多くの人は、質の高い生活をおくりたいと願っています。美味しい料理、美しい家、そしてスタイリッシュな服…。現代の人々は、自らが住む惑星の環境を悪化させるとわかっていながらも、新しいモノ、質の高い生活への思いを捨てきれずに無駄の多い生活をしている…そんな人がたくさんいる住んでいるのが地球なのです。

 どのようにしたら、我々の欲をかなえながらも、この悪状況から脱却することができるのしょうか…その変化に対して早急に手を打つべく、行動に出た男性がいました。それがウクライナ代表経験を持つ元サッカー選手であるイェウヘン・レフチェンコ氏です。彼はウクライナからオランダに移住し、オランダの企業Suittruckと共同で100%リサイクルデニムでつくられたスーツをデザインしたのです。


オーダーメイドのコラボレーションスーツを仕立てるにあたり、何か特別なメッセージはあったのでしょうか?

「現代は大量生産でものがあふれています。私は、完全にサステナブル(持続可能)で、自然にできるだけ害の与えることのないスーツづくりの手助けを行う会社とともに働きたい…と長い間考えていました。私はまず、衣類や布のリサイクルに関して世界でもトップレベルの企業であるKhaloomに話をもちかけました。彼らはブランド(企業)から残布や布を切断した際に余った廃棄物をリサイクルしているのです。その後、Khaloomでリサイクルされた生地を、オランダの仕立屋Suittruckへ持ち込み、スーツをデザインしました。私は自分の好きなスタイルを明確に把握しているほうなので、デザインやボタンなどすぐに選ぶことができました。そして1カ月後、素敵なスーツを受け取ったのです」

levchenko
Nanda Hagenaars

スーツをつくるとき、何に重きをおきますか?

「2つのことが私にとって重要でした。1つは素晴らしいスーツであること。2つ目は、フィット感も非常に重要でした。どんなに良いスーツでも、体にフィットしていなければ、キマらないからです」


このスーツの生地について、知っておくべきこととは?

「これは古いデニムからつくられています。ですが、とても軽いんです。もともと捨てるか燃えるゴミとして処分される予定だった衣類や衣類をつくるときに裁断であまった残布が、100%リサイクル繊維に変換されます。リサイクルされた糸は手で織られるので、とても柔らかな触り心地になるんです。もはやデニムの概念が変わるほどソフトで、美しい布地に生まれ変わります。この工程にエネルギーやCO2、水はほとんど要しません。このことは、この取り組みにおいて非常に重要なポイントになります」

高価なスーツは完璧なスーツとは言えません。完璧なスーツとは、あなたの体にフィットするものを言います。

スーツづくりの過程で最も重要なことは何ですか?

「これまで我々は、50着のスーツをつくってきましたが、そのうち10着が手元に残っています(2019年5月時点)スーツを購入すれば、循環経済=資源循環を通じた経済の在り方に貢献したことになります。これはこのビジネスを始めるにおいて根本となるもので、我々消費者にとって非常に重要なポイントだと思います。大きな衣類チェーンブランドほど、考慮すべき点ではないでしょうか。彼らにこの状況をもう一度よく考えてみてもらいたいのです。そして、いまよりもっとサステナブルな社会になっていってほしい。新しいモノを継続的に生産する必要はないと、私は考えています」

Levchenko イェウヘン・レフチェンコ リサイクル スーツ サステイナブル
Nanda Hagenaars

100%リサイクル布のみでの購入は可能ですか?

「もちろんできます。私は、人々がリサイクルされたスーツ(衣類)しか着ない未来を望んでいます。そうすれば後ろめたい気持ちなどもなく、より良い世界に貢献しているということを認識できるようになるからです。でもいまは、スーツを買いに行っても、その背景にある物語に彼らは関心もよせないですよね⁉ これはお金の問題ではありません。排出されるCO2や水などの資源の問題です。そして大きな企業やブランドが、この問題に取り組めばきっと状況は大きく変わり、サステイナビリティを高めることができるはずなのです。私は子どもたちに対して、悪い環境のままで世界を受け渡したくないのです」


スーツを買うときに、注意を払うべきことは?

「最も重要なのは、フィット感です。人はときどき、自分のサイズを過大・過少評価しがちです。『いつも同じサイズだから』と、他のサイズを試さずに買い物をするのは無駄です。服によりサイズ感は変わります。そして、それがスーツならばなおさらです。広いウエストのものがあれば、肩が狭いつくりのものもあります。値段は関係ありません。高価なスーツを買ったからといって、それだけで完璧なわけではないのです。そう、完璧なスーツとはあなたの体にぴったりとフィットするものを言うのです。ならば、見栄えもずっとよくしてくれる…そして心にもフィットするというわけです」

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Nanda Hagenaars

持続可能な生活をするために、何に注意を向けるべきだと考えますか?

「1着のスーツで、世界が大きく変えられるとは思っていません。ですが、少しでもライフスタイルを変えるだけで、より良い世界へと変わるはずだと信じています。肉は食べ過ぎないとか、水を不用意に流さないとか、質を下げなくともサステナブルな生活は可能なはずです。そしてプラスチックですが…このままいけば、私たちはプラスチックの中に住むことになってしまうということは、ここ数年の間かなり多くの人々が認識してきた事実なのです。幸い認知度が高くなったことで、改善へと向かいつつあるとも聞いていますが、これからより一層この取り組みが強化されていってほしいと思います」

「私たちの人生はただ消費するだけでなく、何かを繰り返すこともできるのです。その中で、もちろん必要な段階もあります。その過程を私たちは、子どもたちにも伝えていく必要があるのです。私たちの3人の息子は、すでにゴミの分別方法を知っています。また彼らは、紙・プラスチック・残留ゴミの違いも理解しています。私はそんな子どもたちを誇りに思っています」

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Translation / Esquire Digital
※この翻訳は抄訳です。