キャデラック, XT6, クロスオーバー, SUV, クルマ, 自動車, 車
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キャデラックのクロスオーバーSUV「XT」シリーズの最上級モデルとして、アメリカで2019年7月に発売され、日本では2020年1月から販売がスタートする「XT6」。クラストップレベルの広さはアメ車らしいゆとりを感じさせ、後ろに行くほどシートの着座位置が高くなるシアターレイアウトを採用することで、乗員すべてに高い快適性と居住性を提供します。エンジンは3.6リットルV6で、9速ATとの組み合わせ。歩行者対応の自動ブレーキなど運転支援も最新タイプがそろいます。870万円〜。(キャデラック/GMジャパン・カスタマー・センター TEL 0120-711-276 公式サイト

 クルマに少しでも詳しい方であれば、近年評価を集めているクルマが欧州に集中していることに関してはご存じのことでしょう。もちろんその中にも、さまざまな特色を備えたブランド、モデルがありますが、往々にして欧州車は走りがよく、運転がしやすく、しかもスポーティーであり、ライフスタイルをスマートに支えてくれるとされています。

 当然ですがそんな背景があって、アメリカン・ラグジュアリーを背負ってきたキャデラックがそれを真似てみたり、準ずる必要などなく、独自の路線を行けばよいという考えもあります。一時的にそんな傾向も見え隠れしましたが、今ではその路線で切り崩せるほど欧州市場は甘くもなく、小さくもないと判断したのでしょう。

 現在のキャデラックが取っている戦略は、まず今まで磨いてきたアメリカン・ラグジュアリーテイストを存分に残しつつ、最新の技術を取り入れたアメリカン・フラッグシップモデルとして、「エスカレード」を継続的に仕上げ続けることにあると思われます。どこかアメリカの古き味のある世界を思い起こさせる心地よいV型サウンドや、直線基調の道を走る大陸間移動に適した、ゆったりとした乗り味を備えています。

 それに対してこの「XT6」は、キャデラックにおけるもう1台のフラッグシップモデル。北米を出て欧州車や日本車と闘って勝利を収めるべくつくられた、言うなればキャデラックのグローバル・フラッグシップモデルなのです。

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シンプルでスタイリッシュなデザインが取り入れられ、キャデラックらしい気品とモダンな雰囲気を両立。全長5060 × 全幅1960 × 全高1775mmとフルサイズ級ですが、視認性もよく、取りまわしやすいのも魅力です。

 ここで勘違いしてならないのは、だからといって、「欧州車になろう」とはしていないのです。輸送費をかけて欧州に運ぶのだから、そうなってしまっては欧州車に勝てるわけはありません。だからこそキャデラックが大事にしたのは、土台にアメリカンテイストを色濃く感じさせながら、冒頭で述べた欧州車が得意とするようなグローバルで評価される特色を追求したことになります。

 欧州SUVに乗り慣れている方が触れると、恐らく予想以上の走りのよさに驚くことでしょう。走行モードを変更すれば、ワインディングまで気持ちよく走れるスポーツ性があることにも気づくはず。それでいて欧州車にはない、直線をドシッと優雅にゆったりと走れる特性を発揮するのです…。

 また、アクセルを少し踏み込むと野太い排気音で存在感を示し、そこにいることを気づかせてくれる刺激的“すぎない”エンジン音など、アメ車特有の心地よい雰囲気に包まれるはず。言うならば、緊張感を抱かずに乗りこなせる高性能車。この世界こそ、欧州SUVにはない「XT6」の魅力なのです。

Q. 欧州のSUVに比べて、どんなところに優位性があるの?
A. 洗練の中にアメリカ車特有の“ゆとり”を備えた、心地よさが決め手です。

 これは「XT6」の兄弟車である、2列シート設計の「XT5」にも共通すること。個人的にはそんな心地よさこそ、最近のキャデラック・テイストの醍醐味と捉えています。ちなみにそれは、無駄にエッジラインを使わずモダンなテイストを取り入れながら、力強く存在感を示し、凜とした雰囲気までもたせるといった見た目にも表れています。

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セミアニリン仕上げの本革シートや本物のウッドを使ったパネルなど、贅沢な空間はキャデラックのこだわり。空調システムは、トライゾーンオートエアコンを採用して快適性を保ち、1、2列目にはヒーターも装備。

 何にせよ近年のキャデラック、特に「XT6」を、今までのアメ車の概念でとらえると見誤ることになるでしょう。

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2列目と3列目シートは電動で倒すことができ、通常状態では357リットル、最大で2228リットルの容量を確保。シートを倒すとフラットな荷室で、使いやすさにも配慮されています。

●お問い合わせ先
GMジャパン・カスタマー・センター
TEL 0120-711-276
公式サイト


【PROFILE】
五味康隆(自動車ジャーナリスト)

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Yoshimi Hatori

自転車トライアル世界選手権、4輪レースの全日本F3でも活躍した、ジャーナリスト。優れた運転技術と理論に基づく分かりやすい解説に定評あり。先進技術にも詳しい。YouTube「E‑CarLife」チャンネルにてクルマ情報を発信中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。