「私は15歳のとき、セックスをするように脅迫(blackmail)されました。18歳のときにはバンの荷台で意識を失っている間、男性から性的いたずらを受けていました」。

オスカー俳優マシュー・マコノヒーは少年期に受けた性的虐待について、2020年に上梓した回顧録『Greenlights』にもこう綴(つづ)っていましたが、今回ポッドキャストでティーンエイジャーのときに脅迫されて最初の性交渉をしたこと、さらにその後、性的いたずらを受けたことも含め、その後の恋愛関係の障害とならないよう奮闘してきた経験について語りました。 

「だから自分は健全な恋なんてできない」なんて絶対言わない

司会者で作家・写真家のアマンダ・ド・カドネによるポッドキャスト、「Conversation: About the Men」の2022年9月19日に配信された回に出演したマコノヒーは、「私は初体験を脅迫によって無理強いされましたが、そのことで恋愛関係に恐怖を抱いたりしません、絶対に。あれは異常な行為だったのですから…」と語りました。

続けて、「私はあの事件に打ち負かされたりはしません。そのことで人に対する信頼を失い、『だから自分は健康的な恋愛関係なんてできないんだ』なんて言いません。そこは譲れない。絶対に!…私は、そのことを一生引きずっていくことになるのでしょうか? いいえ、絶対にノーです。事件を重荷のように私がその後ずっと背負って、私がどう人々を扱うか? どう人々を信じるか? そして私がどう状況を判断するか? どんなリスクを取るか? そういった選択に影響させてなるものかと……」と話しました。 

「父が異性との性交渉について説明してくれました」

ブラジル人モデルのカミラ・アルヴェスと2012年に結婚し、3人の子どもをもうけている現在52歳のマシュー・マコノヒーですが、トラウマになった2つの経験の後も「セラピーに行かなくて済んだ」とも明かしています。それには、「父親から受けた性教育が重要だったこと」「幼いころから、“同意”の重要性についてわかっていたこと」が助けになったと認めています。

「父は異性との性交渉について説明してくれました。『息子よ、男性がそういった状況に立った場合……女の子、女性が躊躇していると感じたら、やめなさい』と教えてくれました。『相手が躊躇しているのを感じてストップした後に、やっぱりいけるかも……となるかもしれない。でもダメだ。次回まで待ちなさい』ってね」。

マシュー・マコノヒー
Rick Kern//Getty Images
マシュー・マコノヒー、カミラ・アルヴェス( Matthew McConaughey & Camila Alves McConaughey)

また、2020年に出演したトークショーで、性的なことへの判断力がある程度ついた年齢だったことも幸いしたと指摘していました。

「この2つの出来事は、私が15歳と18歳のときに起こったことです。もし、もっと若いときに起こっていたら、もっと混乱していたかもしれません」。 

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What Matthew McConaughey Learned from Being Sexually Assaulted as A Teenager
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マコノヒーは虐待経験からサバイブするにあたり、「周囲の人々から受けたサポートが癒やしになったことが、その事件を乗り越え前に進むのにいかに役にたったか」についても語っています。

「私は本当に良い友だちを持ちました。良いメンターたちにも恵まれました。年配の男性たちも女性たちも、すでに結婚した夫婦たちも、50歳の記念日を迎える人たちも、わざわざ時間を割いて私のところに来てくれたのです」。

男子への早期の性教育や男性被害者へのサポートが、加害者になることを防ぐだけでなく、被害に遭った際の助けにもなることを示したマシュー・マコノヒー。保守的なテキサス生まれであることも知られるオスカー俳優がこうして繰り返し自身の体験を語ることは、宗教右派(自分たちの保守的信仰理解と価値観とを政治に反映するために積極的に行動する人々)の席巻で、ますます性的に保守化する米国では「啓発の面でかなり効果的」と言えるかもしれません。