[目次]

▼ オールシーズンタイヤとは?

▼ オールシーズンタイヤ購入前に知っておきたいポイント

▼ オールシーズンタイヤの人気メーカー

▼ オールシーズンタイヤのおすすめ10選

▼ 雪道対策へのポイント

▼ まとめ


秋の終わりと共に、愛車のタイヤを冬用のスタッドレスタイヤに履き替えている人も多いことでしょう。ところがここ数年、「オールシーズンタイヤ」の登場により状況が変わりつつあります。

普段は普通のノーマルタイヤのように使えて、路面が凍結さえしていなければ雪道も走れるオールシーズンタイヤは、年に数回しか雪が降らない地域にぴったりのタイヤです。このページでは、オールシーズンタイヤの特徴やデメリット、価格や寿命などを解説。さらにダンロップやヨコハマ、グッドイヤーやミシュランなど大手メーカーの信頼できる製品を紹介いたします。

オールシーズンタイヤとは?

 
South_agency//Getty Images

オールシーズンタイヤとは、春・夏・秋はもちろん、冬の雪道も走れるタイヤです。イメージとしては、サマータイヤ(ノーマルタイヤ)とウィンタータイヤ(スタッドレス)の中間のような位置づけと言えるでしょう。

オールシーズンタイヤのメリット・デメリット

オールシーズンタイヤのメリットは、夏タイヤではまったく走れない雪道を走れることです。予定外に雪が降ってきても慌てる必要がなくなるため、通勤・通学中などの急な降雪に対処しやすくなります。

デメリットは主に2つあります。1つめは、夏タイヤに比べて乾いた路面での走行安定性が劣るとされていることです。また、走行音がうるさく感じる人もいるかもしれません。

2つめのデメリットは、スタッドレスタイヤと違ってアイスバーンを走行できないことです。これは、夏タイヤ用に近い硬さのゴムを使っているためで、走れるのは圧雪路とシャーベット路面までとなります。

オールシーズンタイヤがおすすめの人・環境は?

オールシーズンタイヤは、普段、めったに雪が降らない環境で車に乗っていて、冬に積雪地に出かける予定もない人におすすめです。

車を通勤・通学に使っている人の場合、めったに雪が降らないとわかっていても、冬になるたびにスタッドレスタイヤに履き替えていることがあるでしょう。

そういう人がオールシーズンタイヤにすると、タイヤ交換が不要になり維持費を抑えることができます。また、履かないタイヤの保管場所も不要になります。

オールシーズンタイヤの購入をやめたほうがいい人、やめたほうがいい環境は?

冬に雪が降ったり、路面が凍結する環境で車に乗っている人、また、冬にスキー場や積雪地などに車で出かける予定のある人には、オールシーズンタイヤはあまりおすすめできません。

オールシーズンタイヤは、雪道も走れるタイヤであり、雪道での走行性能はスタッドレスタイヤには敵わないでしょう。また、凍結路(アイスバーン)は走れません。

正しく使えば便利なタイヤですが、毎年雪が降って積もる地域や、路面が凍結するほど気温が低い環境には向かないタイヤです。

オールシーズンタイヤ購入前に知っておきたいポイント

 
Adam Gault//Getty Images

スノーフレークマークのあるタイヤを選ぼう

スノーフレークマークとは、ASTM(米国試験材料協会)による試験で、一定の基準をクリアしたタイヤだけがつけることを許された性能表示マークです。

スノーフレークマークがついたタイヤは、寒さの厳しい寒冷地でも十分な性能を発揮できると証明されており、日本国内で積雪による「冬タイヤ規制」が行われている道でも走行を許されています。

オールシーズンタイヤを選ぶ際は、まずは「スノーフレークマーク」がついていることを確認しましょう。

静粛性は「低車外音タイヤラベリング」をチェック

オールシーズンタイヤは、夏タイヤより走行音が大きめなことが多いとされてきました。しかし、2023年1月からスタートした「低車外音タイヤラベリング制度」により、一定の車外騒音基準値を下回る静かなタイヤがわかるようになりました。

低車外音タイヤと認められた製品には、カタログなどに専用のマークが表示されています。静かなオールシーズンタイヤ選びの参考になるでしょう。

ウェットグリップ性能はメーカーの説明を参考に

夏タイヤの場合、各メーカーが「ウェットグリップ性能」についてラベリング表示をしています(業界自主基準)。しかし現状、オールシーズンタイヤでは行われていないようです。そのため、メーカーの説明を読んで判断する必要があります。

例えば、ヨコハマタイヤの「BluEarth-4S」は、同社の夏タイヤ「ECOS ES31」と同等のウェット性能があると説明されており、「ECOS ES31」のウェットグリップ性能は「C」となっています。こうした情報がウェットグリップ性能の判断に役立つでしょう。

車に合うタイヤサイズの見方

車のタイヤサイズは、車種やグレードによって異なります。違うサイズのタイヤは履けないか、履けたとしてもホイールハウス内部にぶつかったり、スピードメーターの表示に影響したりするため、純正と同じサイズのタイヤを履くことをおすすめします。

タイヤサイズの表記例

  • 205/60R16 96H
  • 205→タイヤの幅。mm単位で表示
  • 60→扁平率(%)。数字が小さいほど平たいタイヤになる
  • 16→リム径(インチ)。対応するホイールサイズがわかる
  • 96→ロードインデックス。タイヤの最大負荷能力のこと
  • H→速度記号。タイヤが対応できる最高速度を示す

タイヤには、上記のようなタイヤサイズの表記があります。これは、オールシーズンタイヤだけでなく、夏タイヤもスタッドレスタイヤも同じです。

まず、現在履いているタイヤを見て、この表記を確認しましょう。そして、「タイヤの幅」「扁平率」「リム径」を完全に合わせましょう。そして、ロードインデックスと速度記号については、現在装着しているタイヤの性能を下回らないように選ぶとよいでしょう。

ロードインデックスと速度記号が示す性能については、JAFのサイトなどで確認できます。

オールシーズンタイヤの寿命・交換時期

オールシーズンタイヤは走行距離を重ねて溝が浅くなると、雪道で十分なグリップ力を発揮できなくなります。

そのため、目安としては溝の深さが半分程度になったら、雪道での走行を避けるようにしてください。それでもサマータイヤとしては引き続き使えるので、秋まで使用し、冬になる直前に交換すると良いでしょう。

オールシーズンタイヤの人気メーカー

 
the_guitar_mann//Getty Images

オールシーズンタイヤの代表的なメーカーを紹介します。

グッドイヤー(GOODYEAR)

1977年に世界で初めてオールシーズンタイヤを販売したのが、世界3大タイヤメーカーのひとつであるアメリカのグッドイヤーです。日本でオールシーズンタイヤが知られていない頃から、積極的に展開してきました。日本向けタイヤは住友ゴムが生産を担当しています。

ダンロップ(住友ゴム)

ダンロップブランドはイギリス発祥ですが、日本向け製品は明治時代から住友ゴムが製造しています。日本でも馴染みが深く、自動車用タイヤのシェアはブリヂストンに次ぐ2位。欧州でFALKEN(ファルケン)ブランドで販売し好評を得ているオールシーズンタイヤを、日本ではダンロップブランドで販売しています。

ヨコハマタイヤ(横浜ゴム)

大正6年創業のタイヤメーカー横浜ゴム。乗り心地のよさと低燃費を両立した「BluEarth(ブルーアース)」やスポーツタイヤ「ADVAN(アドバン)」が人気で、国内シェアは第3位となっています。オールシーズンタイヤは2020年から国内に導入し、サマータイヤと変わらない乗り味と好評を得ています。

ミシュラン(MICHELIN)

世界3大タイヤメーカーのひとつ、フランスのミシュラン。世界中の高級車から指名される高性能タイヤを得意としています。フランスも国境付近に山の多い環境で、雪に強いタイヤの開発が欠かせません。日本では、2018年からオールシーズンタイヤを展開しています。

オールシーズンタイヤのおすすめ10選

日本国内で市販されているオールシーズンタイヤを紹介します(掲載サイズはあくまで一例となります)。


グッドイヤー(Goodyear) Vector 4Seasons Hybrid

Vector 4Seasons Hybrid
¥17,260
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世界で最初にオールシーズンタイヤをつくった先駆者のグッドイヤーが、主力商品として展開している国産タイヤです。近年のオールシーズンタイヤブームの火つけ役でもあります。

独自のV型パターン(溝)で雪をしっかりと掴み、雨天走行中の排水も助けてハイドロプレーニング現象を抑制するとのこと。低温でも硬くなりづらいゴムで、真冬での使用の不安も軽減してくれるでしょう。

  • サイズ展開:45サイズ(145/80R13~225/40R18)
  • 推奨車種:軽自動車・コンパクトカー・セダン

グッドイヤー(Goodyear) ベクターフォーシーズンズ Gen3

ベクターフォーシーズンズ Gen3

日本では、2016年より国内生産のベクターフォーシーズンズ ハイブリッドが販売されていましたが、その間も欧州では「Gen2」「Gen3」と進化を続け、2022年8月からは「Gen3」がプレミアムタイヤとして日本に導入されました。

新たなトレッドパターンにより、従来品よりパターンノイズを36%、ロードノイズを31%低減、快適性が向上しています。また、タイヤのゴムそのものも変更されており、より乾燥した道路やウェット路面での性能がアップ。これまで以上にオールラウンドなタイヤとなっています。

  • サイズ展開:21サイズ(185/65R15~255/40R19)
  • 推奨車種:乗用車全般

ミシュラン(Michelin) クロスクライメート プラス

クロスクライメート プラス

ミシュランのオールシーズンタイヤは、欧州で「ウィンタータイヤ」として販売されているもの。国境を越えて長い距離を走る欧州のドライバーに古くから親しまれてきました。

クロスクライメート「プラス」は、現在ミシュランが販売している中でもっともベーシックなオールシーズンタイヤです。一般のタイヤと同じくらい走行音が静かで、夏タイヤからの履き替えでも違和感がありません。ミシュランならではのロングライフ性能も魅力です。

  • サイズ展開:18サイズ(165/65R14~255/35R19)
  • 推奨車種:軽自動車・コンパクトカー

ミシュラン(Michelin) クロスクライメート 2

クロスクライメート 2

より性能が進化した、クロスクライメートの最新版です。より暖まりやすくなった新しいコンパウンドと、排水・排雪性能がアップした新しいトレッドパターンを採用し、今まで以上の性能を実現しています。

ハンドリングのよさと快適性を維持しながらも、雪上でのブレーキング性能を7%、ウェット路面でのブレーキング性能を6%向上させ、さまざまな状況下でより安全に走行できます。75種類ものサイズを展開しているので、幅広い車種に装着できます。

  • サイズ展開:75サイズ(175/65R15~275/45R20)
  • 推奨車種:乗用車全般

ピレリ(Pirelli) SCORPION VERDE ALL SEASON

SCORPION VERDE ALL SEASON

現在、ピレリが主力としているオールシーズンタイヤです。展開するサイズは56種類という幅広い展開で、小型SUVから海外製の大型ハイパフォーマンスSUVまで対応できるとのこと。

タイヤから出る騒音を抑えるノイズキャンセリング技術PNCSを搭載し、パンクしても走れるランフラットタイプも用意。高級車にも似合うオールマイティなタイヤと言えます。

  • サイズ展開:56サイズ(205/70R15~275/45R20)
  • 推奨車種:乗用車全般

コンチネンタル(Continental) エクストリームコンタクト

エクストリームコンタクト

コンチネンタルはドイツの会社ですが、このタイヤは北米をマーケットに開発されています。広大な国土を縦横断するため、突発的な雪にも対応できるようつくられています。

ポルシェなどの超高性能車にも対応するために、横方向の剛性を強化してカーブを曲がるときのグリップ力を向上させています。ハイパワーなクルマに乗っている人におすすめです。

  • サイズ展開:90サイズ(195/50R16~295/25R22)
  • 推奨車種:乗用車全般

ダンロップ(Dunlop) オールシーズンタイヤ AS1

オールシーズンタイヤ AS1

日本で販売されるダンロップは、日本の住友ゴムの製品。日本メーカーではブリヂストンに次ぐ世界シェアを誇り、国産タイヤに安心感を感じるユーザーから支持を受けています。

一般的なタイヤとは違う、中心から斜め後方に伸びる連続した溝が特徴的。雪をしっかり掴むと同時に、排水性も確保することを目指しています。小さなサイズもあるので、軽自動車でも使用できます。

  • サイズ展開:39サイズ(145/80R13~225/45R18)
  • 推奨車種:乗用車全般

ヨコハマ BluEarth-4S

BluEarth-4S

ヨコハマタイヤで人気のシリーズ、「BluEarth」のオールシーズンタイヤです。日本では2020年の発売でしたが、本場とも言える欧州では2018年から販売されていました。

1年中快適に使えるよう、タイヤから発生するノイズの低減に注力していて、静かなタイヤと評判です。高速道路も安定した走りを約束しているので、一般のタイヤと同様に使えるでしょう。

  • サイズ展開:19サイズ(175/65R14~225/55R19)
  • 推奨車種:商用車全般

トーヨータイヤ (TOYO TIRES) CELSIUS 215/60R16 99V 4本セット

CELSIUS 215/60R16 99V 4本セット

ミニバン専用タイヤなど、挑戦的なタイヤづくりで知られるトーヨータイヤは、2015年から欧米でオールシーズンタイヤの販売を開始。日本では、2019年に発売しました。

他社よりウィンタータイヤに近いパターン(溝の模様)が特徴で、中央部分でしっかり雪を掴みます。一方でサイド部分はサマータイヤ風のつくりで、カーブでもしっかり踏ん張ってくれるでしょう。

  • サイズ展開:19サイズ(165/70R14~225/55R18)
  • 推奨車種:商用車全般

クムホ オールシーズンタイヤ SOLUS 4S

オールシーズンタイヤ SOLUS 4S

韓国のタイヤメーカー、「クムホ」のオールシーズンタイヤです。クムホはモータースポーツに積極的にタイヤを提供したり、BMWの純正タイヤとして採用されたりするなど、日本のタイヤメーカーに肩を並べるレベルにあります。また、韓国は冬の気温が低く、そのぶん冬タイヤも得意と言えるでしょう。

SOLUS 4Sは、オールシーズンタイヤ人気の火つけ役であるグッドイヤーのベクターフォーシーズンズに似たパターンの溝を持ち、見た目からも排水性のよさがうかがえます。これにより、設置面積を確保しながら雨や雪にも強いタイヤに仕上がっています。

  • サイズ展開:15サイズ(165/65R14~215/55R17)
  • 推奨車種:軽自動車・コンパクトカー・セダン

雪道対策へのポイント

凍結路にはタイヤチェーンの携行がおすすめ

 
Stefan Cristian Cioata//Getty Images

オールシーズンタイヤは凍結路を走ることができず、降ったばかりの雪も苦手です。そんなとき、タイヤチェーンを携行しておけば弱点をカバーできます。

タイヤチェーンの選び方やおすすめ製品をコチラの記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

豪雪地や路面が凍結する地域はスタッドレスタイヤを

 
phaisarn2517//Getty Images

東北地方全体や日本海側の都市は、世界有数の豪雪地です。さらに北海道は寒さが厳しく、路面の凍結が頻繁です。これらの地域にお住まいの人は、オールシーズンタイヤでは安全とは言えません。そこはぜひ、スタッドレスタイヤを選んでください。

スタッドレスタイヤの選び方、おすすめの製品に関しては、コチラの記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

まとめ

豪雪地帯や寒冷地でなければ、一年中走れる可能性が高いオールシーズンタイヤ。しかしながら油断は禁物です。走行可能な条件をしっかりと認識して、正しく安全に使用してください。