私(スティーブ・レト)の働く法律事務所に寄せられる相談の多くが、中古車の購入に関するものです。そして、そのほとんどに「法的にはどうしようもない」と何度も説明を繰り返してきました。

 購入してしまったあとは、どうしようもないことが多い中古車購入に関するトラブル。これを避けるために、購入前にできることがいつかあります。中古車の購入を後悔しないための方法を、ここでいくつかご紹介しましょう。

※本記事は米クルマ専門誌「Road & Track」に掲載された、米国の中古車販売に長けた弁護士によるものです。


1.自動車の点検記録を見せてもらいましょう。

きちんと整備を行っている店舗であれば、「整備記録簿」が保管されているはずですので、購入を検討しているクルマにどんな症状があったのか確認し、購入前に問題がないか確認しましょう。
 

2.十分にテスト走行しましょう。

駐車場をグルッと一周するだけではなく、公道を走行させましょう。高速道路の走行速度まで問題なく出せるか確認し、車内のアクセサリーをすべてテストしてください。例えばエアコンが効かない場合は、値引き交渉もできるでしょう。また、購入前に知っておくことが重要となりますので。
 

3.実物を見てから買いましょう。

 なぜか多くの人が、インターネットで見つけたクルマを、実物も見ずに購入してしまうようのが最近の傾向のようです。隣の県で格安の中古車が売っているって? その目で見なければ、本当にそのクルマが存在しているかすらわかりませんよ。

 ネットで見た写真と違うクルマを買って、私のところに相談にくる消費者が実際にいますので…。
 

4.契約前に車検の有無を確認しましょう。

 クルマの点検をしたあとは、忘れずに車検の有無も確認しましょう。契約成立させ料金も支払った後に、車検が切れていると、新たに車検を受けたり、検査場まで運ぶ費用がかかったりと、余計な費用が発生してしまいます。

 そして、かつて私のところに、「誤って、『廃車』処分となっているクルマを購入してしまった…」という相談を持ち掛けられたことがありました。なので、文面までちゃんとチェックするようにしてください。
 

5.売買契約をしっかり読んで理解しましょう。

 ディーラーから購入する場合、新車であれ中古車であれ、売買契約に署名をするはずです。ほとんどの売買契約書には、購入者の権利を制限しディーラーの全権利を留保する法的条項が含まれています。契約書に含まれていない内容を営業担当が口約束した場合、法的強制力はないと考えたほうがいいでしょう。営業担当がクルマには保証が付いていると言っても、実際、売買契約に書かれていなければ、それは付いていないのです。契約書の裏面もよく読みましょう。とんでもない内容がこっそり書かれていることもありますので…。

 これはどんな契約書にも言えることですが、すべての内容を読んだ証として署名をするわけなので、裏面までしっかり読み、理解してから署名してください。
  

6.売り手が誰なのか確認しましょう。

 あなたがクルマを購入しようとしている相手は、本当に個人ですか? 多くのディーラーが、購入者が個人から買っていると思わせるような売り方をしています。しかし書類を見ると、販売者はディーラーになっているのです。このなりすましは販売者が購入者に事実を偽って取引する違法な取引になります。
  

7.納車後の修理を前提としているクルマは購入しないでください。

 驚くほど多くの購入者が、購入前にクルマに問題があるのに気づいたのに、そのまま購入しています。そして、その多くが「販売者が、買ったら直すというので買った」というのです。

 もし修理不可能だったら? 販売者が修理を拒否したらどうするのでしょうか? 不良のあるクルマを買わなければ、この問題は避けられます。「修理してくれたら買います」ときっぱり言いましょう。
 

8.“現状販売”の意味を理解しましょう。

 現状販売というのは、修理も保証もなしで、そのまま納車されるということです。もし運転後数分で、エンジンから煙が出てきたとしても…できることは何もありません。これは中古車購入でもっとも多いトラブルの原因となっています。

 返品期間やクーリングオフもないので、クルマの状態やどれくらい持つかなど、保証は一切ありません。また個人から購入する場合も、現状販売を意味していることがほとんどなのでご注意ください。
 

9.保証内容を確認しましょう。

 販売者がクルマに保証がついていると言った場合、その保証内容を理解しましょう。中古車の購入後保証には様々な種類があり、まったく役に立たないようなものもあります。

 販売者は契約書やパンフレットあるいは書類などで、誰が保証人で、問題があったときに、どう連絡したらいいかなどを説明できるはずです。保証プランを追加で購入したのに、よく見てみたら、誰も聞いたことのない会社が提供するという、「ほとんど中身のない保証だった」というケースもありました。
 

10.直感に頼るのはやめましょう。

 あなたが決断しようとしているのは、とても大きな買い物です。軽い気持ちで購入するのは危険です。ディーラーや販売者がいい人そう? 写真で見たクルマは大丈夫そう? 喉から手が出るほど欲しくてたまらない? といった場合も、一歩下がって深呼吸して、「今から買うのは歯ブラシではなく、何十万円もする高いクルマだ」ということを思い出しましょう。


 これらの注意事項を守ることで、中古車購入に関するトラブルにあう可能性は最小限に抑えられるでしょう。少なくとも、私の法律事務所にかかってくる電話は減るはずです。

From Road and Track
Translation / Yuka Ogasawara
※この翻訳は抄訳です。