[目次]
キャンプや車中泊などのアウトドア人気に加え、災害時の備蓄用蓄電池へのニーズの高まりによって大容量なポータブル電源が注目を集めています。
屋外用電気ケトルでお湯を沸かしたり、1500wの電気製品も使用可能なものなど、種類も豊富。また、ソーラーパネルで充電できるポータブル電源なら、さらに使用の幅も広がりそうです。
このページでは、そんな大容量ポータブル電源の中でもおすすめのものをピックアップし、その選び方や賢い使い方をご紹介。さらにAmazonで買える人気ブランド「Jackery 」や「Anker」などもあるのでご注目ください。
ポータブル電源とは?
ポータブル電源とは、さまざまな電子機器に電力を供給できる容量の大きいポータブルバッテリーのこと。AC(コンセントなどの交流電源)やDC(シガーソケットなどの直流電源)出力に対応しています。USB給電ではない家電製品も使用可能なので、車中泊やキャンプなどアウトドアでの活躍が期待できます。また、いざという災害時にも有効なサポート役を果たしてくれるでしょう。
ポータブル電源とモバイルバッテリーの違い
スマホやタブレットの充電に使われる「モバイルバッテリー」は、ポータブル電源とよく似た製品です。違いは主に次の3つが挙げられます。
- 大容量ポータブル電源のほうが、バッテリーの容量が圧倒的に大きい
- 大容量ポータブル電源のほうが、定格出力が大きく使える電化製品が多い
- 大容量ポータブル電源は、コンセントをつなげるなど端子の種類が多い
ポータブル電源とは、サイズが大きくなる代わりにバッテリーがたっぷり搭載されていて出力も大きく、使える電化製品の幅がかなり広くなります。それに合わせて、家庭用の機器も使えるようコンセント端子も搭載されているわけです。
その一方でモバイルバッテリーのほうはと言うと…、主にUSB端子で電気の出力をします。そしてスマホやタブレット、最大でも比較的小型のノートPCの充電までに絞ることによって、小さくつくられているわけです。
ポータブル電源は買うべきか?
ポータブル電源を必要に感じているのは、キャンプなどアウトドアアクティビティが好きな人が多いかもしれません。電源の取れないキャンプの中などで、スマートフォンの充電はもちろん、夏であれば小型冷蔵庫、冬であれば電気毛布などを使えると大変便利です。
また、災害への備えとしてもポータブル電源は役立ちます。災害時は連絡手段として重要なスマートフォンの充電に困るケースが多いため、電源が取れる安心感は何ものにも代えがたいはずです。災害対策用として購入する際は、ソーラーパネルがあるとよりよいでしょう。
ポータブル電源の選び方
電源容量
まずはポータブル電源で使いたい機器を選別し、それに必要な電池容量を考えておきましょう。大容量のポータブル電源は高価な上に大きくて重く、「大は小を兼ねる」とは必ずしも言い切れないため、最初に必要なバッテリー容量を算出しておくことが一番大切なチェックポイント言えます。
ポータブル電源の電池容量は、「Wh(ワットアワー)」で表記されます。例えば、「消費電力50W(ワット)の製品を1時間使用すると50Wh使用する」という考え方が基本となります。以下の一覧を参考に、購入前に必要な電池容量を計算した上で購入することで、買い間違いや失敗を防ぎましょう。
【バッテリー容量の例】
- iPhone 12=約10.5Wh(2815mAh)
- Androidスマホ(OPPO A5)=約18.5Wh(5000mAh)
- MacBook Air=約49.9Wh
- Nintendo Switch=約16Wh(4310mAh)
【消費電力の例】
- ミニ冷蔵庫(50w)=10時間で約500Wh消費
- 電気鍋(600w)=30分で約300Wh消費
出力ポートの種類と数
大容量ポータブル電源には、大別して以下4つの出力端子があります。自分が使いたい電気製品に必要な出力端子を確認しましょう。
- AC端子=最も一般的なコンセント端子
- DC(8mm)端子=ミニ冷蔵庫などで使われることもある丸い端子
- シガーソケット=自動車のシガーソケットで使われる端子
- USB=スマホやタブレットでおなじみの端子。type-AやCがあります
AC端子があれば大半の電気製品は動きます。ですが、車中泊やアウトドア用製品の中には、DCやシガーソケットを必要とするものもあります。
またUSB端子に関しては、 Type-Aが付いている製品が多いですが、最近のスマホなどの充電器はUSB Type-C端子が増えています。どちらが必要かを確認しておくとよいでしょう。
定格出力
電化製品によって「最大出力」が異なります。例えば500wの電子レンジを動かすには500wを超える出力が必要となり、最大出力が300wのポータブル電源では動きません。
以下の一覧で使う製品の消費電力を確認し、カバーできる「最大出力」のある製品を選んでください。
【消費電力の一例】
- スマートフォン:3~12w
- ノートPC:35~65w
- 24型液晶TV:40~50w
- ミニ冷蔵庫:40~60w
- 電気毛布:40~60w
- 電気鍋:600w~1200w
本体の充電時間
大容量ポータブル電源は、本体に充電するのに時間がかかります。何時間で充電できるかは製品によって意外と違うので、必ずチェックしておきましょう。
充電そのものはACで行う製品がほとんどですが、シガーソケットや別売りのソーラーパネルから充電できる製品もあります。
車中泊やキャンプ、災害時を考えると、自動車のシガーソケットから充電できたり、ソーラーパネルで充電できる製品のほうが役立ちます。必要に応じて対応する端子の有無も、確認するとよいでしょう。
正弦波の製品であること
大容量ポータブル電源には、電力の「波形」が複数存在します。おすすめは家庭用電力と同じ「正弦波(せいげんは)」の製品です。ほとんどの電化製品に使えます。
本体が安価な製品では、「矩形波」や「修正正弦波」といったものがあります。が、使用できる製品が限られ、精密機器に使用すると故障の恐れもあります。特性を理解せずに使用するのは避けましょう。
補償・PSEマーク
大容量ポータブル電源は大量の電気を蓄えるため、信頼性が重要な製品です。事故を防ぐためにも、電気用品安全法に適合した「PSEマーク」のついた製品を選ぶことをおすすめします。保証期間の確認も必須です。短くても1年、できれば2年間の保証があるとよいでしょう。
ポータブル電源の人気メーカーを紹介
Jackery(ジャクリ)
Apple出身のバッテリーエンジニアが、2012年にシリコバレーで創業した「Jackery(ジャクリ)」。本社はカリフォルニア州サンノゼ。2015年、世界初となるリチウムバッテリーを使用したポータブル電源を開発した、業界のパイオニア的存在です。
Anker(アンカー)
Google出身のエンジニアを中心に、「高品質で手ごろなバッテリーを市場に提供すること」を目的に2011年に創業した「Anker(アンカー)」。モバイルバッテリーのパイオニアとして、満を持してポータブル電源市場に参入した実力派メーカーです。
PHILIPS(フィリップス)
ヘルスケア製品・医療関連機器を中心に、数多くの電気製品を製造・販売する多国籍企業のPHILIPS(フィリップス)。ポータブル電源は2019年に販売開始。同社の優れたデザインセンスは、ポータブル電源にも生かされています。
SmartTap(加島商事)
福岡県に本拠を構える加島商事が、2016年に立ち上げたブランドが「SmartTap」。スマホ周辺アイテムを販売するかたわら、ポータブル電源「PowerArQ」シリーズも展開。クールなデザインが人気で、大手家電量販店でも販売されています。
JVCケンウッド
横浜に本社を置く映像機器・音響機器メーカーの「JVCケンウッド」。ポータブル電源分野においては、Jackery社と提携。ジャクリ社の製品をベースに、「Tuned by JVC」として電池容量や端子の数・種類を独自仕様とした製品を販売しています。
ポータブル電源のおすすめ8選
ポータブル電源のパイオニア「Jackery(ジャクリ)」の製品のなかで、コンパクトサイズかつリーズナブルなポータブル電源がコチラ。ソーラーパネルが付属しているので、屋外で充電しながら使えます。
ひと通りの端子を備えており、定格出力は300W、瞬間最大出力は600wとなっています。取っ手は折りたたみ式で、コンパクトに収納可能です。自然放電しづらい設計なので、災害用として備えるのにもおすすめです。
- 容量:288Wh(9万mAh)
- 波形:正弦波
- 最大出力:瞬間最大出力600w
- 出力端子:ACx1、シガーソケットx1、USB type-A × 1、USB type-C × 2
- 充電:ACコンセント、ソーラーパネル
- 保証:3年
- 重さ:3.75kg
299Whの大容量ながら、比較的軽量な3.45kgに抑えたポータブル電源です。定格出力が300Wなので大型家電は使えませんが、扇風機や電気毛布の使用、スマホやノートPCの充電などに役立ちます。
出力用のポートが多く、最大で14の機器に同時充電が可能です。消費電力の大きな機器を使うというよりは、小さめの機器を大量に充電できるところに強みがあります。大人数のキャンプなどで、全員分のスマホを充電するなどの用途に向いているでしょう。
- 容量:299Wh(8万3200mAh)
- 波形:正弦波
- 最大出力:瞬間最大出力600w
- 出力端子:ACx4、DC(8mm)× 4、シガーソケットx1、USB type-A × 4、USB type-C × 1
- 充電:ACコンセント、USB type-C
- 保証:3年
- 重さ:3.45kg
長寿命なリン酸鉄リチウムイオン電池を使用したポータブルバッテリーです。一般的なリチウムイオン電池の約6倍の寿命があり、さらに各電子部品の設計を見直したことで、約10年間は安心して使用できるロングライフ設計を実現しています。
AC電源4つに加えて、USB4口と、十分な出力ポートを備えます。瞬間最大出力も750Wと余裕があるため、スマートフォンを複数台充電しながら、扇風機を使うことも可能です。本体への充電は、約2時間半で80%まで可能。最長5年の長期保証がついています(要ユーザー登録)。
- 容量:512Wh(16万mAh)
- 波形:正弦波
- 最大出力:瞬間最大出力750w
- 出力端子:ACx4、シガーソケットx1、USB type-A × 3、USB type-C × 1
- 充電:ACコンセント、USB type-C
- 保証:18カ月(ユーザー登録で42カ月プラス)
- 重さ:7.6kg
ポップなデザインと使いやすさで人気のモデル、「PowerArQ mini」の進化版です。電池容量がやや小さい307Whになりましたが、その変わり本体への充電速度は8時間から5時間へと大幅に短縮されています。
AC接続の最大出力が300wあるので、アウトドア用の小型炊飯器なども使えます。電気毛布なら6時間程度、扇風機なら10時間程度使えるので、夏場のキャンプも冬場のキャンプもこれ一つあれば重宝するはずです。
- 容量:307Wh(8万3333mAh)
- 波形:正弦波
- 最大出力:AC300w(ピークパワーは800wまで)、USB-A 15w、USB Type-C 15w、DC/シガーソケット120w
- 出力端子:ACx2、DC(8mm)× 1、シガーソケット× 1、USB type-A × 2、USB type-C × 1、ワイヤレス充電 × 1
- 充電:ACコンセント、ソーラーパネル(別売り)
- 保証:2年
- 重さ:4.7kg
Ankerのポータブル電源の新ライン「Solix」シリーズ。長寿命のバッテリーを搭載し、充電速度、出力ともにトップクラスの性能を誇るプレミアムなポータブル電源です。
本体への充電は、わずか58分で完了するため、キャンプなどに出かける直前に充電不足に気づいても短い時間で満充電できます。別売のソーラーパネルからは、最短2.8時間で100%充電が可能。さらに出力も最大1200Wに対応しているので、幅広い状況に対応できるでしょう。
- 容量:768Wh(24万mAh)
- 波形:正弦波
- 最大出力:最大1200W
- 出力端子:ACx5、シガーソケットx1、USB type-A × 2、USB type-C × 2
- 充電:ACコンセント、ソーラーパネル(別売り)
- 保証:最長5年
- 重さ:10.5kg
JVCケンウッドのポータブル電源は、Jackery社のものをベースとしています。こちらはJackery製品にはない626Whタイプ。ACが2口になり、出力も最大500w、瞬間最大であれば1000wとなり上級モデルに準じた仕様です。
従来型の518Wh型と比べて100gしか重くなっておらず、容量の割に軽量になりました。「ひとまずこれを選ぼうか」という購入の方法で手に入れた人の中でも、多くが満足の声を発するであろう仕様になっています。
- 容量:626Wh(17万4000mAh)
- 波形:正弦波
- 最大出力:AC500w(瞬間最大1000w)、USB36w、DC120w
- 出力端子:AC × 2、DC(8mm)× 2、シガーソケット× 1、USB type-A × 3
- 充電端子:ACコンセント、シガーソケット、ソーラーパネル(別売り)
- 保証:24カ月
- 重さ:6.5kg
超大容量のポータブル電源です。バッテリー容量は2160Wh、定格出力は2200Wもあるため、たとえばキャンプであれば小型冷蔵庫と扇風機を使いながら、カメラやスマホの充電をしても余裕があります。
それだけでなく、充電した状態で保管しておけば、停電時に家庭用冷蔵庫を動かしたり、ドライヤーを使ったりすることも可能。さらに、別売りのソーラーパネルは6枚まで接続でき、6枚接続すると最短2.5時間でフル充電できます。値は張りますが、ひとつ持っていれば心強い製品といえるでしょう。
- 容量:2160Wh(60万mAh)
- 波形:正弦波
- 最大出力:瞬間最大出力4400w
- 出力端子:ACx3、シガーソケットx2、USB type-A × 2、USB type-C × 2
- 充電:ACコンセント、シガーソケット、ソーラーパネル(別売り)
- 保証:24カ月(ユーザー登録で36カ月プラス)
- 重さ:19.5kg
Jackery社製ポータブル電源で、最大容量のモデルです。出力はAC3口、シガーソケット1口、DCはなく、USBがtype-Aとtype-Cが2口ずつという最新の端子事情に対応した仕様です。ドライヤーや炊飯器も動かせるので、ポータブル電源を使い倒したい人におすすめです。
- 容量:1000Wh(27万8400mAh)
- 波形:正弦波
- 最大出力:AC1000w(瞬間最大2000w)
- 出力端子:AC × 3、シガーソケット × 1、USB type-A × 2、USB type-C × 2
- 充電端子:ACコンセント、シガーソケット、ソーラーパネル(別売り)
- 保証:24カ月
- 重さ:10.6kg
ポータブル電源の賢い使い方
定期的な残量チェックを
電池は一般的に自然放電しています。そのため、災害用として長期間使わずに放置しておくと、いざ使うときに電池が減ってしまっていることも…。高品質バッテリーを使った製品でも1年で15%ほど自然放電するため、3~6カ月おきにポータブル電源の残量チェックをしておくと、いざというときに安心です。
DC(直流電源)で使えばバッテリーが長持ちする
ポータブル電源に内蔵されたバッテリーは、電力を「直流」で蓄電されます。ところがコンセントはAC(交流電源)のため、内部で変換する必要が生じるわけです。そこで変換時にロスが生じ、10%~25%程度の電力の損失が起こります。
直流のままロスなく電気を使用できるのが、直流電源の「DC」(シガーソケット含む)です。DCで電源を取れる製品であれば、電池を温存できるというわけです。
まとめ
ポータブル電源は、購入前にチェックする要素が多いのは事実です。ですが、本記事でご紹介した6つの選び方に沿ってチェックしていくことで、自分にぴったりなポータブル電源を入手するための近道となるはずです。