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日々のトレーニングに切磋琢磨しながらも、あるとき、壁にぶち当たることは誰にも経験したことがあるはずです。そのとき多くの人は、トレーニング自体およびそのフォーム、そしてその方法論の見直しから入ることでしょう。ですが、ここで盲点とも言えるのが、トレーニング時の呼吸法です。それが成果の足を引っ張っている可能性も否めないのです。
そこで本記事では、「肺活量を鍛える呼吸法」を3つご紹介しましょう。これらは、フリーダイバーたちが可能な限り効果的に肺を使うことを学ぶための絶好のドリルとなっています。
専門家が監修する呼吸法
もう一度言います。トレーニングでその成果の向上が停滞すると、多くの人はその種目そのものの見直し(胸を鍛えるチェストデイに行うのはベンチプレスだけでいいのか?など)など、それを行う際のフォームは乱れてないか? そこで使用する器具の選択は正しいのか? さらにはリカバリーは十分だったか? などを見直し作業にかなりの時間を費やしてしまっています。ですが、そのときの「呼吸法」に関しては見落としがちです。ウェイトトレーニングの初めてする際に、先輩トレーニーやトレーナーたちに言われたはずです。これは最も基本的であり、効果を最大化するための重要な要素のひとつです。このことを思い出しましょう。
そこでカナダのキャンベル・リバーを拠点に、ダイビングに関する最先端の科学的トレーニング情報を提供している『パフォーマンス・フリーダイビング・アカデミー』の専属コーチ、カーク・クラック氏に肺のパフォーマンスを最適化を狙うための効果的な呼吸トレーニング法を教えていただきました。
プロトレーナーで「メンズヘルス」のフィットネスディレクターであるエベニーザ・サミュエル(C.S.C.S.)が、実際にそのトレーニング法を実演しています。
肺活量を鍛えるメリット
「私たちの肺は、カゴの中に閉じ込められた風船のようなものです」と、クラック氏は説明します。「風船…つまり肺自体は、そのカゴや肋骨や筋肉よりも膨張する能力を備えていると言えるのです。では、特定のトレーニングやストレッチを継続的に行っていくことで、それをどのように高めていけばいいのでしょう」と続けます。
するとクラック氏は、「水中で息を止めることで、より多くの赤血球を循環系に送り込むことができる」と付け加えます。そしてさらに、 「フリーダイビングの世界に特化して言うなら、肺活量を最大15%前後まで増やすことが可能です」と言うのです。
「水中で息を止めることで、より多くの赤血球を循環系に送り込むことが可能になります」と、付け加えて説明するクラック氏。「つまり、これは天然のドーピングのようなものなのです」とのこと。
注意点:一人では行わない!!
ですがクラック氏は、「息を止めることには、確実に一定のリスクが生じることは忘れてはいけません」と強く注意喚起します。「私たち(ダイバー)は、さまざまな程度で酸素欠乏による低酸素症を経験しています。ときに時間や方向感覚を見失い、現状把握も困難になるような…いわゆる見当識障害に陥る可能性があることも知っています。なので、そのトレーニングは一人で行わないように。それを一人プールで行った場合には、致命的な事故へとつながる可能性も否めないのです」と言います。
「したがって、これらのトレーニングは訓練を受けた仲間と常に一緒に行ってくださいう。そのトレーニングの正しい手順、そこにはらむ危険性、そしてひとつひとつの正しいやり方を熟知することが非常に重要なこととなります」と続けます。
肺活量を鍛えるための3つの
呼吸法トレーニング
それではここで、肺活量を鍛えるためのトレーニングメニューとしてクラック氏がサミュエルに課した3つの呼吸法をご紹介しましょう。クラック氏が指導するセミナーでも、全員がパートナーと一緒にトレーニングを行なっていました。
正しいやり方・時間は?
4秒間かけて息を吸って止めて、次に10秒間使って息を吐いて止めて…を繰り返す
効果的な理由
息を吸っては吐くというサイクルは、ストレス解消にも役立ちます。「この呼吸法のトレーニングは集中力のコントロールやストレスに非常に効果的で、自分のペースを取り戻し、心を落ち着かせてリラックスさせることに役立つでしょう。これは、一連の呼吸や呼吸の間の心拍数を下げるためのトレーニングです」と、クラック氏は説明しています。
正しいやり方・時間は?
2秒間かけて息を吸って、4秒間かけて息を吐くことを繰り返す
効果的な理由
この呼吸法を肺に覚えさせるのです。
クラック氏によると、高強度のトレーニングを行うと肺の中に二酸化炭素が蓄積されるそうです。「だから呼吸が荒くなるのです。二酸化炭素を排出するように、もっと意図的に呼吸をすれば、それは準備運動となり、次のトレーニングに備えることができるでしょう」と、話しています。
正しいやり方・時間は?
水中で2分間息を止める
効果的な理由
肺を一杯に満たすトレーニング方法です。
「このトレーニングをプールで行う場合は、訓練を受けたパートナーと一緒に安全な方法で行ってください。もしくは自宅で行うなら、水のないところで行いましょう。そして、2分間を息止めることを目指してください」と、クラック氏はアドバイスしています。「横隔膜を意識して、肺の下から上へと向かって流れるイメージで行いましょう。実際には肩や首にも力を入れ、肺にできるだけ多く取り込んでください。肺こそが私たちの、メインとなる燃料タンクなのです」と、クラック氏は話しています。
特筆すべき留意点
このトレーニングは肉体的にタフであるばかりでなく、精神的にもキツイものです。なので簡単にいかなくても、焦る必要はありません。「息が止まることは、人間にとって根源的かつ最大の恐怖のひとつです。落下への恐怖も、(なにかに)食べらてしまう恐怖もありますが、その先には必ずや窒息もともなうでしょうから…」と、クラック氏は言います。
まとめ:動画で一連の流れを解説
クラック氏による、吸って吐いての繰り返し、すなわち呼吸法を最適化させるために役立つトレーニング方法を動画でご覧ください。
Source / Men’s Health US
Translation / Kazuhiro Uchida
※この翻訳は抄訳です。