この記事をざっくり説明すると…

  • GMのメアリー・バーラCEOは、「2035年までにガソリン車ならびに、ディーゼル車を段階的に廃止する」という大胆な計画を発表しました。
  • この計画は、「2040年までにカーボンニュートラルにする」という大きな企業戦略の一環です。
  • GM のこの計画は、カリフォルニア州などの州が実施している規制にも沿ったものとなります。

 GMの「2035年までにガソリン車ならびに、ディーゼル車を段階的に廃止する」という計画の発表を受けて、全米自動車労働組合(UAW:The International Union, United Automobile, Aerospace and Agricultural Implement Workers of America)は声明を発表しました。

 その声明の中で組合員は、「新しい技術に取り組むことを、決して避けてきたわけではない」と強調すると共に、バイデン政権をはじめ、電気自動車の開発をめぐる政策についてはすでに「緊密に協力している」と伝えています。「重要なのは、バイデン大統領が可燃性エンジンに取って代わる新たな雇用は、アメリカ国内で創出される組合賃金と福利厚生の雇用であるという私たちの立場に同意していることです。そして、GM、フォード、クライスラーのアメリカ3大自動車メーカーの組合員は、それらのニューモデルがアメリカ国内で生産されることを信じています」と、UAWは声明で語っています。

gm、2035年までにガソリン車の製造を終了。evへの本格シフトを鮮明に
Bill Pugliano//Getty Images
UAWとのカンファレンスでスピーチを行う、GMのメアリー・バーラCEO(2019年7月撮影)。

2035年までにガソリン車の製造を終了

 1月28日(現地時間)にGMのメアリー・バーラCEOは、「GMをカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロを目指し、CO2の排出量と吸収量がプラスマイナスゼロになるようなエネルギー利用のあり方やシステムの社会実装を指す概念のこと)な企業にする」、という提案を発表しました。これは2035年までに、「ガソリンとディーゼルを使用するクルマを段階的に廃止する」ということを意味しています。カリフォルニア州といった行政府が、「2035年までにガソリン車の販売を中止する」と発表するのはまだしも、自動車メーカーの口から同じような内容の発表をすることは極めてまれなことと言えるでしょう。

2025年までに30車種のEVを製造予定

 GMは2020年11月には、電気自動車計画への取り組みを強化し、2025年までに30車種のEV(電気自動車)を新たに製造することを発表しています。そして今、バーラCEOは、GMからガソリン自動車を完全に排除するという、さらに大胆なクリーン化計画を発表したのです。この計画に対しては、消費者と業界から完全に理解を得るには、しばらく時間が掛かるかもしれません。

2035年までにガソリン車の生産を終了予定

 その計画では、「2035年までにガソリン駆動車の生産を停止し、排出ガスを排除するためにEVへと完全移行する」ということになっています。今から14年を掛けて進めていくこの取り組みですが、それ相応の時間を要するだけでなく、時が進むに連れてGM車は、ガソリン車からEVへと切り替わっていくこととなるわけです。もちろん、あの「コルベット」であっても例外ではありません。GMのEV化に聖域はありません。

2035年までにGMの全工場で再生可能エネルギーを使用

 また、製造されるクルマだけでなく、GMの自動車工場もまた、自然環境に配慮したグリーン化を進めています。バーラCEOは、2030年までに米国のGMの全工場で再生可能エネルギーを使用すること、さらに2035年までには、米国以外の世界の工場でもクリーンエネルギーへの切り替えを完了させることを発表しました。GMは二酸化炭素の排出量を削減し、より持続可能な素材を調達する計画を進めていますが、サプライヤーもこの計画に参加することになります。この野心的な目標を達成するために、ベストプラクティスを学び、他企業と共有することを目的としたサステナビリティ協議会を設立する予定です。

GMは2040年までに、カーボンニュートラルな企業となることを目指す

 今回の発表は、オンラインで開催された2021年のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)の技術会議におけるバーラCEOの発言をより発展させたもので、GMを2040年までにカーボンニュートラルな企業へと移行させることを目指しています。バーラCEOは、「今後20年以内に、生産する全ての車両を含む全製品と、グローバルな事業活動の全てから排出ガスを除去する」ことを意味すると述べています。その実現のためにGMは、事業から排出される温室効果ガスを除去する技術と、カーボンクレジット(温室効果ガスの排出削減量を取引可能なカタチとして売買される)やカーボンオフセット(発生した二酸化炭素の量を何らかの方法で相殺し、CO2排出量を実質ゼロに近づけようとすること)を組み合わせて使用する予定です。

パリ協定の目標達成に向けて

 またGMは、「Business Ambition for 1.5 Celsius commitment」(温暖化による世界の気温上昇を産業革命以前のレベルから1.5°C未満に抑え、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指し、企業に科学的根拠に基づいた温室効果ガスの削減目標を設定するよう呼びかけを共同書簡)に署名し、パリ協定の目標達成に向けて取り組んでいます。バーラCEOは次のように述べています。

「これらの行動により、GMは世界中の政府や企業と共に、より安全で、より環境に優しく、より良い世界の実現に向けて活動していきます。私たちは、GMのスケールメリットと影響力をもって他の企業にも同様の行動を促し、自動車業界と経済全体に大きな影響を与えることができると信じています」

 世界各国や全米のいくつかの州が、今後のガソリン車販売について法制化を始め、バイデン新政権も国を挙げてEV化への移行へと道筋を整えています。そんな中、GMも歩調を共にしていくことをここで示したことになります。今回発表された計画は、政府関係者に対して企業の影響力を示しているだけでなく、 身内であるGMグループ全体に向けて、取り組むべき目標を指し示したわけです。GMにとっての未来は、「電気」に他ならないのです。

Source / CAR AND DRIVER
Translate / Esquire JP
※この翻訳は抄訳です