エリザベス女王の葬儀に先立つ現地時間2022年9月17日(土)、ウェストミンスターホールに安置されたエリザベス女王の棺の不寝番に立つウィリアム王子、叔父のアンドルー王子と並んだハリー王子の軍服は、ハリー王子以外び2人や他の王族の子女たちとは大きく異なっていました。

それは、ハリー王子以外のメンバーの軍服に肩には「ER」のイニシャル、つまりエリザベス女王を象徴するラテン語の「Elizabeth Regina」を示す記章がありましたが、ハリー王子の肩にはそれが見られなかったことで複数のメディアが騒ぎ出しています。

ハリー王子
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不寝番(寝ずの番)での兄ウィリアム王子と共に。ハリー王子の肩には、「ER」の印章が見当たりません。

2022年9月17日、ケンジントン宮殿から「女王の孫たちが1不寝番に15分間加わる」と発表されました。その際、(英国メディアによる妻メーガン・マークルへの執拗な追いかけと、夫妻への人種差別的振る舞いを理由に)王室を離脱したハリー王子の軍服着用は、父であるチャールズ国王からそのときのみ限定で特別に許されたものでした。

王室専門家のキンゼイ・スコフィールド氏は「フォックスニュース(Fox News)」に対して、こう語っています。

「われわれはなぜハリー王子の軍服からエリザベス女王のイニシャルが外されたかを知りません。ですが、ハリー王子はそのことにひどく動揺し、不寝番に軍服を着ないことも真剣に考えたそうです。私は、『ハリー王子がもう少しで普通の喪服を着用するところだった』と聞きました。私は、『これが彼にとっての個人的攻撃だ』とは露ほども思いませんが、残念ながらハリー王子はそう感じてしまったようです…」

エリザベス女王国葬
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ウィリアム王子

ハリー王子の軍服に「ER」のイニシャルがなかったのは、単なる間違いだったかもしれません。「攻撃だと受け取るのは、被害者意識が過ぎる」と言う人もいるでしょう。

「単なる見落としかもしれません。ですが、それでは筋が通らないのです」

こう語るのは、「フォックスニュース」のコントリビューター(寄稿者)であるダンカン・ラコンブ氏。彼が言うとおり、この「単なる見落とし」説は、2022年に全ての王室の肩書きと支援を失ったアンドルー王子の軍服に「ER」の印章があったことから、より疑問に感じられます。 

アンドリュー王子
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軍服を着るアンドルー王子(最後列)と弟エドワード王子(左)、兄チャールズ3世国王。2022年9月16日撮影。

アンドルー王子は世界的少女人身売買のシンジケートをつくり、公判前に謎の死を遂げた故ジェフリー・エプスタイン被告との関係が取りざたされ、自身も被害者ヴァージニア・ジュフリーさんへの性的暴行疑惑によって提訴されました(2022年2月15日に示談)。これにより王室の上級メンバーからも公務からも外され、「殿下(HRH)」の称号を使うことも許されていません。

ケンジントン宮殿からの発表では、「王室の上級メンバーのみが軍服着用を許される」とのことでしたが、2022年9月16日金曜夜に特例としてそんなアンドルー王子の軍服着用が許され、チャールズ国王、アン王女、エドワード王子と共にエリザベス女王の棺を守ることになりました。

ですが、世界的人身売買の“顧客”であった疑惑を払拭しきれていないアンドルー王子の登場自体に嫌悪感を抱く人は国内外問わず多く、エジンバラで女王の棺が移送された際沿道から「アンドルー、キモいジジイめ!(Andrew, you’re a sick old man)」と声が出たこともニュースになってしまいました。そんなアンドルー王子の軍服用にしっかり記章を手配しながら、ハリー王子の軍服にはうっかり付け忘れたという説に疑問を抱く人がいるのは、無理もない話でしょう。 

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

一方ハリー王子の軍服着用に関して、英国王室専門家シャノン・フェルトン・スペンスは「フォックスニュース」の同デジタル版に対して、「王が良いお考えをなさってうれしいです。正しいことをされました。女王はハリー王子の軍参加を祖母として、総司令官として非常に誇りにお思いでしたから…」と語っています。