のロジャー・フェデラー集 05
Getty Images
2018年7月1日、月が変われば…と思って確認すれど…。
この日は、男子テニスのエキシビジョンマッチとして有名な「LAVER CUP」のTシャツに、「ナイキ」のショーツ。「LAVER CUP」は毎年9月に行われるので、このTシャツは何年のものなのでしょうね。
直近のロジャー・フェデラー集 06
Courtesy of Youtube@Wimbledon
2018年7月2日、フェデラーはウィンブルドン選手権2018の初戦を迎えます。そこで登場するフェデラーのウエアは…と、ここで初めて「ユニクロ」のウエアのお披露目となったのでした。
ただ現在のところ、靴に関しては「ナイキ」です。
まずは、「ユニクロ」のテニスジャンパーでの入場の動画をご覧ください。
直近のロジャー・フェデラー集 07
Getty Images
それではプレー中のウエアを、スチル写真でご覧ください。
直近のロジャー・フェデラー集 08
Getty Images
ちょっと見にくかったかもしれないので、別のカットを用意しました。
ユニクロのウエア姿も、すでにお似合い!
このようにフェデラーが全身、白の「ユニクロ」のウエアをまとってウィンブルドンのコートに現れたのは、彼と「ユニクロ」によるサプライズだったのでした。
何より、このウエアは爽やかな印象を与えてくれます。これは、ウィンブルドンが全身白を義務づけていることだけが理由ではないようです。
このウエアをデザインしたのは、パリにあるユニクロのR&Dセンター。この拠点をアーティスティックディレクターとして率いているのが、デザイナーのクリストフ・ルメールです。ルメールは自らの名前を冠したブランドに加えて「ユニクロユー」ブランドも率いています。このウエアはまさに、ルメールらしさが醸し出されたウエアではないでしょか。
直近のロジャー・フェデラー集 09
Getty Images
「ユニクロ」は今回のパートナーシップ契約の発表のなかで、シンプルながら非常に重要な点について触れていました。
このブランドが自らの言葉で語ったのは、「ユニクロはスポーツ企業ではない」ということ。
フェデラーが世界最大のスポーツ用品ブランドである「ナイキ」から転向したことを考えると、今回の新たなパートナーシップはフェデラーにとって、単なるスタイルの好みの変化ではないと推測できませんでしょうか。
これは自らのキャリアや、イメージへのアプローチの転換を意味するものだと思うのでした…。
直近のロジャー・フェデラー集 10
Getty Images
さらにクローズアップして、襟型にご注目ください。
このウエアがポロカラーではなく、スタンドカラーを採用しているところも注目すべきです。そして、「ユニクロ」のレッドを繊細ながら戦略的に配することで、フェデラーのクリーンで洗練されたプレースタイルを引き立てるのです。
このマッチングによってフェデラー×「ユニクロ」は、初登場にも関わらず全く違和感なく…すでに似合って見えるのですね。
直近のロジャー・フェデラー集 11
Getty Images
2018年8月8日で37歳となるフェデラーが、初めて「ナイキ」と契約したのは1998年になります。
フェデラーの新契約について、「フェデラーとユニクロの新契約は、3億ドルの10年契約という」と報じたのは、スポーツ専門ニュースサイトの「ESPN」。「ユニクロ」側は契約に関して、具体的な内容を明らかにしていません。
「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙によれば、テニス4大大会で20度の優勝を誇るフェデラーは2日の試合後、「今日はユニクロを着られて興奮している」と語ったとのこと。また、パートナーシップ契約が「長く待ち望んでいたもの」だとも付け加えています。
そしてようやく「ユニクロ」は、2018年7月2日にツイッターにてパートナーシップ契約について認めました。
「UNIQLO UK」のツイッターには、「ユニクロは新しいグローバル・ブランド・アンバサダーとして、ロジャー・フェデラーを迎えられることを光栄に思います!」と投稿しています。
直近のロジャー・フェデラー集 12
Getty Images
では、2018年7月2日に迎えたフェデラー(第1シードで参加、現在のATPランキング2位)のウィンブルドン選手権初戦の戦いぶりを、ハイライトでご確認ください。
セルビアのドゥサン・ラヨビッチ(現在のATPランキング58位)を相手に試合時間は1時間19分、6-1、6-3、6-4のストレートで勝利。2回戦へとコマをすすめました。ちなみに2回戦は2018年7月4日に、スロバキアのルカシュ・ラツコ(現在のATPランキング73位)と対戦します。
そして、同じく「ユニクロ」の契約選手である錦織 圭(現在のATPランキング28位)のコメントを記載しておきましょう。
同じく、ウィンブルドン選手権男子シングルス1回戦で、アメリカのクリスチャン・ハリソン(現在のATPランキング198位)に勝利し、2回戦へとコマを進めた錦織 圭。試合後、WOWOWのスタジオでインタビューに応えたときのことです。
フェデラーの新ウェアについて感想を聞くと、「嬉しいとかはないですけど、新鮮ですね。まあ、正直違和感はありますね…」とコメント。
さらに、より親近感が湧くかという質問に対しては、「これでダブルスを組んでもらえる利点があればいいんですけど…そういうのを契約に入れてほしかったなぁ…」と、冗談交じりに笑顔で応えていました。
そんな錦織は、2018年7月5日に2回戦を迎えます。対戦相手は、オーストラリアのバーナード・トミック(現在のATPランキング184位)です。
By Christine Flammia on July 3, 2018
Photos by Getty Images
ESQUIRE US 原文(English)
TRANSLATION BY Wataru Nakamura ※この翻訳は抄訳です。
編集者:山野井 俊